韓国便の思い出〜お客様に助けてもらった話〜

たまにはCAっぽいお話を。

私がチーフパーサー(便の責任者)をしていた時、韓国便で、ある日本人のご夫婦が1番前に乗っていらして色々と私達とも楽しく話をしてくださっていました。

ご夫婦でときどき韓国語を話されていたので、もしかすると何か韓国にご縁のある方なのかな、と思っていました。

そしてもうあと少しで日本に到着、という時に、
後ろから歩いてきた韓国籍の女性が私に何か言おうとしたところで私に倒れ掛かりました。

意識と呼吸はあるもののそのまま倒れ込んでいて、
顔は真っ白。

貧血かな、低血糖?既往症?なんだろう、というのと残りのフライトタイム、他のお客様のこと等色々と頭の中にめぐらせながら英語で話しかけました。
韓国の方は英語が堪能な方も多いですが、こんな時にとっさに外国語なんて出てこないよね、、とは思いながらも
私は英語を話しますが韓国語は話せず、他のクルーが駆けつけてくれるも、その便に韓国語を話せるクルーはいませんでした。

すると先程の1番前のご夫婦がその様子を見てすぐに一緒にその女性をさすり、韓国語で話しかけてくれたのです。
するとその女性は泣きながら答えて、
「生理痛がひどいって、貧血みたいです。」とご夫人が訳してくださいました。
それを見ていた周りの方も一緒に女性を運んで、安静な体勢を作るお手伝いをしてくださいました。
私達はやるべき事とできる限りのことをして、その後は
女性はしばらくそのご夫婦に話を聞いてもらっていました。
ご夫婦が面白いことを言ってたくさんその女性を笑わせていて、おじいちゃんとおばあちゃんに話を聞いてもらってるお孫さんのように見えました。
きっとこのご夫婦とのお話が1番、何よりの薬になったんだろうなと思います。
着陸前には顔色も戻り、元気になってご自分のお席に戻られました。

この時は私まで泣きそうなくらい嬉しくて、ほっとして、
あぁ、お客様に助けてもらえるんだ、、と思ったのを覚えています。
それから、言語ができるって、こんなに人を安心させられるんだ、助けられるんだ、と。


その後、全然違うところで「何かあった時に、お客様に協力してもらえるようなサービスを」という言葉を聞いて、この時のことが蘇りました。
もちろん、大前提で安全面でのコマンド、サービスの質の管理義務等は私達にあります。
でも、この精神は色々なことに通じるんじゃないかなと思いました。

この時の他にも、私はお客様に助けてもらったことがたくさん。。
お客様にサービスする側なのに、私の方が心まで癒してもらったこともたくさんあります。

フライトは、本当に本当に、ドラマがいっぱいです。
そのフライトの間は、クルーもお客様も、いろんなものを共有する運命共同体。
宝物のような思い出がいっぱい。
毎回、全部書いておけばよかったとも思うけど、それをしなかったからよかったのかなとも思います。
本当に大切な思い出って、まとめあげたり、文字にして制限せずにホワホワとしたまま、生のままで置いておきたくなる。

でもこうして後で書くと、また感動がよみがえります。

お客様にも助けてもらったけれど、同僚にも数え切れないほど助けてもらって素敵なドラマをたくさん経験しました。

またいろんなほかの思い出も書きたいと思います。

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