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【放送後記】#10 親への辛い気持ちを軽くする【2】:自分の辛いエピソードを悪化させない

辛い過去のエピソードを繰り返し考えてしまう理由

 親への辛い気持ちが湧いていると、過去の嫌なエピソードが頭の中を駆け巡ってきます。そのエピソードは毎回毎回同じ内容であるにも関わらず、いつものように考えてしまう状態に、気分が落ち込んだり、怒りを感じたりすることも少なくないと思います。
 なぜ、そんなに辛い気持ちになるのに、私たちは過去のエピソードを繰り返し考えてしまうのでしょうか?その理由の一つとして、原因を理解したいという気持ちが背景にあるののかもしれません。過去のことを繰り返し考えることは「反芻(はんすう」と呼ばれ、気分を落ち込ませる思考の一種です。そして、反芻をしたところで、原因などはわからないことが多いようです。特に親子関係では、親の気持ちは推測に過ぎないので、明確な答えなどは出しようがありません。そんな時、反芻の内容はいつも同じで、いつも気分を悪化させるのであれば、反芻を積極的にしない心構えも大切になりることを知っておくと良いと思います。

自伝を本棚にしまうイメージを使ってみると

 私たちはイメージに苦しめられることが多々ありますが、イメージをうまく使うことで苦しみが軽くなることもあります。過去の苦々しいエピソードが頭に駆け巡ったら、自分のエピソードが書かれた自伝を読んでいるかのように感じてください。この自伝は昔から何度も何度も読んでいます。お気に入りでもないのに読んでいるのです・・。もう内容は完璧に頭に入っているので、そっと本を閉じて、本棚に戻しておくイメージを持ってみましょう。
 このイメージを用いると、まずは、自分が考え始めていることに素早く気づけるようになります。この「気づき」が必要以上に自分を苦しめなくてすむ最初のステップになります。そして、考えないようにしようとしないで、そっと脇に置く(本棚に戻す)イメージを持つことで、拒絶感を感じなくてすみます。拒絶感を強く持つと、余計にイメージが浮かんでくることもあります。私はなぜ、自伝を燃やすようにアドバイスをしないかというと、これらのストーリーも大事なあなただけのストーリーだと思うからです。本棚に戻す前には、「こんな辛い状況でも、よく頑張ったよね」と感想を添えて本棚に戻すことで、自分に優しくする感覚を味わえるからです。頑張った自分を無かったことにする必要はありません。まずは、自分を励ましたり、慰めたり、優しくすることが大切です。そのようなことができるようになると、いつか自伝を開かないで、あの自伝はあそこにずっとあるな・・と感じられるようになります。

心理学の知識を楽しくご紹介できるように、コツコツと記事を積み上げられるように継続的にしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。