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「I’m A Japanese Murderer 」 第6話

「何故私がここに収監されるようになったのか、今日わかりますよ」

…何を言っているんだ?収監されるのは…

確かにおかしいと思った、何故ここなのか?“やつ”は住んでいる場所も殺人を犯した場所も違うし、管轄で、どう転んでもここに収監されるように…

…まさか狙ったのか?…

「何を?する気だ?」

「今日の為ですよ」

カチっと機械の音がした。

嫌な音だ、何故なら聞くことのない機械音だからだ、“ここでは“

まさか…

「まさかお前、今日大統領が見学に来ることを狙って…?!」

「えぇ…そのまさかです」

ガコーン…

と音がしたと思ったら、刑務所の全てのドアが開いていく音と罵声と奇声が聞こえ始めた

どんどん開いていく地獄という名の監獄の扉の音

ガコーン
ガコーン
ガコーン…

ビービービービー
アラームがあらゆる所から響き渡っている。まるで看守達の悲鳴の様に…。

暴動が起こる…死者が出る…

まさか?こいつが?!

ガコーン

ガコーン

ガコーン

地獄の扉の音もこんな感じなのかと呆然と思った

撲殺される

殺人に、暴行、レイプ、強盗…

挙げればキリがない程の犯罪者が今地獄の扉を開けて出てくるのだ。

武器なんてものはもう役に立たない

…あぁ、最後の晩餐になったなぁ…今日の朝ごはんが
シリアルとはまたしょぼいもんだ…

俺は自分の走馬灯を巡るまでの時間を漠然と見ていた

…目の前にいるこの子供みたいな日本人が今悪名高いこの監獄の扉を開けてしまったのだ

この棟はこの監獄の中で最高峰に危険極まりない、訪れるものが皆戦々恐々する所だ。

死を覚悟した

「大丈夫ですよ?この棟は」

「大統領もここに逃げてきますから」

「は??何が大丈夫なんだ?」

「誰も襲いませんよ、私が統制してますので安心して下さい」

「…何を言ってるんだ?

この棟だけで、200人は有を超える数で、悪名高い所だぞ?」

「…ほら、扉開いてるのに誰も襲ってこないでしょう?」

…たしかに。看守も"わかっている"かの様に動揺が見られない

…ゾッ

体中の穴という穴から何か吹きだきそうになる位の悪寒を感じた!

「こんなことあるのか!あるわけがない!あるわけが…」

「大統領がいらっしゃいますよ?貴方の腕の見せどろです!」

「なにを?…」
もう今が非現実すぎて、状況が掌握できない

護衛と必死な顔で転けそうになりながら、こちらに向かってくるのが目視できた

「…何故"ここなら安全だと?"わかってこちらにきているのか?」

辛うじて辿り着いた大統領とその護衛達を受け入れてまた看守は"当たり前のように"棟の入り口の扉を閉めた。
それ以外は個別の部屋から禁錮室まで開いているのに、誰一人暴動をしないし、「傍観」している

…警告が鳴り響く、自分の脳みそが細胞が今すぐここから逃げろと!

「…さぁ、英雄になる時間ですよ?」

「…何を言ってるんだ?」

もう英語を話されても日本語のようにわけがわからない言葉を話されている様だった…

思考が全く追いつかない


看守がそう言って鍵を閉めて、“やつ”にその鍵を渡した。

“やつ”は俺を見て微笑みながら言った

「さぁ、ヒーローの登場です」

俺を促して、そのモニター室へ誘おうとしたが

…ここに踏み込んだら一生出れないのでは?

拒否反応、全細胞が拒絶反応を起こし、脳みそが頭痛を促し逃げろと叫んでいる

…俺は自分の本能とは別にこの結末をみてみたいという僅かな1%の好奇心が優った事に自分自身絶望を感じながら、
促されるまま、“やつ”が開けたモニター室という地獄の扉をくぐった。


↓第7話 


#創作大賞2023
#オリジナル小説


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