入間さん

名古屋市でぼんやりとしています。

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最近の記事

花の死臭

勉強は数字で見えるから楽しい 共通テストの過去問で8割取れるようになった。自分の場合は英語に全振りすればいいから楽だ。 しかし課題は時間と集中力の持続だ。正答率よりもまずは全問解くことを目標にしよう。 何に憚ることなく勉強だけしていればよかった頃が懐かしい。それでも勉強はしてなかったけど。 これまでの私の勉強というと関心を持ったごく狭い範囲の書物だけをひたすらに読むか嫌々にやっているふりをするの二択だった。 勉強とはつまり情報を体系化し理解するための訓練だ。 「二次関数なんて

    • 梅雨入り劫

      コンサータを飲み始めたことによる恩恵の一つだと思う。 ADHDによって集中ができなかった。薬でその凹みを補えたのでようやく脳味噌が活用できているように感じる。 聴く 音楽を聴かなくなった。一日10時間はつけているイヤホンで聞いているものといえば主にyoutube。なにかの情報が入ってこないとむずむずする情報ジャンキーになりつつある。 広く浅くほどよく好奇心を満たしてくれるエンタメが好き。 情報ジャンキーの弊害 常に何かをインプットしていないと落ち着かない。寝る前ですら。

      • 孤独の人の楽しみ

        美食 今月はおいしいものばかり食べていた。コース料理を月に二回食べたのは初めてだ。 善の研究 台風が去った翌日の強風の中、眼の前でOLさんが書類をばら撒いてしまい必死にかき集めていた。駆け寄って集めるのを手伝った。しかし極力何も言わずなるべく目も合わせずに散った書類を集めるのを手伝ってさっさと引き上げる。 私は比較的困っている他人を助けることが多いが感謝されたりするのが苦手だ。 感謝されたいとか善行がしたいわけでなく、問題が起きたときにそれに対して適切な対応がしたい、という

        • 薔薇の月

          タイムラプス 毎日変化がないと日々の速度が加速していく。タイムラプスで見ているように感じる。自分以外のあらゆることの速度が上がる。私だけがそのまま。 妻に髪の毛が減ってきていると言われる。 自分の体すらも私を置き去りにすることに愕然とする。 ノードラッグデー 薬を忘れて断薬する。案外なんとかなる。しかし妻から見るとコンサータを飲んでいないとしんどそうに見えるらしい。 私は飲まないで30年くらい生きてきたからなんでもないが傍から見ると違うらしい。 とにかくぼやぼやして腹が減る

        花の死臭

        マガジン

        • 〈小説〉ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム
          21本

        記事

          <小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第二十一回 夏祭りのラウドスピーカー

          Chapter 20 夏祭りのラウドスピーカー 公園は午前中から人混みだった。  ニシから川を挟んだエリアにあり、公園は市内で最大の面積があり、敷地内にはスポーツ施設や公営図書館、よく手入れのされた花壇や噴水広場もある。  横はすぐ堤防になっていた。堤防からツインタワーをはじめビル群も見ることができるし、夏になれば河川脇の開けた視野のおかげで遠くの花火も見える。近所の住民にとっては格好の散歩スポットだ。  しかしこの日は様子が違った。  公園では男も女も老いも若きも首にタオル

          <小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第二十一回 夏祭りのラウドスピーカー

          春は二度来るほっかいどう

          北海道旅行は三泊四日が急遽二泊三日になり再度三泊四日になる右往左往。 道東では桜が咲いている。過ぎ去った春に追い付いた気分。日本の中で異なる季節が過ぎている。 北海道ワンダーランド 飛行機、特急列車、車を乗り継ぎ総距離1,100kmの最果ての湖畔で英文法の勉強をしている。不思議な気分。 今生の別れ(五年ぶり三度目) 祖母と妻を会わせる旅の目的を果たす。90も見えてきていよいよ弱ってきたと聞いていたが拍子抜けするほど元気。貶すことで親愛を示すスタイルのコミュニケーションも健

          春は二度来るほっかいどう

          <小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第二十回 夏祭り実行委員会

          Chapter 19 夏祭り実行委員会 井上と入れ違いにサングラスが俺の横に立った。俺をここに連れてきてからずっと他のテーブルにいたのだ。こいつはサングラスをつけたまま何を食ったのだ? 「ホテルに戻るぞ」  サングラスが言った。ここからなら歩いても帰れる距離だがそうはさせないのだろう。大人しく席から立ち上がりサングラスのあとについて行く。店内の客から盗み見るような視線を感じた。  ツインタワー東側の正面ロータリーに降りる。台風は街を外れて過ぎていったが、まだ風は吹いていた。霧

          <小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第二十回 夏祭り実行委員会

          <小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第十九回 クーデター計画とウィンク

          Chapter 18 クーデター計画とウィンク「単刀直入に言うとですね、まずは鈴木さんの会社の業務記録や顧客名簿ですね」  どちらもボスに指示された通り確保してある。業務記録とはよく言ったものだ。顧客が未成年者と倒錯的なセックスに耽る様子の隠し撮りだ。活用すれば俺もそれなりの金にできるだけのネタだ。しかしそんなことをしたらすぐに行方不明になるのはわかっている。 「そして小夏ちゃんの身柄ですよ」  ホテルに押し込められてから丸一日、食事以外は部屋で尋問を受け続けていた。食事

          <小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第十九回 クーデター計画とウィンク

          <小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第十八回 人道的な配慮

          Chapter 17 人道的な配慮 車は空港から出るとそのまま海岸沿いの道を走った。花火見物客の路上駐車が多く蛇行して進む。  女の運転は荒かった。殺されかけたばかりなのだから仕方ないだろう。まだ肩を上下させている。  俺だってそうだ。動悸は止まなかったし、現実感が戻ってこない。  しばらく進むうちに感覚だけは少しずつ戻ってきた。 「もし動けるなら座席についてシートベルトを締めて下さい」  耳鳴り越しに女の声が聞こえた。平坦な口調だったが声は少し震えていた。大人しく従う。ドア

          <小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第十八回 人道的な配慮

          <小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第十七回 閃光、鈍痛、失禁

          Chapter 16 閃光、失禁、鈍痛 職員用駐車場に停まっている車は少なかった。  ビルの陰から黒いワゴン車が出てきてこちらへ曲がってくる。運転席に田中の顔が見えた。田中は俺を見るとにかっと笑った。右の頬からこめかみににかけて大きなガーゼが当ててある。腕は包帯だらけだ。 減速していたとはいえ走っている車から飛び降りてその程度で済んだなら本当にタフなやつだ。  田中はワゴンを俺たちの脇にゆっくりと停めて運転席から降りてきた。ボスは暑いから中で待つと言い助手席に乗り込んだ。  

          <小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第十七回 閃光、鈍痛、失禁

          <小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第十六回 空港の特別ラウンジ

          Chapter 15 空港の特別ラウンジ 壁にはイルカの絵がかかっていた。ジェットの排気音が申し訳程度に開いた曇りガラスの小窓から聞こえた。  予約した便はとっくに出発していた。ぎりぎりで押さえた最後の1席だった。その席はキャンセル待ちの誰かを乗せて飛んで行った。  素っ気ない長机を囲んで椅子が4つ置いてあって、壁の一面は鏡張りだ。マジックミラーだろう。まるで警察の取調べ室だ。それなのにイルカの絵だ。  出国カウンターでセキュリティが寄って来て有無を言わさず部屋に押し込まれて

          <小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第十六回 空港の特別ラウンジ

          内向的ゴールデンウィーク

          趣味としての勉強 古文や英語の勉強が楽しい。私の知能は言語能力に偏っているので当然といえば当然だ。 Audibleで朗読を聴きながらテキストに向かっているどゾーンに入る。 思いのほか記憶力や集中力は落ちていないと感じる。2時間向かって一時間休んでまた2時間。 ゴールデンウィークは家にこもって勉強漬けになりそうだ。 バーチャル予備校生 充実感がある。ゴールデンウィークは見事に英語と数学の勉強しかしていなかった。 リクルートのスタディサプリに加入してバーチャル予備校を体験した

          内向的ゴールデンウィーク

          <小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第十五回 ドライブ・マイ・カー

          Chapter 14 ドライブ・マイ・カー  諦めて家へ帰ることにした。  不動産屋に言われるまま家具と家電もセットで契約して家賃と一緒に割賦を払っている。おかげで冷蔵庫も洗濯機もテレビもまとめて最新のものが揃った。その割賦を払い終えるまでもなく逃げることになった。やたらと笑顔の爽やかな不動産屋の店員を思うと心苦しい。  ナビの画面をテレビに切り替えた。  ニュースは接近している台風の情報を伝えるといつも通り流行のテロと暴動の最新情報になった。  杉浦がコメンテーターとして解

          <小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第十五回 ドライブ・マイ・カー

          <小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第十四回 蝉、逃げ遅れたあと

          Chapter 13 蝉、逃げ遅れたあと 業務は停止していた。  児童福祉局が入ってきたわけじゃない。とにかくそれどころじゃなくなった。  杉浦に呼び出される前日、つまり事件の翌日にはボスは雲隠れをしていた。  会った時はいつものようにボスの自室で葉巻を吸いながらだった。  番犬みたいな運転手ががさごそと荷造りをしていて落ち着かなかった。 「どこへ行くんですか?」  一通り話が終わって俺は尋ねた。 「ほとぼりが冷めるまで馴染みの宿にいるよ。夏だし骨休めも兼ねてね」  口調はゆ

          <小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第十四回 蝉、逃げ遅れたあと

          <小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第十三回 気分はもう暴動

          Chapter 12 気分はもう暴動 爆発音が聞こえた。壁が震えたような気がした。店内のやかましさが一瞬で静まる。  事件以来、各地の花火大会は異常な盛り上がりだ。花火大会がピークの時季だった。     事件の翌日に予定されていたとある地方の花火大会では、主催者が陽も落ちていよいよというタイミングで自粛を発表して、詰めかけた群衆はそのまま暴徒になった。それ以来、各地で連日花火大会が続いた。  静まった店内に期待が積もっていくのがわかった。ほんの一瞬の沈黙を埋めるように、客同士

          <小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第十三回 気分はもう暴動

          <小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第十二回 イエロージャーナリスト

          Chapter 11 イエロージャーナリスト 典型的なトバシ記事だ。そして記者は作家志望なのか筆が滑りまくっているのがわかる上司か校正係は添削をしてやってくれ。読みながらそう思った。  しかし内容はどのメディアよりも正確だった。夕刊ゲンザイから目を上げた。  本誌記者が目の前にいる。Sこと杉浦だ。半端な長髪を掻き分けるのが癖だ。全体的に汗か脂でツヤツヤとしている。俺を安酒場へ呼びつけてひっきりなしにビールを飲んでいる。 「大原とあなたの会社の付き合いについてネタがある。話を聞

          <小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第十二回 イエロージャーナリスト