人の輪をつなぎ、プロジェクトにグルーヴを生み出す─関山カヅキ(映像プロデューサー)
こんにちは。noteで公開している、IN FOCUSメンバーへのインタビューシリーズ。今回登場してくれるのは映像プロデューサーの関山カヅキです。
これまでにadidasの会員プログラム「adiCLUB」やコスメブランド「CLINIQUE」、ビールメーカー「Hoegaarden」のプロモーションムービーを手掛けてきた関山に、印象に残っている案件や、プロデューサーとして大切にしていることを話してもらいました。
幼い頃から身近にあった映像制作の仕事
ーまずはじめに、映像制作において普段どのような役割を担っているか教えてください。
企画から制作、納品までの品質管理・予算管理・スタッフのアサインなど、全体を統括する役割です。
ー映像制作に興味を持ち始めたきっかけはどんなものだったんですか?
小学生の頃から深夜に流れるミュージックビデオやバラエティー番組が好きでした。友達と遊びで、バラエティ番組やTVCMを真似したビデオを作ったり。当時は実家にあった8mmビデオテープ収録のビデオカメラで撮影し、編集はVHSのビデオデッキで上書き録画しながら作っていました。中学高校はスケートボードのビデオやMTVに夢中。父が広告業界で働いていて、携わった作品をよく見ていたこともあり、幼い頃から映像表現というものが身近だったように思います。高校時代には、映像の道に進みたいと考えるようになっていました。
ーIN FOCUSに入った経緯を教えてください。
大学卒業後に演出を目指してTVCM制作会社に入りましたが、そもそも絵が描けず断念(笑)。プロダクションマネージャーを経てプロデューサーを経験し、転職後はCM以外にもミュージックビデオのプロデューサーをしていました。その後、大学からの友人でもある代表の井口やアートディレクターの仲山からIN FOCUSの映像チームの話を聞いて、タイミングも重なり2018年にジョインしました。ディレクターの片岡とも入社以前からの付き合いだったのですんなり溶け込めました。
ー当時はIN FOCUSについて、どんなイメージを持っていましたか?
前職は大きな組織だったので、社員同士の距離が少し遠く感じていたんです。それもあって、昔からの友人でもある井口や仲山が一緒に仕事をしていることはもちろん、映像以外にもWebやグラフィックなど多岐に渡る仕事を社内で企画制作していることが魅力に映り、雰囲気もいいなと感じていました。
ーIN FOCUSに入って5年半。組織として変化はありましたか?
気付けばメンバーが倍近く増えましたね。中途入社のスタッフがほとんどで、自分にはない知識や経験を持っている人も多く、インプットできることも増えました。みんな仕事に対して妥協せず突き詰めるところは尊敬しますね。
最初に感じたIN FOCUSらしい魅力は良い意味で変わっていないと思いますし、クリエイティブスタジオ「CONTRAST」もでき、在籍しておきながらですが今後のIN FOCUSにも期待しています。
追求するのは、チームとしてのグルーヴ
ー映像プロデューサーとして、どんなこだわりを持っていますか?
まず前提として考えることは、チームのみんなが仕事をしやすい環境作りです。映像チームは外部スタッフとの関わりも多い為、コミュニケーションが非常に大事だと思っています。スタッフのアサインを担うことも多いのですが、その際は案件にフィットするかを考え、その人の得意分野はもちろん、メンバー同士の相性やポテンシャルを引き出せるか、相乗効果が生まれるかを考えながら組んでいます。みんなでコミュニケーションを取りやすく、なんでも言える環境の方が結果良いものができますからね。またお互いをリスペクトし合えるよう、IN FOCUSメンバー内の雰囲気作りも大切にしています。チームスポーツみたいですよね。
ーチーム内に良い雰囲気を作る秘訣はありますか?
仕事以外の会話をすること。仕事では見えなかった一面やギャップを知ることもあれば、今後のアテンドに活かせる話を共有できることもあります。人柄や興味を持っていることも含めて、相互理解ができている状態だと求めていることも理解しやすくなりますし、誰かが悩んでいたら助けるし、自分も助けてもらう。仕事もスムーズに進められます。意外と、何気ない会話から思いつくアイデアって、数日考えて導き出すものより面白かったりするんですよね。仕事とは別にDJとしての活動もしているのですが、音楽と同様にチームのグルーヴを大切にすることは常に心掛けています。
CGアニメーションで、アソビルの世界観を表現
ー今までで手掛けた案件で印象に残ったものはありますか?
昨年の「adiclub」の話をしようと思いましたが、その件はディレクターの中島が先にnoteで話しているので、そちらをチェックしてください!
数年前の案件になりますが、エンターテインメント施設「アソビル」のコンセプトムービーです。当時の映像チームは少人数だった為、個人で外部スタッフと取り組む案件でした。
オープン告知のティザー映像になるのですが、制作時の段階で施設はまだ工事中。ビジュアルイメージもないところからスタートし、コンテンツ内容は理解していたものの、実際どんな施設になるのかを想像しての制作でした。
まず撮影ができないので全てをCGアニメーションで作ることを提案。そこで当時気になってチェックしていた映像作家、でんすけ君(でんすけ28号)にインスタグラムのDMから熱いアプローチをしました(笑)。快諾してくれたことに感謝です。無いものを想像で作り上げるというお題をどう表現するか、でんすけ君と何度もディスカッションし、たまにはお酒を交わしながら考えました。
最終的に、アソビルのフロアやコンテンツの特徴をゲームの世界に落とし込むことに決定。アイデアが出てからは各フロア毎のコンセプトに合わせて世界観を考えて作り上げました。例えばダンスフロアのシーンは施設B1の「YOKOHAMA COAST garage+」、バスケットコートのシーンは屋上の「SAL SPORTS PARK」、宇宙空間のシーンは4Fのキッズスペース「ハピピランド」のイメージです。
また、でんすけ君が当時ミュージックビデオを制作したアーティストQiezi MaboさんにCGキャラクターとしてカメオ出演をお願いしました。意図としては、本編にフックを入れたかったのと、クリエイティブやサブカルチャーの感度が高い層にもアソビルに興味を持って欲しいという想いから。クライアントにもご理解頂き、ティザー効果に付加価値を付けられたと思います。尊敬するアーティストの方と一緒にお仕事ができたことも嬉しく、思い出深い作品になりました。
渋谷を舞台に、若者のスタイルをブランドムービーに映す
また直近では、メンズコスメブランド「LIPPS BOY」のブランドムービー。
全ロケーションを渋谷で撮影しました。分かってはいましたが大変な撮影でした。監督は映像チームのディレクター中島、プロダクションマネージャーは石崎、企画立案の段階からディレクターの片岡と葉大も参加し、頑張ってくれました!
クライアントは美容室「LIPPS」を原宿からスタートしていて、今の本社も外苑にあります。トレンドや時代の流れとともに変化する若者のスタイルを表現できる場所として、渋谷を舞台にして欲しいという、LIPPSさんからの希望でした。
そうは言っても、人の多い街だから撮影も大変。一般人が映ってはいけないし、建物や看板などは許可が必要なものも多くあります。そもそもロケ地としては一番避けたい場所(笑)。スクランブル交差点など、象徴的なスポットはエレベーターの景色から映るように。試行錯誤して全渋谷ロケーションでなんとか撮りきることができました。それができたのもクライアント・代理店・制作チームがワンチームになったからこそだと思います。そこには前述したグルーヴが生まれていたのではないかと。
また、今回グラフィックを制作したアートディレクター増田の紹介で、TOKYO HEALTH CLUBさんに音楽を依頼。今回のコンセプトともマッチしていました。
企画から納品までスタッフ一丸となって良い作品ができあがったと思います。僕も東京で育った人間で、 やはり渋谷という街に愛着があります。そういった街のスタイルを表現するムービーを制作できたのは感慨深かったですね。
趣味が、仕事でのコミュニティや作品のエッセンスを生み出すことも
ーパーソナルな部分も聞かせてください。プライベートで好きなものや趣味、インスピレーションを受けているものはありますか?
普段はDJイベントを主催したり、クラブや野外ライブに呼ばれてDJをしています。他にも「PLAYBACKBOYS」という名義でVJチームでも活動しています。
主催するイベントは、特にCM制作会社の方々やディレクター、カメラマン、スタイリストなど色んな方が遊びに来てくれることが多く、そこから輪が広がることもあります。新たなコミュニティーや仕事、アイデアが生まれることも多いです。
DJを通して空間を演出するという活動は、色々なパーツを組み合わせてひとつの作品をプロデュースする、僕の仕事と共通項があるかもしれません。
あとは、収集癖があります。レコードや、昔の子供用ラジカセ、使う用途が分からないものだったり(笑)。集めているものは、小道具として持ってきて撮影時に使うこともありますね。家にあるものに触れることで、仕事に対してのエッセンスとなり、遊び心を出せている気がします。
ー今後の目標を教えてください。
80・90年代のCMやミュージックビデオなど、手触りのある作品が好きです。映像表現はもちろんコピーライティングもインパクトがあって、でもしっかり広告として機能している。今見ても脳に突き刺さるような作品が、あの時代に世に出ているのは凄いですよね。作り手の熱意が伝わるクリエイティブが多い気がします。
昔の作品から影響を受けたことを、現代の技術を通して更にインパクトのある作品としてアウトプットし、それを広告としてより機能させていくことが、今後の目標です。
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