見出し画像

ロジカル思考で、案件に求められる”適切な表現”を見つけていく─仲山慎哉(アートディレクター)

こんにちは。ライターのワタナベです。
今回のnoteは、IN FOCUSでいっしょに働くメンバーへのインタビューシリーズの第2回として、アートディレクターの仲山慎哉に話を聞きました。第1回とあわせて是非読んでみてください。

仲山は、ZAIKOTokyo Art BeatSHIPS anyのCI/VI開発やブランディング、United AthleのシーズンコレクションにあわせたアートディレクションやNew Balanceのキャンペーンを手掛けています。インタビューでは、仕事に対するこだわりや、これまでのキャリアからIN FOCUSにジョインすることになったきっかけなどを話してもらいました。

プロジェクトをいかに魅力的に視覚化するか。そのための監督的立場

ーまずはじめに、アートディレクターの仕事について教えてもらえますか?

一般的には、広告や宣伝、グラフィックデザインという領域において、クライアントから受けたオーダーを魅力的に視覚化するために全体を監督する仕事と言われています。
IN FOCUSでは、僕が所属するグラフィックチームのほかに映像やウェブのチームもあることから、必要に応じて部門を横断するようなプロジェクトにアートディレクションで携わることもあります。

ーアートディレクターとして、どのようなこだわりを持っていますか?

どんなジャンルであっても、その案件にとって適切な表現となるものを見つけたいと思っています。そのためにまず、それぞれの特徴をよく調べ、考え、捉えていくという、ロジカルな思考を大事にしています。CI/VI開発と呼ばれる、より上流からブランド全体をデザインしていく案件ではそうした考え方が特に必要だと感じられます。

電子チケット販売プラットフォーム「ZAIKO」のCI/VI(www.in-focus.co.jp/projects/zaiko/
アートメディア「Tokyo Art Beat」のCI/VI(www.in-focus.co.jp/projects/tokyo-art-beat/

こうした「適切な表現を見つける」というこだわりは、これまでに音楽やファッションを軸としたデザイン会社、広告やブランディングに強いデザイン会社で、それぞれ特徴的な経験を幅広く積む中で徐々に芽生えた「いつかは色々なジャンルで総合的にものづくりができるようになりたい」という思いに由来するものでした。

ーそうしたこだわりはチームメンバーにも共有しているものですか?

必要な部分は共有しつつも、あくまで個々の特性を活かしたいと思っています。アートディレクターやグラフィックデザイナーという、いわゆるクリエイターと呼ばれる人たちって、「自分はこんな表現がしたい。こうなりたい」という気持ちが強いと思うんです。自分もそうだったからこそ、メンバーのやりたいことも尊重したいんです。

ーメンバーの個性を尊重しながら、チームとして今後目指していきたいことは決めていますか?

目標としてひとつ設定しているのは、各メンバーがいちクリエイターとして、それぞれにやりたいフィールドで最大限パフォーマンスできるようになることです。それができるのも、バラエティに富んだ案件の種類を持つIN FOCUSのグラフィックチームならではだと思っているので。

原点はアンディ・ウォーホル、そしてバリー・マッギー

ーそもそもグラフィックデザインに興味を持ったきっかけはどんなものだったんですか?

子供の頃に習字や絵画の教室に通っていたこともあり、文字や絵に対する興味は昔からありました。あとは親がよく美術館に連れて行ってくれたのも大きかったと思います。小学校高学年の頃に観たアンディ・ウォーホルの作品に衝撃を受けたのを憶えていますね。有名なマリリン・モンローの肖像画(Marilyn Diptych)です。
そうした体験から漠然と「アーティストになりたい」という夢を持つようになり、アメリカの芸術高校に留学することを決めたんです。そこでグラフィティというカルチャーに衝撃を受け、特にOBEYやKAWS、DELTAなどの新しいアプローチ、その中でもバリー・マッギーの作品に触れたことで「こういうものを作ってみたい」という風にやりたいことがより具体的になっていきました。

ーこうして聞くと、アートの中でも好きな作風がはっきりしている印象を受けます。

そうかもしれません。いわゆる絵画よりはグラフィック要素のあるビジュアルであったり、ポップアートと呼ばれるジャンル、その中でも印刷物やシルクスクリーンを使った作品が昔から変わらず好きです。

ーそこから現在につながる、アートディレクションやグラフィックデザインの仕事へと興味を広げていったんですか?

そうですね。アメリカ留学でアートに触れる生活をする中で、アートやグラフィックデザインの業界で仕事をしたいと思うようになり、アーティストの延長線上にグラフィックデザイナーという仕事があることをはじめて知りました。それで大学を休学して帰国し、デザイン会社に就職したんです。

アンディ・ウォーホル(出典:https://warholfoundation.org/
バリー・マッギー(出典:https://www.galleriesnow.net/shows/barry-mcgee-3/

領域を越境するような表現を魅力に感じて

ーIN FOCUSにジョインしたきっかけについても聞かせてください。

前職でグラフィックデザイナーとして働きながら、次のステップをどうするか考えていた時に、20代の頃からの友人でもあった代表の井口と話してジョインすることを決めました。2014年のことで、それがIN FOCUSにグラフィック部門ができたきっかけでもあります。
IN FOCUSのことは、設立した2012年当時に井口とルームシェアをしていたこともあり、その頃からかなり近くで見ていました。なのでIN FOCUSがどういう考えを持ってものづくりをしているか、その面白さが分かっていたこともジョインするひとつのきっかけだったと思います。余談ですが、会社のロゴはその当時に僕がデザインしたものなんです。

ーどんな部分に面白さを感じましたか?

当時は、ウェブ専門、映像専門、グラフィック専門と、それぞれひとつのカテゴリで仕事をする会社が今より多かった中で、IN FOCUSは領域を越境するような表現をしていたことが魅力的に映りました。
そうした表現は、時代がボーダレスになって来ている現在、より求められるものになりましたよね。僕たちも今まで以上に新しい視点を持ち、どんな案件であっても適切な表現ができるチームでありたいと思います。

Profile - Shinya Nakayama
1982年生まれ。静岡県出身。高校・大学とカリフォルニアに留学し、美術を専攻。大学在学中にグラフィックデザインに興味を持ったことから、休学して日本に戻りデザイン会社に就職。いくつかの会社で経験を積んだ後、2014年にアートディレクターとしてIN FOCUSに入社。2021年からは取締役も務める。趣味は美術館と本屋巡り。
@shinyanakayama

Twitter
https://twitter.com/infocus_inc
Instagram
https://www.instagram.com/in_focus_inc/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?