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企業のWeb活用はそもそも業務なのか問題

創業117年の缶メーカー側島製罐株式会社、六代目の代表取締役・石川さんのnoteを読んで、本当にそうだなあと大いに共感しました。

ちょっと長いですが引用させていただきます。

この構造の重大な欠陥は、「企業活動のシワ寄せを社員の良心に押し付けている」という点にあると僕は思っています。経営視点の心理としては「今までみんなが自発的にやってくれていた(ということにしている)ことを労働時間にしてしまったら労働生産性が下がるんじゃないか」という懸念があるわけです。そしてもっと深掘りしてみると、経営的な心理の奥底にはパンドラの箱を開くような恐怖が盤踞していて、こうして企業活動の利益に資する社員からの奉仕サービスを正すことで全体の収益構造や社員の権利意識等のバランスが大きく乱れてマネジメントに支障をきたすのではないか、ということだと思います。しかし、それは個人的には経営都合の欺瞞であると考えています。そもそも無償労働に頼らないと労働生産性が水準に達しないという問題を棚上げにしたまま同調圧力による”無償奉仕”という形で補完するのは搾取的であり行間からも指示命令色が滲み出ているもので、ティール組織を目指す側島製罐のカラーとは相反するものであるという認識に至りました。

業務時間はその分減るし残業時間の労力やコストは増えるのかもしれませんが、それはその時向き合って解決すればいいことで、まずは真っ直ぐ正しくやってみて歪みと向き合っていくことが大事じゃないでしょうか。そういう経営の不完全さの容疑を認めて白日の下で歪みを正していくことは大きな痛みを伴いますが、そのスタート地点に立たない限りは根本的な問題解決や組織の信頼関係は生まれないんじゃないかと、個人的には思っています。

掃除は始業前なのか問題に対して、「まずは真っ直ぐ正しくやってみて歪みと向き合っていくことが大事じゃないでしょうか」という着地に大いに納得。真っ直ぐやろうぜ。が一番ですよね。JBNの掃除タイムもかつては朝の始業前でしたが、今は業務時間内に組み込まれています。

企業のWeb活用はそもそも業務なのか問題

前述のnoteは「始業前の掃除はそもそも労働なのか」という問いがコアになっていますが、地方企業のWeb活用でも近しいことが起きます。「企業のWeb活用はそもそも業務なのか」です。もちろん業務なんですけど。

Webは仕事というマインドが根付いていない会社では「仕事もやらずいつまでパソコンやってんだ」という風潮がまだあります。もちろん専任担当なんていないから他の業務を兼務しながらコソコソとブログ記事を書いたり、ダウンロード資料を作ったり、SNSを更新したりしている。優先順位は下がるから昼休みやプライベートの時間をあてるケースもある。当然のことながら間違っているし歪みなわけです。担当者さんや一部の人の善意やボランタリーで成り立っている状況は健全じゃない。仕事なんだから。

だから、Web活用支援を始める際には「今の実力を知りましょう。まずは現状把握が一番重要です」とよく言います。そんなの仕事じゃないと見なされていたものを全て「これは重要な仕事である」と宣言して、優先順位を下げさせない。それによって露呈されるリソース不足や上司の認識不足、組織の経験不足といった歪みこそが必要な現状把握でありお宝なので。往々にして足りないものだらけ…となりますが、把握できたことは全て伸び代です。あとはその空白地帯を埋めればいいんだから。やるべきことが可視化されてかえってありがたいくらいです。

もちろん、やるべきことの中に「できること/できないこと」が含まれていますが、その区分けこそが大切なので。「やるべきだけど自社ではできない」ということを見極められたら他の手が打てます。一番よくないのがそういった分解を避け続けて、現実の歪みから目を逸らし続けることです。オバケが怖いからと毛布をかぶり続けていても何も始まらないし、何も変わらない。できないことの把握はできることの推進にめちゃくちゃ役に立ちます。 見るものを見ずして蓋をして課題解決なんてできる訳ないですよね。今の実力を知ること。知ろうとすること。なんだってそこから始まるんだと思っています。

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