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【お薦めの一冊】 運動や英語の取り組みに挫折したことがある方へ / 「小さな習慣」 スティーヴン・ガイズ

今まで多くの本を読んできました。

その中には、私の人生に良い影響を与えてくれた本が沢山あります。

そんな本の感想を書き留めておくことで、私自身の備忘のためにも、また、これを読んで下さった方の本選びにも、少しでもお役に立てばと思っています。

1.運動や英語の取り組みに挫折したことがある方へ

本書は、あなたが日々の生活に取り入れたいと思っている新たな習慣について、その身につけ方を紹介してくれます。

ダイエットや健康維持のために運動を毎日したい。

いつか英語が話せるようになるために、英語を毎日勉強したい。

仕事のスキルアップのために、毎日読書をしたい。

・・・

皆さんの誰もが、何か新しい習慣を取り入れようと試みたことがあるはずです。

ただ、そのほとんどの試みは失敗に終わったはずです。

本書の著者であるスティーヴン・ガイズ氏もそんな皆さんと同じような一人でした。

毎日の運動を習慣にしようと努力しては失敗し、一向にそのような習慣が身につかないままでした。

しかし、ある試みをきっかけに運動を習慣化することに成功したのです。

2.著者スティーヴン・ガイズ氏と「腕立て伏せ一回チャレンジ」

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著者のスティーヴン・ガイズ氏は、自己成長に関する調査を行うと共に、ブログや書籍でその成果を発表している方です。

本書は、筆者が2012年12月28日に始めた「腕立て伏せ一回チャレンジ」という取り組みがきっかけとなっています。

筆者は、当初は毎日30分の筋トレ・運動を目標としましたが、どうしても継続することができませんでした。

そこで、筆者は全く逆の目標を立てることを思い付きます。

それが、「毎日一回だけ腕立て伏せをする」という目標でした。

このように、当初の目標から大きく離れた目標を立て、実際に筆者は2013年を通じてこの腕立て伏せ一回チャレンジに挑みます。

その結果、なんと、筆者は毎日腕立て伏せを継続できたばかりでなく、2013年6月下旬にはスポーツジムに通うまでに至ります。

また、2013年9月からは、読書や執筆活動にもこの習慣を応用し、結果として本書を出版するまでに至ったのです。

では、なぜ筆者は、「毎日一回だけ腕立て伏せをする」という一見すると小さな目標を実行することによって、当初の目標まで達成することが出来たのでしょうか。

本書では、その秘密を明らかにしています。

3.小さな習慣とは

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筆者がこの腕立て伏せ一回チャレンジを実行して気づいたことは、「小さな習慣」の重要性です。

小さな習慣」とは、あなたが新たな習慣にしたいと思っている行動を、最も小さい形にしたものです。

それは、バカバカしいほど小さなステップから成り立ちます。

例えば、筆者の場合であれば、1日30分の運動・筋トレを習慣化するために、「毎日一回だけ腕立て伏せをする」ことを目標として取り組みました。

そのほかにも、1日30分の英語の勉強を習慣化したいのであれば、「毎日英語のテキストを1ページ開く」ことを目標とすることが考えられます。

また、1週間に一冊本を読みたいのであれば、「1日に1ページ本を読む」ことを目標とすることが考えられます。

このように、当初の目標を最も小さい形にした目標を設定し、それを毎日実行することによって、その行動を習慣化します。

それが、「小さな習慣」を身につけることを意味します。

では、なぜそのような「小さな習慣」が望ましいのでしょうか。

4.脳はそもそも新たな習慣を望んでいない

運動、勉強、英会話・・・など、私たちは今まで多くのことに挑戦してきました。

しかし、それを習慣にしようとしても、三日坊主で終わってしまうことがほとんどです。

ただ、それは当然と言えば当然のことなのです。

なぜなら、私たちの本能がそれを望んでいないからです。

残念ながら、私たちの脳はそもそも同じ事の繰り返しを望んでおり、変化は望んでいません。

それは、人間にとって、いつもと異なる変化を伴う行動をすることは、脳にとっても身体にとっても負担となるからです。

そのため、人の脳は大きな変化に抵抗を示します。

たとえそれが望ましい変化だと分かっていても、そもそも変化自体を本能的に拒否するように出来ているのです。

このように、人間は本能的に変化を望まず、私たちは、恐ろしいほど毎日同じ行動を繰り返しているのです。

5.今のあなたの45%は「習慣」で出来ている

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そのように言われても、同じ一日の繰り返しなど無いと思う方もいるかもしれません。

私たちは、毎日、その場その場で自分で選択した行動を行っているようにも思えます。

ただ、よく考えてみると、私たちの日々の生活における一つ一つの行動は、驚くほど無意識に繰り返されている行動であることが分かります。

例えば、朝起きてほぼ無意識のようにシャワーを浴びる方もいるでしょう。朝の通勤・通学においても、電車に乗ればほぼ無意識のうちにスマホを取り出して覗いていることでしょう。家に帰れば、無意識のうちにテレビをつけている。パソコンを立ち上げれば、いつの間にかYouTubeを見ている・・・

今日一日を振り返ってみて、自分が行なった行動の中で、本当に真剣に考えて意思決定をした上で行ったことがどれだけあるでしょうか。

実は、私たちは、毎日の生活における行動のうち、45%は習慣として無意識に自動的に行なっていると言われています。

つまり、今のあなたの人生は、その45%が意識しない行動、つまり、習慣的行動で成り立っていると言えます。

これを読んでいるのが週末であれば、一週間を振り返ってみて、45%以上は今までと同じ行動を無意識に行なっていたようなものと言われても、納得してしまうのではないでしょうか。

このように、私たちの脳や体は、そもそも新たしいことを望んでおらず、そのため、何か新しい習慣を身につけることは容易ではないのです。

6.脳が拒否反応を起こさないレベルの変化を目指す

そこで本書が提案している方法が、「小さな習慣」です。

脳が変化と気づかないような、小さな行動を目標とし実行することで、脳に拒否反応を起こさせないようにして、その小さな行動の習慣化を図るというものです。

7.小さな目標のメリット

このような小さな目標は、習慣化に繋がりやすいという点も含め多くのメリットがあります。

本書では、その多くのメリットを挙げていますが、主なも点として以下のものがあります。

(1)習慣化に繋がりやすい
(2)意志の力で実行でき、モチベーションが不要
(3)少しでも実際に行動することにより、大きな行動に繋がる

(1)習慣化に繋がりやすい

最初に述べた通り、脳は新たな行動を嫌い、無意識に同じ行動を繰り返す傾向があります。

それがいわゆる「習慣」です。

そして、ある行動を習慣化するためには、とにかく日々、その行動を繰り返すしかありません。

その際に注意しなければならない点が、脳や身体は大きな変化は望まないということです。

つまり、

【1】ある行動を習慣化するためには、その行動を繰り返す必要がある
【2】一方で、脳や身体は大きな変化は望まない

という2点を踏まえる必要があります。

そのため、ある行動を習慣化するためには、脳や身体が抵抗を示さないような小さな行動を日々繰り返す必要があるのです。

そこで、私たちが新たな習慣を身につけようと思った際は、大きな目標を立てるのではなく、小さな目標を立て、それを日々繰り返すのが望ましいことになるのです。

(2)意志の力で実行でき、モチベーションが不要

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さらに、大きな行動(例えば「毎日30分、運動・筋トレを行う」)を実行するには、モチベーションという大きな力が必要となります。

上述の通り、脳や身体は大きな変化を拒むため、大きな行動を起こすには、そのような拒否反応を覆す力が必要となるからです。

ただ、このモチベーションは、人間の感情に大きく左右されます。その日の出来事、気分、健康状態、疲労などあらゆる要素に左右され、日々、大きなモチベーションを保つことは困難です。

それこそが、三日坊主で終わってしまう原因です。

「今日は疲れた」「今は気分が落ち込んでいる」「忙しい」など、様々な要因によって、大きな行動は簡単に実行不可能になってしまいます。

一方、小さな行動(例えば「毎日一回だけ腕立て伏せをする」)であれば、それを行うにはモチベーションは不要です。

必要なのは、ほんのわずかな小さな意志です。なぜなら、脳や身体が抵抗とも思わないような小さな変化だからです。

「今日は疲れた」「今は気分が落ち込んでいる」「忙しい」など思っても、一回の腕立て伏せであれば、その場で一瞬で行うことができます。

そのため、小さな行動であれば、気分、健康状態、疲労など人間の感情に左右されることなく、淡々と行うことができるのです。

ただ、本書もモチベーションの効果自体を否定する訳ではありません。

モチベーションにもとても望ましい効果がありますし、モチベーションを保つことは重要です。

それが次の点です。

(3)少しでも実際に行動することにより、大きな行動に繋がる

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モチベーションは、その日の感情等に左右され不安定なものですが、一方、モチベーションがあれば私たちは物事により積極的に取り組めます。

モチベーションを高める方法は色々ありますが、モチベーションは、実際に行動することによっても高まります。

つまり、人間は、自分が行動を起こしている姿を見ると、モチベーションが高まるのです。

皆さんも、勉強や仕事を始める前は全然気分が乗らないのに、いざ勉強や仕事に少し取り掛かると、だんだんと気分が乗ってくることはないでしょうか。

これこそが、まさに、実際に行動を起こすことによってモチベーションが高められた状態です。

つまり、小さな行動であっても、実際にそれを行うことによってモチベーションが上がり、小さな目標以上の大きな成果を得られることになるのです。

実際に、筆者も腕立て伏せ一回チャレンジでは、本当に1回しかしない日もあれば、最初は1回だけだと思っても、結局は5回、10回と続けることができたのです。

このように、モチベーションには、最初の一歩を踏み出した後のブースト効果があり、小さな行動にはそのブースト効果を呼び起こす力があるのです。

つまり、

(×)「モチベーション」→「行動」ではなく
(○)「行動」→「モチベーション」

と考えるのです。

そして、このような力があるからこそ、小さな行動を習慣化することで、結果として大きな目標の達成にも繋がるのです。

8.小さな習慣を身につける8つのステップ

本書では、小さな習慣を身につける具体的な方法を8つのステップに分けて説明してくれています

(1)身につけたい習慣をリストアップする
(2)「なぜドリル」を使う
(3)行動開始の合図を決める
(4)報酬プランを考える
(5)全てを書き留めておく
(6)小さく考える
(7)スケジュールを着実にこなし、期待し過ぎない
(8)習慣になる兆しを見逃さない

以下では、特に重要であると感じた(1)と(7)について簡単に紹介します。

その他の点についても、小さな習慣を身につけるためには重要な点ですので、ぜひ本書で確認してみて下さい。

(1)身につけたい習慣をリストアップする

身につけたい習慣は、1つである必要はありません。

ただ、最初は2つか3つ程度に絞ることが望ましいとされています。

なぜなら、たとえ一つ一つは小さな習慣でも、数が多いこと自体が大きな目標になってしまうからです。

そして、選んだ習慣を「ばかばかしいほど小さく」します。それが小さな目標です。

具体的には、忙しかったり、疲れていたり、やる気の起きないような時でも、ちょっとの行動で取り組めるほどに小さくします。

2つや3つの小さな目標を選んだとしても、全部合わせても10分以内で終わるようにします。

(7)スケジュールを着実にこなし、期待し過ぎない

とにかく、小さな目標を達成することを徹底します。

時には、小さな目標を達成すると、そのまま勢いが出て、大きな成果を挙げる日もあるでしょう。

ただ、それでも、あくまで目標は小さな目標のままです。

小さな目標を日々達成していると、脳は無意識に新たな目標を設定しようとしてしまいます。

例えば、当初は「毎日一回だけ腕立て伏せをする」が目標であったのに、それを毎日繰り返していると、次第に「毎日30分、運動・筋トレを行う」が目標と思い始めてしまいます。

しかし、それは危険なサインです。

そうして頭の中で大きな行動が目標となってしまうと、ここまで述べてきた小さな目標の利点が失われてしまいます。

そのため、自分の目標はあくまで小さな目標のままで変わっていないのだと、常に意識しなければいけません。

あくまで小さな目標を習慣化することが目的です。

小さな習慣が身につけば、あとはモチベーションの力で自然に大きな成果が挙げられるようになってきます。

9.人生を変えたいなら習慣を変えよう

私たちの日々の生活は45%が習慣で成り立っています。

これは、言い換えると、私たちが新たな習慣を身につけることができれば、人生の45%を変える力を秘めていることも意味しています。

本書は、そのような大きな可能性を秘めた「習慣」という力を身につける方法を教えてくれます。

大きな目標を叶えるための、最初の小さな一歩を踏み出す手助けとして、本書は必ず役に立つはずです。

本日も最後まで読んで頂きありがとうございました。

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