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シニアになって働く意味を考える⑳ ~最後の昭和の経理マン、AIに置き換え寸前~

 定年前後のシニアに「働く意味」についてインタビューした記事です。一人一人のインタビューを積み重ねて、「働く意味」のスペクトラムを描けたらいいかなぁって思っています。
 その切り口を「働く理由の8区分」から考えます:カネ、自己実現、社会貢献、承認欲求、自立、地位獲得、他者との絆、その他(仕事があるという幸せ、色々な経験、不安の解消など)

経理マン約40年のプロ、不況にも強し


 Bさん(61歳2023年時点)は、1985年大卒でハイテク企業の地方工場に経理マンとして入社する。実績を積み上げ2009年に単身赴任で東京本社へ異動し、順調に仕事満足度を上昇させていった。リーマンショック前後から会社は何度もリストラを繰り返すようになり、ボーナスゼロの年があったことをきっかけに東京で転職活動を行う。プロの経理マンとしてのキャリアを武器に2社から内定をもらう。50歳(2013年)だった。

東京都で単身赴任も今年で14年目、家族4人共に自立別居

 内定1社は実家元にあるハイテク企業、もう一社は東京にある政府出資法人。仕事はどちらも経理。ハイテク業界の浮き沈みに翻弄された経験のトラウマからなのか、単身赴任を続け「安定の会社」を選ぶ。
 そして現在も「安定の会社」で経理マンを続けている。子ども二人は就職し家を出て独立、パートナー(奥さん)は地元実家で仕事を持っている。4人家族それぞれが別々に自立して生活しているというなかなかうらやましい家族である。
 いつもの「仕事人生満足度曲線」を描いてもらいました。

「経理の仕事ってAIに置き換えられるんじゃないの?」

 こんな意地悪な質問をしてみた。「経理はAIに置き換えやすい」とBさんは即答。数字をルール通りに作るのはこれまでもシステム(パソコン)がやっていたと。その数字をどう解釈して経営に活かす提案ができるかが経理の仕事の醍醐味だとか。しかし、その経理の数字を使った経営判断もAIが得意らしい。
 「昭和時代からの最後の経理マンか?」と聞くと、「まあそんなところだ」とBさん。転職の時、政府出資法人を選んで大正解!と納得する。

これから…

 AIに置き換えられるにはまだ時間があるし、シニア雇用契約が終わる65歳まではどうやら大丈夫らしい。
 「仕事はあっても、いつまで単身続けるの?」と、これまた意地悪な質問をしてみる。「いずれ地元に帰って小さな会社の税務・会計をサポートする仕事をやりたい。経理自体の仕事には魅力もあるしライフワークにできたらいいなぁ」と、夢もあるそうです。昭和のシニアもしぶとい。
 ちなみにパートナー(奥さん)は、いずれ仕事を辞めて東京に出てくるつもりだったそうですが、彼女自身の仕事が面白くなり東京へは来ないそうだ。

「オレ、何で働いてるの?の図」

 著者の勝手な指標で作った「オレ、何で働いてるの?の図」を作ってもらいました。Bさんのは、こんな感じです。

 Bさんの労働観は、「自己実現」「承認欲求」と「他者との絆」に重み付けも満足度も高いみたいです。経理マンとしての矜持なのでしょうか。

後記:


 長く続けた仕事で専門知識を持つプロになり、いわゆる「芸は身を助く」ってことなのでしょう。しかし、社会変化がますます激しくなり、AIがやってくれる仕事が増えていく将来、「身を助く芸」って何でしょうか?
 答えは、今後も続くこのインタビューシリーズで探っていきましょう。しぶとい昭和のシニアをたくさん紹介していきますので楽しみにして下さい。
 18年振りにリーグ優勝した阪神の岡田監督も昭和時代の名将。私も昭和のシニアとして負けずに頑張りたいと思います。
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