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“自然に開かれた建築”の可能性

きっかけ

建築に詳しいとある方にこれまで携わった建築を紹介する機会が最近あり、その方に「外への開き方が上手いですよね。」と言われたことがやけに嬉しく、これまでどんなことを考えて建築に向き合っていたかを振り返っていました。
”建築の開き方”なんて建築を設計する者にとっては普遍のテーマだし、その時々で最適と思う設計の結果であってあえて取り上げるほどのことではないと思っていました。
普段の設計実務では、「こういう建築が良いですよ」という自身の建築に対する価値観よりか、如何に未条件(顕在化していない要望や条件)を引き出し、建主やそこで過ごす人々の心地や営みに寄り添えるかというスタンスを大切にしたいと意識しています。
しかし振り返ってみると、無意識に自分が良いと感じている建築と照らし合わせながら設計しているということに気がつきました。

その共通点を探ると、”自然に開かれた建築”と呼んでみると良さそうで、これから少しずつ”自然に開かれた建築”の可能性を探ってみようと思います。


”自然に開かれた建築”とは


”自然に開かれた建築”という表題は既に聞き慣れた、平凡な表現だと思っていたのですが、ネット調べてみると建築家の伊藤豊雄さんの記事が見当たるくらいです。そもそも建築が自然(naturer)にどう対峙するかなんて建築の起源から存在するテーマであり、現代に敢えて取り上げるテーマでは無いのかもしれません。

”自然に開かれた建築”という言葉は、パッシブデザインの研究の第一人者である小玉祐一郎先生の研究室に在籍していた当時、悩んでいた卒業論文と卒業制作のテーマについてのゼミのなかで「君は、自然に開かれた建築を目指しているんだね。」といただいた言葉でもあります。当時の卒業論文を読んでみると荒々しい表現なりに自然に開かれた建築をなんとか記述しようとしていて、思っていた以上に多くのヒントが得られました。

”自然に開かれた建築”とは単に開口部を大きく設けた建築という意味ではなく、ここでは「外の自然環境の豊かさを身体感覚とともに空間体験することができる建築」という意味にしようと思います。


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