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〈小説〉ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム

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少女売春組織の中間管理職である鈴木が仕事中に遭遇した爆弾テロをきっかけに政治的陰謀に巻き込まれていく。名古屋によく似た街を舞台にした冒険小説。 某新人賞落選作品 全30回前後を… もっと読む
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記事一覧

<小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第十五回 ドライブ・マイ・カー

Chapter 14 ドライブ・マイ・カー  諦めて家へ帰ることにした。  不動産屋に言われるまま…

入間さん
23時間前
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<小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第十四回 蝉、逃げ遅れたあと

Chapter 13 蝉、逃げ遅れたあと 業務は停止していた。  児童福祉局が入ってきたわけじゃな…

入間さん
2日前
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<小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第十三回 気分はもう暴動

Chapter 12 気分はもう暴動 爆発音が聞こえた。壁が震えたような気がした。店内のやかましさ…

入間さん
4日前
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<小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第十二回 イエロージャーナリスト

Chapter 11 イエロージャーナリスト 典型的なトバシ記事だ。そして記者は作家志望なのか筆が…

入間さん
5日前
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<小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第十一回 踊り場でダンスを

Chapter 10 踊り場でダンスを エレベータへ向かうべきか、守衛室へ向かうべきか迷った。喧し…

入間さん
7日前
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<小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第十回 炸裂

Chapter 9 炸裂 1時間ほど体と脳の連携を切るだけで、荷揚げ仕事3日分の金になる。スイッ…

入間さん
10日前
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<小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第九回 デリバリードライバーの長い夜

Chapter 8 デリバリードライバーの長い夜 少しだけ開いた窓の隙間から破裂する花火の音が聞こえた。 「猫、みつかった?」  俺はルームミラーごしに話しかけた。小夏は手元のゲーム機に向けていた顔をちらりと前に向けた。 「安藤と話してたよね。猫が飼いたいって。トイレ砂まで買い込んできてさ」 「まだ見つけてない」 「今の季節なら、事務所の目の前の公園にたくさんいるよ。子猫が生まれる頃だし」 「干乾びてるのなら何匹か見たけど」  暗がりで表情は見えない。すれ違う対向車のライトに

<小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第七回 テロリスト・ワナビーと老…

Chapter 6 テロリスト・ワナビーと老婆 その夜は爆弾も花火に紛れて爆発していた。  花火も…

入間さん
3週間前
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<小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第八回 白昼夢の見方

Chapter 7 白昼夢の見方 ビニール紐が食い込んで指先はほとんど紫になっている。近所のスー…

入間さん
2週間前
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<小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第六回 死んだ猫と苺のショートケ…

Chapter 5 死んだ猫と苺のショートケーキ ケーキ屋で並んでいた間も地上の花火と歓声は聞こ…

入間さん
3週間前
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<小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第五回 嘔吐

Chapter 4 嘔吐 ボスの車で行きつけの洋食屋へ連れていかれた。運転はいかつい短髪にシルバ…

入間さん
3週間前
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<小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第四回 セックス・アンド・ザ・シ…

Chapter 3 セックス・アンド・ザ・シティ「資本と人間との関係、あるいは愛、これこそが僕に…

入間さん
3週間前
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<小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第三回 ワイルドサイドを歩け

Chapter 2 ワイルドサイドを歩け この街は総合的だ。  世界有数の企業が管理する工場群、そ…

入間さん
4週間前
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<小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第二回 名はまだない

Chapter 1 名はまだない こんな日に外で働いている人間は静脈に冷却剤を点滴しているとしか思えない。実際に冷たいのを入れているやつもいただろう。  陽は傾きかけているが、気温は下がらない。真っ黒に灼けた、というか焦げた肌の労働者達が、何の表情も見せずに立ち働いていた。その肌はもともと様々な色だったのだろうが一様にどす黒い。  それぞれの仕事の制服を着て飛行機を誘導し、荷物を運ぶ。なにをしているのか分からない連中もこんな暑い日に外で動き回るからには多分何かの理由がある