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裏の青春ソング6選|苦くてやるせない青春の歌

ごきげんよう。社会の水垢です。

皆さん、青春ソングといえば何を思い浮かべますか?
ゆずの『夏色』やGreeeenの『キセキ』など、爽やかな恋の歌を思い浮かべる方は少なくないと思います。こういう歌に必ず登場する存在が、「君」です。自転車の後ろに乗せてゆっくりゆっくり下っていったり、2人寄り添って歩いて永久の愛を形にしたりする、あの「君」です。
ですが、筆者に「君」は居ません。爽やかな青春は皆無です。
強いと思ったら弱くて、弱いと思ったら強い。なにものかになりたいのに、なにものにもなれない。本当は傷つけたくないのに、傷つけてばかり。そんな苦しくて、やるせない青の時代。

『月と六ペンス』などを書いたモームは、こんな言葉を残しています。

「青春が楽しい」というのは迷想である。青春を失った人達の迷想である。

キラッキラじゃない青春もいいじゃない。ということで、本日は苦悩の青春時代に寄り添う「裏」の青春ソングを6選、紹介します。最初に言っておきますがロックばかりです。すみません。あと6とかいう微妙な数字もすみません。男性ボーカルと女性ボーカルそれぞれから3選したかったもので…。

まあ、早速いくぞ!!


1.サカナクション『夜の踊り子』

サカナクションには“青”要素強めの青春の歌が多いので迷いますが、熟考してこの曲をチョイス。「どこへ行こう どこへ行こう ここに居ようとしてる?」という歌詞が、まさに青春の本質を捉えています。雨の夜に泣きながら走るような、もがきながらも進もうとする若い時代を、素晴らしい感性で捉えた一曲です。
(サカナクションは案外見逃されがちな『ボイル』もオススメ。ライズしよう)

2.ASIAN KUNG-FU GENERATION『路地裏のうさぎ』

アジカンも青強めの歌が多い。というかそんなのばっかです。ということでどうせならと、B面的な曲から選ばせていただきました。
これも歌詞が良いですね…。抽象的なのに、心の中にずっと蟠っている青春の負の部分にグサッと突き刺さってきます。特に「心の奥で白いミサイルが 弾けた痕は深いクレーター 退屈な日々にほら何度も 乾いた想いが僅かに浮かぶ」というところは最高。気怠げに叫ぶようなゴッチの歌声が、まさにムシャクシャして仕方ないあの時代そのものです。

3.[Alexandros]『Kick&Spin』

劣等感が歌われている一曲。「いつも土壇場で逃げ隠れて」など、自分の弱さをぶちまけるような歌詞が特徴的です。
この曲を聴いていると、これまで経験した自分の中で割り切れていない悔しい気持ちが思い出されると共に、「Everybody’s gotta pain Everybody’s got a sin  I find out why am I climbing over and over mountain high」(誰もが苦しむし、誰もが罪を犯す 僕がなぜ高い山を何度も何度も登ろうとするのか、その理由が分かった)という歌詞に背中を押されます。暗い気持ちをアレキの爽やかな曲調が吹っ飛ばしてくれる名曲です。(MVが唐揚げバトルでかわいい)

4.羊文学『Girls』

「もっと大切にしてよ、救ってよ」という若い女の子の繊細で危なっかしい感情を歌った羊文学のメジャーデビュー曲。Voで作詞作曲の塩塚モエカは、高校生の頃、バンドでBUMPを演奏しようとしたら「女だからダメ」と言われた経験からこの曲を作ったといいます。曲名のGirlsが複数形のことからも分かるように、力強さのようなものが感じられる一曲です。両A面としてリリースされた『砂漠のきみへ』は優しさを歌ったものであるのに対して、この曲は「とはいっても女子は黙ってニコニコしてるわけじゃねぇからな」という荒々しさがむき出しになっているのが特徴。繊細かつ力強いサウンドに、青春の脆くざらついた心が共鳴します。

5.ヨルシカ『八月、某、月明かり』

青臭いねェ〜〜〜〜!!!!!(褒め言葉)
ヨルシカ、今はシャレオツで物静かな曲を作っていますが、ちょっと昔まではギタージャカジャカロックンロールを奏でていました(別に今も奏でていないわけではないですが…)。この曲はその時代のもの。
「最低だ 最低だ 僕の全部最低だ」という歌詞が若さゆえのセンシティブさ、アグレッシブさを的確に表現していて、走り抜けるような曲調との奇跡的な化学反応を実現させています。

6.I’s『青虫』

I’sというバンドを知っている人は、多くないかもしれません。I’sは、TVで活躍中の“あの”がメンバーを集めて作ったパンクロックバンドです。
裏の青春ソングというテーマで曲を選ぶとき、真っ先に思いついたのがI’sの曲。あのの抱える青く苦い苦しみ、弱さ、ぐしゃぐしゃの感情がぶちまけられている彼女らの曲たちは、どれもこれも「裏の青春ソング」と呼ぶのに相応しいものばかりです。
今回は、迷った末『青虫』を紹介することにしました。「青虫は僕だ このでかい地球で ちっぽけさ ぺしゃんこにならないように 天使の羽はいらないから あの蝶のような羽を下さい」とあのが苦しげに歌うこの曲は、行き場もないのに逃げ出したくなる青さ故の矛盾した不安定な感情が全面的に出ていて、こちらまで苦しくなってきます。あのの少し不安定な声が曲が醸す雰囲気と絶妙にマッチしていて、まさしく「裏青春」を象徴する名曲です。

以上!!!(おわりに)

書いているうちに、青春がなんなのかよくわかんなくなってきました。
青春に定義はありません。青春の延長線で生きている人もいれば、そうでない人もいる。私は思いっきり学生で、大人から見れば私は青春時代の真っ只中を過ごしているのでしょうが、実感があるようなないような、そんな有耶無耶な感覚です。甘酸っぱいから青春?爽やかだから青春?青苦いから青春?
今回紹介した曲の中に、「若者のことを歌った曲です!」と明言されているものはありません。ということは、紹介した曲たちが纏う苦くて未熟な空気は、決して若者だけのものではないのかもしれない。そう考えると、未来への漠然とした不安が、少しだけ和らぐような気がします。とにかくこの曲たちの、負からさえも滲み出てくる力強いエネルギー。これが何よりの力であることは確かです。

(おしまい)

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