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マックス、ダンテ、ベンジャミン

 ボクの名前はリョウだけど、どうやらこの発音も例にもれず難しいようで、レイコやリューヘーは「リョウだよ!」と中々支援的に他のみんなの発音の矯正に頑張ってくれた。
 早々にあきらめてライオとかって呼び始めるミス.マヌエラは別にすると、みんないろいろ試し試し実験してくれた。正直ありがた迷惑で「なんでもいいよ」といったんだけど、なんでもでもいいのが難しかった。さすがにソヨンやロンジはすぐにリョウと呼んでくれて、セバスチャンやアストリーは器用に語尾を濁したりしながらうまくやってくれた、ミス.クラウディアなんかは正直に難しいと笑顔で言ってくれてそれはそれで助かった。そう考えると情に厚いクナールや、やさしさの権化のようなミス.キャシーは最後まで食い下がった。リーヨの時もあったしディオの時もあったし、最悪の場合、ジョーにもなりかねなかった。

 マックスとダンテはサッカーが抜群にうまかった。ドリブルやリフティングを見ていて本当にメッシかよってくらいうまかった。ボクもヤネックもお世辞にもうまいとは言えない技術だったけど、体を寄せて少しぶつかると簡単に彼らからボールをとれた。ので、楽しかった。ベッハはさすがに二人に比べれば技術で劣るとはわかっていたのかもしれない。ボクとヤネックがとーりっぴの第一巡でマックスかダンテをとった。だから二巡目でベンジャミンをとったほうのチームがだいたい勝った。だから僕らは一緒にランチを食べた。サッカーはうまいけどとってもおバカな5年生のガキだった。先生の物まねをするだけで腹がちぎれるくらい笑った。ユニクロの面白Tシャツをネタに2週間くらい遊んだ。

 TIPsの横にはマポチョ川が流れていた。アンデスを引きずってサンチャゴの盆地へ進む茶色い汚い川だった。この三馬鹿は「リオ・デ・マポチョ」とボクのことを茶化した。マポチョはやめろとつっこんだ。めちゃめちゃウケた。いつの間にかボクはリオになった。マポチョは嫌だったがリオは心地よかった。いつの間にかクナールやミス.キャシーもリオと呼ぶようになっていた。

『TIPs』
TIPs前書き
ディアナとルアンダ
チャンキーとミス.ニコル
ショウタとアリスター
アンドリューとエイモン
マックス、ダンテ、ベンジャミン
ホアンカとカルロス
ミスター.オリバーとミス.キャシー
冬場の朝は霞がかかっていたりして
2010年W杯at図書室
ヴィセンテナリオ通り(1)
エルダンテ通り、あるいはハムレット通り
スーペルオチョかピーナッツか
 


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