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大地の“おおらかさ”と共に生きる-外の目で再発見する地域の魅力【Z世代の新・起業論】

この記事を読まれている皆さんは、地元にお住まいでしょうか。それとも生まれ育った場所とは違うところにお住まいでしょうか。
地元を離れたとしても、幼少期を過ごした場所はやはり特別なものだと思いますし、時を経てだんだん愛着が増していく方も多いのではないでしょうか。

ひろしま創業サポートセンターが、これからの「豊かな」働き方を志している起業家をシリーズで紹介する「Z世代の新・起業論」第3弾は、巡り巡って生まれ故郷に戻り、土地や地域と密接につながって暮らす柑橘農家さんを取材します。

第1回・第2回はこちら↓↓

今回取材した起業家は、尾道市瀬戸田町で柑橘農家を営む原田充明さんです。穏やかな瀬戸内海に浮かぶ生口島で、ご両親と一緒におよそ20種類の柑橘を栽培されています。

本体の取材班に同行して、さまざまなこぼれ話を拾いました。

島外の人が教えてくれる「瀬戸田っていいな」

海と空の青、木々の緑、そしてレモンの鮮やかな黄色。
織りなすコントラストが美しい瀬戸田ならではの景色が広がるこの場所で、原田さんは生まれ育ちます。「自分が柑橘農家を継ぐんだろうな」と幼心に感じつつも、思春期を迎える頃には「島の外に出たい」と思うようになったそうです。

そこから全寮制の高校を選び、県外の大学へ進学。農業を学び、また農業に関わる仕事を続けるなかで、徐々に地元や農園への想いが強くなっていきます。そして2017年、家族で瀬戸田にUターン。稼業である柑橘農家で働き始めます。

海をバックにジャケット写真撮影。(原田さん(左)と、第1回・第2回に続き、インタビュアーを務めた井口都さん)

皮まで安心して食べられる「せとだエコレモン」などの栽培に取り組むほか、自分ならではの技術や価値観を伝えていくため、「観光」と「農業体験」を組み合わせた「おてつたび」というコンテンツを提案するなど、時間も労力も惜しまず新しい取組みを次々に始めています。
特に「おてつたび」は、年齢は10代から70代まで、職業も学生からサラリーマン、料理人までといった感じで、個性あふれる旅人が原田農園のお手伝いにお越しになったとか。
畑からの帰り道、「遠くに見えるあれはなんですか?」「海に沈む夕日がきれい!」と思わず声をあげ、島の豊かさに惹かれるお手伝いさんたち。「住んでいると気付かないけれど、それも瀬戸田の魅力なのだ」と原田さんは改めて感じたそうです。

瀬戸田では、移住者や若い人たちが新しいことをいろいろ始めています。そんな人たちと一緒に瀬戸田をもっと活気づけていきたい。そうして瀬戸田で暮らすみんなが元気になり、瀬戸田の柑橘も今以上に盛り上がったらいいですね。

好評の「おてつたび」からヒントを得て、それなら他にもいろいろできるんじゃないかな?と妄想されることも多くなったそうです(笑)。

ゆっくりとやわらかい口調で「地域活性化」を掲げる原田さん。地域の人、そして島外の人と交わりながら”おおらかに”生きる原田さんは、どんなことを大切にし、農業に対してどのように向き合っていらっしゃるのか。ぜひ本編でお読みください。

取材班・花谷千尋さんが感じたこと

農家さんにとっては当たり前。自然と人間の関わり方

取材班のひとり、「ことば作家」としても活動する花谷さん。取材を終えていかがでしたか?

原田さんのお話は、私が大切にしたいことに通ずる部分が多くあり、心がふるえる時間でした。
自然と人間について、現代だと対峙する別のものとして考えられがちですが、そもそも人間は自然の一部であって、敵対したり抗ったりするものではないし、ましてや人間がそれらを脅かしてはいけないと思っています。農家の方にとってはそれが“当たり前”ですが、同じ土地に住んでいても、自然のことなどを考える余裕もない生き方をしている人がいるのも事実で、その差はどんどん大きくなっていると思います。

「柑橘のおおらかさが好き」と語る原田さん自身のおおらかさは、その“当たり前”の上で、人が豊かに暮らすこととのバランスが取れているからなのかなと感じました。

花谷さんは「知識だけで頭でっかちになりたくない」と、庭の一角を耕して小さな畑を作られたそうです。まずは家庭菜園で何かを作って、食べて、命をつなぐことを経験することで、花谷さんの生み出す言葉もさらにイロドリ豊かになりそうです。


EDITORIAL NOTE —小林のつぶやき

花谷さんの心をふるわせた「柑橘のおおらかさ」については、ぜひ本編をお読みくださいね。

海なし県出身の小林は取材中、終始海に見とれていました(もちろん聞き耳は立てながら笑)。柑橘もおおらか、海もおおらか、暮らす人もおおらか。瀬戸田という島全体がおおらかさに包まれているように感じました。
私も地元から遠く離れて働く一人ですが、やはりいつもどこかに地元の面影が浮かびます。
広島から我が地元へ、愛をこめて。

『いま、い“こ”』 小林祐衣

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