インド麦茶

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インド麦茶

@デリー駐在。インドの社会文化分析を気ままに投稿しています。 デリーを拠点にあちこち出張✈️ /インドから見た日本/日本から見たインド/対インド民マネジメントと企業社会文化論を本に纏めるのが駐在中の目標です📚無言フォロー歓迎

最近の記事

インドに着任したらどうするか 『着任の手引き(生活編-③)』

(今回の投稿は、「着任の手引き」生活編②の続きですが、こちらの記事単体だけでもお楽しみいただけます。) 前回までの投稿で、インドで生活するための心得とインドの「医食住」の「医」を説明した。今回はシリーズの最後として「食」・「住」に関してインドの実態に触れながら、日本人がインド生活をできるだけ快適に過ごすためのポイントを紹介していく。 インドの食生活と生活リズム インドの「食」を考える時の一番の勘違いは、「インドの人々もその食事で生きているだから、日本人も同じような食事で

    • インドに着任したらどうするか 『着任の手引き(生活編-②)』

      (今回の投稿は、「着任の手引き」生活編①の続きですが、こちらの記事だけでもお楽しみいただけます。) インドの「医食住」について インド生活における衣食住は、「医食住」と表現したほうが、その重要な項目を順番通り表している。まずは直接命に関わる医療体制や健康が最も重要だ。子供がいる家庭や年配の駐在員はこの課題にどのように対応していくかが駐在生活とその後の人生を大きく左右する。駐在を経て病気になってしまっては元も子もない。次に、インドの食はストレスの大きな原因である。インドの食

      • インドに着任したらどうするか 『着任の手引き(生活編-①)』

        インドでの生活は日本で生まれ育った一般的な日本人にとって、不便さや不快さが他の国での生活と比べて激しい。日本を含めた外資企業のインド駐在員に対して支給されるハードシップ手当も他の国・地域と比べて非常に高いランクに位置しており、簡潔に言えば、「お金を積まれない限り住みたくない国」と評価されている。インドに着任してインドが持つ不便さや不快さに対してゼロから取り組むとすれば、それは単なるお金と不快さ・不便さの交換であるばかりか、日本企業が支給している手当と、駐在員が直面するインドの

        • インドに着任したらどうするか 『着任の手引き(仕事編-③)

          (今回のNoteは、前回の投稿、インド『着任の手引き(仕事編)①』とインド『着任の手引き(仕事編)②』続きです。全体で7つある項目の内、⑤~⑦を今回の投稿で説明しています。) ⑤ 人員計画の見直し:「人」こそインド事業最大のリスク 最近は日本も人材の流動性が高くなってきたが、経済が順調に成長している2024年現在のインドでは、企業は優秀な人材を活発に取り合い、労働者がフレキシブルに移動している。そのため急に来月からコア人材がいなくなるということが簡単に起こる。しかも職能が非

        インドに着任したらどうするか 『着任の手引き(生活編-③)』

          インドに着任したらどうするか 『着任の手引き(仕事編-②)』

          (今回のNoteは、前回の投稿、インド『着任の手引き(仕事編)』の続きです。全体で7つある項目の内、②~④を今回の投稿で説明しています。) ② MVVと戦略骨子の策定:秩序無き世界にルールを導入 前段で説明した①「止血」と並行して行うべきは、組織やチームのビジョンと戦略骨子の設定である。現地法人や関係会社の場合、M:ミッション、V:ビジョン、V:バリュー、所謂MVVというものが疎かにされている場合がある。何もしなくてもトラブルの方から舞い込んでくるインドにおいては、まさに「

          インドに着任したらどうするか 『着任の手引き(仕事編-②)』

          インドに着任したらどうするか 『着任の手引き(仕事編-①)』

          インドに着任して何から手を付けて行こうか。 着任前はこのように考えるかもしれない。しかし、インド駐在においてそのような悩みは一旦忘れていい。ほとんどの新着任者にとって、まず初めにやらなければならないことは事業の「止血」である。我々日本人の目線から見て、美しくオペレーションが回っている会社や様々な計画が予定通りに進んでいる事業などは、まずありえないと思っておいたほうがよい。これまでのインド駐在経験の中で数えきれないほどの日本企業の駐在員と交流しているが、エクセレントカンパニーと

          インドに着任したらどうするか 『着任の手引き(仕事編-①)』

          インドでおなかを守る極意と、インド的「下請け文化」の考察-③

          (今回の記事は、前回の投稿、インドでおなかを守る極意「習慣編」、「道具編」の続きですが、インド的「下請け文化」の考察に関する単体投稿としても完結しています。) なぜインドはこれほどまでに衛生管理が困難なのだろうか。その大きな理由の一つは、インド的「下請け文化」である、という仮説を置きたい。この文化はカーストという宗教的背景が存在するヒンドゥー教徒に限らず、イスラム教徒や仏教徒も含めて、宗教に関わらずインドの社会・組織文化として地域と人心の隅々に浸透している。インド的「下請け

          インドでおなかを守る極意と、インド的「下請け文化」の考察-③

          インドでおなかを守る極意と、インド的「下請け文化」の考察-②

          (こちらの記事は、前回の投稿の続きとなります。インドでおなかを守る極意「習慣編」は、こちらの①の投稿をご覧ください) 今回紹介するのは、インドでおなかを守る極意「道具編」である。 日本には素晴らしいグッズが揃っており、か弱い異邦人の我々も文明の利器を使ってインドの環境を制し、おなかを守ることができる。「道具を使った守り」に共通する特性は、もしもの時、その道具はあなただけでなく同行者も守ることができる点である。仮に同行者の具合が悪くなった場合、結局あなたの予定も崩れること

          インドでおなかを守る極意と、インド的「下請け文化」の考察-②

          インドでおなかを守る極意と、インド的「下請け文化」の考察-①

          インドは、衛生環境の悪さで世界にその名をとどろかせている。 実際にインドに来たことのない人間でさえ、「インドは汚い国である」という認識を持っている。現場を知らない見解や偏見は最も避けるべきものだが、私も実際インドに住んでみた結果、残念ながら日本人の視点から見て「インドは汚い」という感覚は正しいと言わざるを得ない。もちろんデリーやムンバイなどの大都市には、極めて限られた小ぎれいな地域が存在するが、そういった大都市ですらお世辞にも衛生環境が良いとは言えない。ましてや、地方都市や農

          インドでおなかを守る極意と、インド的「下請け文化」の考察-①

          インド民の代表的言い訳とその対応 ③

          (以下は、以前投稿したこちらのコラム①、②の続きです。前段の議論はそちらをご覧ください。) 四つ目に紹介するインド民の代表的な言い訳論法は、④因果改謬:Elaborate wrong route course である。 これは、因果関係のないことを、さも原因・理由かのように使って説明を行い、責任や追及を回避する方法であり、前出の三つと比べて、「偽り」の要素を含むという意味で悪意がある論法だ。彼らも、元々の問題の責任に加えて、自分が嘘をついた責任まで取らされないように、分か

          インド民の代表的言い訳とその対応 ③

          インド民の代表的言い訳とその対応 ②

          (以下は、以前投稿したこちらのコラムの続きです。前段の議論はそちらをご覧ください。) 二つ目に紹介するインド民の代表的な言い訳論法は、相殺消去:Cancel out own fault である。 これは、何か失敗を犯したり約束を守ることができなかったりした時、あなたの側にも落ち度があったことを主張し、自分が悪くなかったかのようにふるまう論法である。つまり、「あなたがこうだったから、私がこうなった」というように、両方ともに落ち度があることを強調するやり方だ。①責任転嫁は、直

          インド民の代表的言い訳とその対応 ②

          インド民の代表的言い訳とその対応 ①

          インド民はとにかく何かにつけて「言い訳」を唱えてくる。まず、インドに着任してイライラするのはこのインド民のコミュニケーションモードである。これはインド民の自己防衛本能の一種であるが、実際に部下や取引相手として対峙した場合にはなかなか手ごわい。その結果、彼らとの議論が面倒臭くなり、適当にやり過ごし、こちらが相手の主張を飲み込んでしまった場合、インド民は、「やはり俺が正しかった」と本気で思いこむ。よって、議論や責任を有耶無耶にすることは、長期的に見れば相互に誤解を生むことになり、

          インド民の代表的言い訳とその対応 ①

          インドを見る視座 ③インドとの選択的関係性 

          (以下は、2023年末に投稿した内容をNoteにまとめたものである。連投という形でXには投稿したが、やはり文章としてまとまっていたほうが読みやすいので、こちらに投稿。) 今回は、インドを見る視座として、次の三つの中から、③インドとの選択的関係性に関する章の投稿である。 ① 国ではなく「地域」として捉えるインド ②印僑とインド民 ③インドとの選択的関係性 インドは確実にこの先の2020年代に渡って世界経済や政治の台風の目である。一方で、個人や個社としてインドに積極的に関わる

          インドを見る視座 ③インドとの選択的関係性 

          インドを見る視座 ②印僑とインド民

          (以下は、2023年末に投稿した内容をNoteにまとめたものである。連投という形でXには投稿したが、やはり文章としてまとまっていたほうが読みやすいので、こちらに投稿。) 今回は、インドを見る視座として、次の三つの中から、②印僑とインド民に関する章の投稿である。 ① 国ではなく「地域」として捉えるインド ②印僑とインド民 ③インドとの選択的関係性 インドを見る視座の二つ目は、実際に接するインドの人々をどのように見て、対応していけばよいのか、という問いに関係するものである。世

          インドを見る視座 ②印僑とインド民

          インドを見る視座 ①国ではなく「地域」として捉えるインド

          (以下は、2023年末に投稿した内容をNoteにまとめたものです。連投という形でXには投稿しましたが、やはり文章としてまとまっていたほうが読みやすいので、こちらに投稿しました。) 今回、インドを見る視座として次の三つを提示したい。 ①国ではなく「地域」として捉えるインド ②印僑とインド民 ③インドとの選択的関係性 以下は、①国ではなく「地域」として捉えるインドについて述べた章である。 インドはひとつの国として振る舞っており、我々日本人もインドを日本と同じような国家として

          インドを見る視座 ①国ではなく「地域」として捉えるインド