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顧客育成より信頼醸成の方が信じられる。

BtoBのWebマーケでたまに登場するナーチャリング(顧客育成)という言葉を当初から信じていません。SaaS系企業のセミナーで初めてこの言葉を聞いたときから実に嘘くさいと思っていました。ぼくたちは身近な恋人の心変わりにも対応できないのに、何でもっと遠い存在の顧客は育成できるんだと。

顧客育成なんて起こるわけがないと思ったし、そもそも自分も体験したことがない。何でこの人たちは賢しらに言えるんだろうなと不思議でした。

このモヤモヤは何だろうな…と長年考え続けて(ぼくはしつこいのです)ようやく最適なツッコミフレーズが分かりました。「光源氏かよ!」


顧客育成ではなく信頼醸成

BtoBのWeb活用で起こりうるとしたら信頼醸成ですよね。顧客の育成じゃなくて信頼の醸成。ベクトルが逆だと思います。関係性の話なので。

育成)企業 → 顧客
信頼)顧客 → 企業

そもそも、「顧客は育成対象」なんてマインドの企業に好意なんて持てない。人によるのかもしれないけれど、ぼくは嫌です。


営業活動に役立つツールがWebサイト

「でも、機会損出や不戦敗を減らすことはできると思うんです。 これは一言でなんて言ったら...」

そんな声も聞こえてきます。わかります。大切ですよね。それはWeb以前から普通にやっていた「営業活動」だとぼくは思っています。そもそも営業活動ってそういうことだし。こまめに接触して状況を把握して顧客の役に立つ情報を提供する。いわゆる営業です。営業って売るだけではありません。売る手前の活動がとても大切で。だからこそ営業活動は信頼醸成にすごく重要だと思っています。

「お前が売りたいときに売ってもだめだ、お客さんが買いたいときに売らなければならない。そしてお客さんが買いたくなる環境というものはお前が作れるもんだ」

とても大切にしている指針です。営業活動とか、Webマーケティングとか、言葉は変われどやるべきことはこれだと思っています。

(最近ではインバウンドマーケティングという言葉で語られる概念だと思います。ぼくもこの考え方はとても共感しています)


ツールが役に立つ領域とは

その重要性は営業パーソンなら昔から皆知っている。でも手間がかかるし、とっても大変。大変だからこそ、できる人とできない人の差が激しい。営業成績に差が出る要因のひとつです。
そこにWebツールが登場したことでその活動が格段にやりやすくなりました。手間と時間も大幅に圧縮できるし、「人の差」が出にくい。すごく便利です。
でも、大切なことは昔から特に変わっていないし、昔からやっていたことです。それをやりやすくしてくれる便利なツールがMAやSFAやCRMであり、Webとの親和性が非常に高い。だからWeb活用が重要になる。その文脈理解が重要だとぼくは思っています。

ツールが何かをしてくれる訳でない。顧客が「相談してみようかな」と思ってくれるのはあなたの会社のプロダクトやサービスが課題解決の役に立つからであり、それをあなたが真摯に伝え続けたからです。その活動にWeb活用は貢献してくれます。


育成という概念はバリューを提供するマインドに合わない

「仕事」「商い」「ビジネス」言葉はなんでもいいですが、大切なことは変わっていないと思っています。だけど、それを「育成」といった途端に勘違いが生まれやすくてぼくは嫌だなあ…と思ってしまいます。そういう言葉を使う企業って本当に顧客に目線が向いているのかしらと思います。

Webは営業活動をやりやすくするための(顧客にバリューを提供しやすくするための)ツールだとぼくは思っているので、「育成」という言葉は何かそぐわないんですよね。マインドに合わない。個人的な違和感ですが、その感覚は大切にしたいと思っています。


関連note

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