スペイン語のクラスルーム
ミス.クラウディアは僕らのスペイン語の先生だった。僕らのというのはセカンドランゲージのスペイン語のクラスという意味で、つまりクナールやレイコやエイモンは隣のクラスで、ボクやソヨンやルアンダやヤネックやセバスチャンのクラスだった。いや、ヤネックとセバスチャンは被ってなかったかも知れない。とにかく僕たちの学校は入れ替えが多かった。
出たり入ったりが多いということは、すぐにまた新しくスペイン語をゼロから学ぶやつが入ってくるということである。加えて僕らの物覚の悪さもあるのかもしれないけど、僕自身は教科書の頭の方だけを3周くらいした気がする。猫や牛はスペイン語ではなんと言うのか、男性名詞女性名詞やら、冠詞やら。下手したらルアンダは5周くらいしていたかもしれない。動詞の活用も現在形の6パターンを覚えることは何度も通ったけど、過去形の活用は3年間いて一度しか通らなかった。
でも、ソヨンが急に喋れるようになったりした。多分外で遊ぶようになってスペイン語を話す友達が増えたりしたのだろう。誰かがスラングの意味を尋ねると誰かが笑って答えたりした。マクドナルドの注文は指で指しながらコンボデ〇〇(数字)って言えば良い、何か聞かれたらコカコーラって言っておけば良いと教わった。そうやって僕らは大体、教科書をほっぽり出していろんな質問をした。いろんな雑談をした。スペイン語を話すときはみんな少しコントの出演者みたいになった。それを楽しんだ。ヤネックのそれは他のみんなより少し過剰だったからイタリア人のような演技になった。
授業が始まる時にソヨンとヒュンジがお菓子を食べていたのを、ミス.クラウディアがコントの調子でスペイン語で注意した。ソヨンがあなたも食べる?と返した。ミス.クラウディアはありがとうと言ってお菓子を食べた。みんなで笑った。
みんなで笑えるために話した。話せるようになるために少し勉強した。ショートカットできるときはショートカットした。
『TIPs』
TIPs前書き
ディアナとルアンダ
チャンキーとミス.ニコル
ショウタとアリスター
アンドリューとエイモン
マックス、ダンテ、ベンジャミン
ホアンカとカルロス
ミスター.オリバーとミス.キャシー
冬場の朝は霞がかかっていたりして
2010年W杯at図書室
ヴィセンテナリオ通り(1)
エルダンテ通り、あるいはハムレット通り
スーペルオチョかピーナッツか
スペイン語のクラスルーム
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