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【毒親連載小説#40】韓国留学編 2〜原点回帰の道〜

絶望、挫折…そして無力感。

祖国への希望と明るい未来は
見事に粉々にされた私は、
敗北感に完全に打ちのめされ
帰国した。

その後、
日本にしばらく滞在し、
体調もどうにか回復したのだが、
私の心は絶望と諦めの渦中にいて
この気持ちとどう折り合いを
つければよいのか?
全く分からずにいた。

「時間は薬」とは
よく言ったものだ。

時間の経過と共に、
祖国への想いは
すっかり冷めきっていた。

いや、この体験を通して、
私の理想は幻想であり
妄想だったのだと
実際に現地に赴くことで
冷水を思い切り浴びせられ
やっと目が覚めたのかもしれない。

冷水を浴びた後の私は
ある種の冷静さを保ち
もう一度、韓国へと戻り
残った留学生活を淡々と終えた。

これが私の最も苦くて苦しい、
短くて長い重すぎる留学生活の
記憶だ。

家庭にも国にも居場所のない「絶望」。

「なぜ、私は生きているのだろう」

幼少期からの
この問いかけの答えは
韓国留学の一年間では
一向に得られることもないまま、
また宿命という深い闇に
引きずり戻されてしまった。

私の原点回帰の道は
行き止まりだったという
ことしか確かめることが
できなかった。

私は、これから一体、
どうすべきなのだろうか?

私の未来は
まるで何も見えない暗闇に
一人ぼっちで立たされている
そんな気持ちでいっぱいだった。

(つづく)

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