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吉田裕子の自作俳句メモ

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俳句結社 松の花に参加しています。そちらに投稿し、誌面に掲載されたもの(主宰の方からの添削、評が入っていることもあり)をこちらのマガジンにまとめます。 好きな句やアドバイスなどが… もっと読む
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#創作

「春園やしやがむ二歳の目の高さ」ほか自作俳句18句(『松の花』2021年6月号掲載+α)

松の花集掲載句春雨や吉田博の版画展
暮れかぬる空に弦月潔し
春園やしやがむ二歳の目の高さ
昨年(こぞ)の葉とともに吹かるる柳の芽
母の木のひこばえは我が新居へと

春雨や吉田博の版画展→上野の東京都美術館に見に行きました。印象に残ったのが、「東京拾二題 神楽坂通 雨後の夜」など、雨の情景をやわらかく描いた版画でした。折しも展覧会を見に行った日も、春雨の日で、こんな一句となりました。

暮れかぬる空

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「そぞろさむ地すべり残る鞍馬寺」ほか自作俳句(『松の花』2021年1月号掲載+α)

「そぞろさむ地すべり残る鞍馬寺」ほか自作俳句(『松の花』2021年1月号掲載+α)

「松の花集」掲載5句(10月末投稿分)寺出でて新米ぬくきおにぎり屋
雲海の晴れゆき秋の琵琶湖見ゆ
納経の婦人の背すぢ菊日和
千躰の地蔵に揺るる尾花かな
そぞろさむ地すべり残る鞍馬寺

吟行というわけでもありませんが、10月下旬に関西を巡りました。そのときの句を投稿したのが今号です。全体の六席に選んでいただきました!(喜)

寺出でて新米ぬくきおにぎり屋→慈照寺銀閣を出たところにある「御米司ふみや」

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自作俳句5首「かこたじの真一文字に虎落笛」ほか(『松の花』1月投稿分)

朝富士の白きにその日始まりぬ
かこたじの真一文字(まいちもんじに)に虎落笛(もがりぶえ)
受験日は誰も一人ぞ吾(われ)も汝(な)も
鉛筆に未来を賭けん春浅し
いざ帰らん白魚飯(しらうおめし)の待てる家

朝富士の白きにその日始まりぬ(冬)

「ぬ」は完了の助動詞。冬の澄んだ空気の中、朝日を浴びる霊峰富士。雪の積もった白い富士山はひときわ神々しい。引き締まった気持ちの中で、その日1日がスタートした。

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