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脳機能から見たワーキングメモリ

こんにちは。NPO法人日本インクルーシブ教育研究所の石井です。第7期学習・発達支援員養成講座5回目のテーマは『脳機能から見た発達障害』です。先日、オンラインライブ講座『脳機能から見たワーキングメモリ』が終わりましたのでお知らせします。

講師は広島大学大学院人間社会科学研究科教授の湯澤正通先生でした。ワーキングメモリ(情報を一時的に記憶しながら考える脳の働き)と発達障害の関係から学習場面で困っている子ども達への支援方法をお話いただきました。

それでは受講生から感想を紹介いたします。

・脳の黒板など視覚的にわかりやすく説明していただいたおかげで、ワーキングメモリについてよく理解することができました。一番初めの問題を解いている時にワーキングメモリのエラー状態に自分がなっていて、毎時間授業中このような状態になっているとしたら、やる気がなくなってしまうなぁと感じました。ワーキングメモリが低い子どもに手順書を作っています。できるだけ短い言葉と視覚的にわかりやすい図をつけて作るようにしています。他にも具体的な支援方法がありましたら、教えていただけると幸いです。【教員】
湯澤先生からの回答:1)情報の整理 2)情報の最適化 3)記憶のサポート 4)注意のコントロール の視点で考えていただければと思います。先生方が授業で行っている何気ない工夫を拾っていくとよいかと思います。

・ワーキングメモリについて詳しく学んでみたかったので、大変勉強になりました。療育施設で働いていますが、湯澤先生がおっしゃっていた、ワーキングメモリが苦手(弱い)子ほど、6歳以降に拗音や促音の入る言葉に弱く、漢字でも躓くようになるというのを聞き、納得しました。また、ワーキングメモリの弱さから学習の遅れも出てきやすくなるため、そうならないように、少しでも今の自分が子どもたちにできることは何か、具体的な方法を、子ども一人一人に合わせて見つけられるといいなと思います。参考文献も載せてくださり、興味のあるものもありましたので参考にさせていただきます。【児童指導員】

・アセスメント、実行機能、構造化のワードが今のわたしには、特にひびきました。教材教具を用意することや目あてを板書することは、だれの何のため?個々の実態を理解するために必要な知識をもち、それを何のために活かしていくか。「学習参加への子どものモチベーションを上げることができる」よう、アセスメントし、原因にあった支援をしなければならないとあらためて感じました。一つ一つの話が、例を出してくださったり、体験させていただいたりすることで、一層分かりやすかったです。グループでは、大人にはなかなか本心が伝えられないところがあるからむずかしいなど、安心して伝え合うことができました。ありがとうございました。【教員】

・ワーキングメモリ理論に基づいた学習支援の方法について学びました。資料のチェックリストは、わかりやすく、早速活用します。【放課後児童支援員】

・ワーキングメモリと聞くと、今までどういうイメージか想像できませんでしたが、本日の講義で一つ一つのプロセスがよく分かるようになりました。子ども一人ひとりの特性を理解し、その子に合った支援の仕方を考えなければならないと改めて思いました。ワーキングメモリについて、とても興味深く、ワーキングメモリは、働き続ければ、機能はますます伸びるのだろうか、色々調べてみようと思います。【ふれあい推進員, 学習サポーター】

・ワーキングメモリの特徴が良く分かり自分のボトルネックの幅、容量も大体想像出来ました。ただモヤモヤした部分があったのでありのまま書かせてもらいます。前半で話されたワーキングメモリのスコアの低い子は支援を行うことが良いと言われました。具体的にどういった支援をすれば良いですか?保育園では積み木で数遊びをしています。ASD、知的障害児の保護者の方が、就学前の遅れを気になさり3歳頃(現6歳)から学習塾に通わせていますが、身についてるかは別として、こういう体験も良い方法なのですかね。個人としてはお箸も持てないうちからえんぴつ持たせて...と思っていました笑 塾ではスモールステップで進んでいるかは分かりませんが、適切な環境でその子に合った方法で困り度を軽減して行いたいです。【保育士, 補助員】
湯澤先生からの回答:子どもが言葉やイメージを覚えながら、考えることが、ワーキングメモリの発達につながります。幼児期は、遊びにそのような活動が含まれていますので、自由に子どもの発想を生かしながら遊ぶことが大切と言えるでしょう。

・ワーキングメモリーの説明に関して、私がこれまで聞いてきた内容とは違った視点での解説を聞くことができ、知識の幅を広めることができました。【教員】

・ワーキングメモリーについて詳しく学ぶことができました。ワーキングメモリーが、実行機能であり、参加する、切り替える、抑制する,更新するという構造になっているということや、理論に基づきながら、支援者としての介入支援の具体化を図るために、個々の子どもに応じたアセスメントがとても大切だとわかりました。特に、言語発達のプロセスや、空間認知に課題を持つ子どもたちは増える傾向にあります。その支援策とされる学習支援方略を示していただき、理念が整理できました。学習上の問題がどこに原因があるのか発達検査の有効性とその数値と本人のパーソナリティや環境要因を総合的に捉えていくことを専門的な知見とその子をよく観察しアセスメントしていくチームづくりが有効なのだ思いました。これまで漫然と取り組んできた支援策が,ワーキングメモリーとの関連で意味付けられたことは有意義でした。さらに、音韻や音読スキルを上げる多層指導モデルMimや、ウエーブス,協調運動などこれまで通級指導において行われた専門的な内容の理解をさらに深めたいと思いました。これまで聞きかじって分かったような気になって支援してきた事の理論や概念が、専門的かつ体系的に学ぶ事ができる研修です。とてもありがたく思っています。【不登校教育支援センタースタッフ】

・参加ができて、初めて理解→習得→活用にいくのだと知り、目から鱗でした。ワーキングメモリが非常に高いのに、授業の参加でまず躓き続けている子達、とてももったいない時間の使い方をしています。年配の先生はとくに知らない情報なのでは?と疑ってしまいます。免許更新の必須科目にしてほしいです。このような特性のある子を集めて、教えるのが上手な先生が適切な方法で学習させてくれる学校があれば良いのに…と思います。学童は、様々な学びの場です。宿題や新しい事へチャレンジする際に、今日学んだことを活かしていきたいです。【放課後児童支援員】

・たくさんの学びをありがとうございました。ワーキングメモリーも奥が深いと感じます。小学校にも、学習に参加出来ない児童が一定数います。まだ私自身スッキリしませんが、子どもたちの脳に、個々に合わせて働きかけられるように、子どもたちをアセスメントしていきたいです。小学校入学時に、全児童にWISKなど受けるシステムがあれば良いなと思います。【特別支援教育アシスタント】

・ワーキングメモリの仕組みや学習支援のポイントがわかりました。実行機能全体についてもよく知りたいと思いました。【児童デイサービス】

・ワーキングメモリという言葉はよく出てくる言葉で大まかには理解していると思っていましたが、長期記憶の入り口と分かりやすい説明をしてもらえました。支援者はワーキングメモリ、切替、抑制の働きを補い、それによって実行機能が発達する。どの子にもわかりやすくするために、情報の構造化、多重符号化や情報の最適化を工夫していく具体的な例が参考になりました。【子育て支援センター 職員】

・学習の支援により、最終には、自分の特性を本人が知り、それに見合った学び方を自分でできること、それが自立につながるようになると先生が話されたこと、不登校等、参加しないと学習する機会が失われるので、まずは参加できる環境におかれるよう支援すること、ワーキングメモリの量ではなく、更新する方法がわかるよう色々支援するのが大事だということがわかりやすく説明してあり、とてもよかったです。【保護者】

・ワーキングメモリーについて 花瓶の入り口の例や 脳を黒板に例えてがとても分かりやすかったです。なるほどと思いました。また個人によってイメージ的なものと 言語的なものが得意不得意の特徴があるということも大変納得致しました。自分自身 物事を絵やイメージで捉えるところがあり その意味で右脳的で左脳的なことが苦手なのですが そのことを踏まえると特性によってどんな教材がいいのかを選ぶヒントになると思いました。子どもたちの支援に少しでも生かせるようにしていきたいと思います。【フリースクールスタッフ】

・業務の中で、小学校に入学後、国語や算数につまずき始めた子ども達が数名おり、その子達のつまずきの原因に、言語的、視空間的ワーキングメモリが関連しているのかもしれないという気づきになりました。ワーキングメモリの概念の確認、評価の仕方、対処法まで丁寧にご指導下さり勉強になりました。早速支援に繋げていきたいと思います。【言語聴覚士】

・現在、発達支援センターに硬筆教室の講師として、就学前の子たち対象に言葉文字指導にいっています。それぞれのこども達の状況に合わせて、グループ分けをしていて、個別グループ、2~3人グループ、6~10人グループです。2年前に先生の講座を聞き、大切なことを学べました。座ることが、難しいグループは、切り替えて、手を使う遊びをいれながらまず参加すること、座ることができるグループには、絵カード(視覚)と言葉(音声)、文字(視覚)をセットで言葉遊びをしながら、文字に親しむ。参加できて、ひらかなが読める子のグループは、言葉のまとまりで、例【ま】のつく言葉を、出し合って、書いたものをみんなで読む。その後、みんなで声を出しながら音声を使いながら書いてみる。『横二本、縦棒まっすぐあしくる』など。当初は、初めての試みに戸惑っておりましたが、現場の子どもたちの様子が、生き生きと意欲をもって、のぞんでいる姿をみていると、支援や指導する側の知識は、本当に大事だと感じています。まだまだ、工夫したりする課題はたくさんありますが、再受講でもう一度確認ができたことがとてもよかったです。先生のお話は具体的でこれからに又生かせていけそうです。ありがとうございました。【塾講師】

・ワーキングメモリーについて詳しい話を聞いた事が無かったので、わかりやすく教えていただき理解できました。授業のチェックリストは細分化されていてとても分かりやすく参考になります。最近子ども達の集中力が続かずどうしたらいいものかと考えてたので、チェックしてより良い授業を目指して努力していきたいと思います。ワーキングメモリーは年齢による限界があるのでしょうか?できれば年齢に抗ってこれからも養成講座などで学んで習得していきたいです。【特別支援教育アシスタント】
湯澤先生からの回答:遺伝と環境に関する問題と同様です。ワーキングメモリは、遺伝的な要因(年齢も含む)に制約されながら、環境と関わりながら、発達していきます。

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ここからは理事長の中谷の『ワークと対話の時間』の感想です。この日は苦手な人に伝える方法として、相手を主語にした「You(ユー)メッセージ」ではなく、「私」を主語にした「I(アイ)メッセージ」で伝えたほうが人間関係がうまくいきやすいことについてのワークをしました。

・中谷先生からのワークで取り上げられる内容も、実践的な内容となっています。講座を受けられる方々課題感や意識が高く、グループ対話がとても有意義です。今後ともよろしくお願いします。【不登校教育支援センタースタッフ】

・グループワークに随分慣れてきました。最初は緊張していましたが、今日は、今までで1番楽しく発言出来たと思います。【特別支援教育アシスタント】

・最後のグループワークでは、Iメッセージについての意見交換を行い、私は苦手な大人に対しては自分を守るために「できるだけ関わらない」「避ける」道を選んでいましたが、皆さんのお話を聞いて、そこで終わるのでなく、取り組みやすいところから練習していくのもアリなのかな、という気持ちを少し持つに至りました。大人になって自分の考えを曲げるのは難しいですが、柔軟性を持って人の話を聞けるように努力しようと思います。【言語聴覚士】

・時間に限りがあるのが残念ですが、交流でもう少しお話が聞きたかったなと、いつも思います。【塾講師】

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次回のオンラインライブ講座10/16は文部科学省 特別支援教育調査官の加藤典子先生がご登場です。子ども達が上手くいくときはどんな時なのか?そして子ども達はどんなサポートを必要としているのか?子ども達と教師と保護者をつなぎ、誰もが教室で幸せでいられるヒントをお話くださいます。詳細はホームページからご覧ください。NPO法人日本インクルーシブ教育研究所

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