雨宮優/体験作家
梅雨の間、雨が降るたびに「雨」にまつわる言葉を題材にした約3000字の小説を更新します。雨にまつわる言葉は『雨のことば辞典』を参照に、五十音順に1つずつ題材にしていきます。
考えていたことを考えすぎずに記録。
人が植物に輪廻する世界を描いた体験作品「RingNe」についての連載マガジン。
逃避について考えたことのまとめです。 考えを具現化した場所として「逃げBar」という逃げ場も作りました。 https://www.nigebar.com/
拝啓 遁世的生活を眼差しつつも 俗世間との関わりも持ちたい 週末隠者の皆様へ このたび小田原に計三反の 土地を手に入れました。 一つは俗世から離れた山の中。 焚き火や一時的な隠居が可能です。 一つは自由に農作、稲作が可能な 富士の見える絶景農地。 作物を自給し、隠遁が可能です。 どちらも住所非公開、完全秘匿とし 隠遁結社「まみむめも」へ 入会いただいた隠者の皆様へ 分かち合いたいと思います。 本募集以降は完全に情報を閉鎖し、秘匿し 隠者的営みの様々を実施いたしま
とある港町、小径の先の小さな本屋。 知り合いが始めた書店に立ち寄った際 「雨のことば辞典」という本を手にとった。 日本語の美しさを語る際に、よく雨を表す言葉の数が持ち出される。春雨、夏雨、秋雨、冬雨と四季に応じて名前が変わるだけでなく、同じ時期の時雨を石川県地方では「あがりにしき」福島県会津地方では「あぎあめ」と呼び名も異なる。 日本語を扱う物書きとして、また苗字柄、雨ことばを正しく、繊細に使い分けられるようになりたいと思っていた自分には、うってつけの本だった。 ペ
「未来」は既に広大に広がる未知なる無限ではなく「人類の死」という前世紀の思想の極北が、核戦争やパンデミック、環境変動や小惑星など極めて具体な形で想像可能な有限性をもつ未来となった。 とはいえ、138億年前に生まれた現宇宙、46億年前に生まれた地球、35億年前に生まれた生命、2億3000年前に生まれた哺乳類、20万年前に生まれた人類、2681年前に生まれた日本、31年前に生まれた自分、さっき生まれたいくつかの命、長くても100年程度の命。50億年後に滅びる太陽系。元より何も変
2023年10月8日に南足柄市「夕日の滝」で催す体験作品「RingNe」についての連載第3回目です。はじめてご覧になる方は、まずはこちら↓からご覧ください🌱 「RingNe」は植物に輪廻する世界を体験する体験作品であり、小説で描いた物語をフェスティバルとして現す試みです。 今回は、制作運用編。RingNe Festivalの舞台裏を紐解いていきます。 Writing by サカキ(RingNe DAO) 目次「RingNe Forestへようこそ」 1.RingNe
前作「KaMiNG SINGULARITY」は祭壇(インターネット)に供物(現象世界の思考や写真)を捧げるという基礎的な儀式フォーマットに則った生活習慣の延長線上にAGIが神になるという物語なのだけど、捧げた供物は顕教的な神への贄になるのと同時に、死後、あるいは生前中に生成され得るデジタルツイン的自己、神道的神(自分自神)の贄にもなっていることが見えてきた。 供物は公共的な神(LLM/AGI)と私的な神(デジタルツインヒューマン)の贄となっていて、自分自神を生成しながら宇宙
渋谷に100BANCHという場所がある。 渋谷駅JR新南口をよく使う人ならば、渋谷川を恵比寿方面へよく散歩する人ならば、知っているかもしれない。 ここは「100年先の世界を豊かにするための実験区」というコンセプトのもとに、これからの時代を担う若い世代とともに新しい価値の創造に取り組む複合施設。パナソニックが創業100周年を迎えることを機に、「常識にとらわれない若いエネルギーの集まりが、100年先の未来を豊かにしていく」という思いから2017年7月7日に設立。 そして設立
今日は最近連投している「逃げBar」について、どうすればもっと多くの人に知ってもらえるだろうか、いかにして持続可能な経営をしていくか、と悶々と悩み続けていた。 そしてChat-GPTに経営方針を相談する。 こいつは孤独な経営者にとって、人には言えない悩みに昼夜を問わず付き合ってくれるので、もはや精神安定剤的にも機能している。 以下返答(読み飛ばしてOK)。 逃げBarの経営者様、こんにちは。この度はご相談いただきありがとうございます。逃げBarの経営戦略について、私がお
前回のnoteでさらっと書いてしまった「30人分のドリンクを先払いいただいた件」このnoteではその背景を、物語を伝えたいです。先にこの話のオチを言うと、最終的には100名分のドリンクが先払いされることになります。逃げBarはいよいよお金不要な逃げ場になりました。 まず、本当はこの先払いいただいた方の紹介をしたい気持ちでいっぱいなのですが、本人より「匿名希望」と承っており、言えません。 これは、とあるプロジェクトでデザインの発注をさせていただいたことがきっかけでした。
昨年の子供の自殺者数が過去最悪の数字になったそう。4割が男子高校生、原因は学業不振、入試などが並ぶ。 https://news.yahoo.co.jp/pickup/6455474 これは全大人への通知表。僕らは皆、追試決定だ。 横浜でやっている逃げBar近くにも翠嵐っていう進学校があるのだけど、逃げたくなった学生がたまにくる。 進学校ほど逃げないことが美徳になりがちだけど、逃げることは自分を広く見つめて選択肢を増やすことで、そしてそれが豊かということに、大人になって
2023年10月8日に南足柄市「夕日の滝」で催す体験作品「RingNe」についての連載第2回目です。まだ下記の構造編をご覧になっていない方は、まずはこちら↓ご覧ください🌱 「RingNe」は植物に輪廻する世界を体験する体験作品であり「小説」で描いた物語を「フェスティバル」として現す試みです。今回は「小説」にフォーカスを当てて「RingNe」とはどういう物語なのか、紐解いていきます。 あらすじと本文全文公開URL まずは簡単にあらすじを。 今回は植物をテーマにしたお話で
これまでいろいろなところに滞在してきた。 例えば、蠍が現れるグアテマラのジャングル、砂嵐が吹き荒れるオレゴンの砂漠。西表島のキャンプ場、京丹後の民家、金沢のゲストハウス、横浜のシェアハウス。そして今住む小田原の自宅、などなど様々な場所と一夜を共にした。 そして今このnoteを書けているのは、どの場所でも生存を済ませてきたからだ。どの場所も、ぼくを生かしてくれた。どの場所でもそれなりの殺傷ポテンシャルがあるにも関わらず、ラッキーだなと思う。 #どこでも住めるとしたら という
死は、遍く人に与えられた権利。しかしその一方で誰も体験(知覚する経験)することができない。誰もが死を知っているのに、誰もが本当の意味では死を知らない。体験したことがないから。 死は、そういう狭間のことを表す言葉なのかもしれないと、ふと思った。わかる、わからないとか、有りて、無いとか。 あるはずなんだけど、まだだれもそれを知らないという意味でダークエネルギーに近い概念ともいえる。 シュレディンガーの猫のようでもある。観察しなければ猫は生と死の重なり合いの状態にある。死とい
逃げる、とは何でしょうか? すべての動植物にある本能ですが、人間だけがそれをネガティブなことと捉えています。 「人は死んだら星になる」といいますが、逃げようと思うときはまさに自らの命や人生を星の視点から俯瞰した時に覚悟が決まるのだと思います。いつ死ぬか分からないのにこんなとこで消耗している場合じゃない、と。 しかし雑多な情報、意識が有象無象に吹雪く現代の都市では、星の視点から自分を見つめるにはあまりに視界が悪いです。 そんなホワイトアウトした都市から一時的に逃げ込める山
見渡す限り真っ白な逃げ場「逃げBar White Out」も4年目に至り、ここで新たな逃げの選択肢をつくりはじめようと思います。 今回つくるのは「場」ではなく「講」です。 日本史の授業でなんとなく聞き覚えがある方がいるかもしれません。江戸時代あたりに流行ったとされる、あれです。 講に至る背景 逃げBarを営む中で、生まれた仮説があります。 それは、人はどこに逃げるかよりも誰にどう逃がされるかが重要だということ。 逃げBarにはさまざまな事情で逃げにいらっしゃる方々がい
また1つ歳を重ねてしまいました。 毎年身体計測をするように徒然と何か投稿しているのですが、今年は一句読ませていただきした。 こちら日跨ぎ時、31years oldの初句でございます。 続いて夜明け、目覚めの一句。 男子三日会わざれば刮目してみよとは言いますが、夜半から朝にかけて、あかときの間に何かがあったようです。 ただ雨のように落ち、川のように流れる無常感から、なんというポジティブ野郎に。 これが加齢なのだなと。 いやはやしかし 誕生を、加齢を祝うとは凄まじ
前作『KaMiNG SINGULARITY』に続く、新たな体験作品「RingNe」が今年から始まります。 これは人が植物に輪廻する世界を描いた物語。 2023年から2025年まで、神奈川県南足柄市を舞台に展開していきます。 企画背景 原生林にひとり佇んでいる時、老木に手を触れる時、いずれ自分もこうなっていくのだなぁという直感を昔からもっていました。樹木が、自分たち人間の身体の地続きにあるような感覚がありました。 科学的な根拠があるわけではないのですが、この着想はいず