イリゴマ

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最近の記事

HIHEI

 少し前に、ママタルトがラジオで、私が毎日使っている路線の話をしていた。大鶴肥満が「この路線は乗客がみんな爆発寸前」と言っているのを、私はまさにその車内で聴きながら苦笑いするほかなかった。  ある朝、爆発してしまったふたりの通勤客が駅の階段で怒鳴り合っていた。足を踏んだだの、後ろから押しただのと怒っていた。そんなの気にとめずにさっさと職場に向かうほうがよっぽど利口だろう。が、そんなことも受け流せないほど日々の鬱憤が溜まっていたのだとしたら仕方のないことだ。かく言う私も、可能性

    • Twitterを離れ温泉に行きたい

      おすすめタブが出てくるようになって以降、なんだかTwitterが窮屈に感じてしまう。おすすめタブにはたぶん私がフォローしている人はだれもいいねしていないようなバズった投稿が出てきて、この中には自分と異なる価値観で行動する他者に対して不平不満を表明することで共感を得たものもあれば、さらにそれに対して別の立場から反論したものもある。このようなバズツイートは昔からたくさんあるのに単にこれまで私があまり見ていなかっただけなのか、おすすめタブの登場がふだんやり取りしないはずの人たちの小

      • 「わたし」はスピッツとともにある

        #みんなスピッツを待っていた  これは明日発売されるアルバムを前に、各界の著名人からのメッセージをSNSで紹介する公式企画のタグである。このタグを見ると、公式に紹介された人も自分からタグを使っている人もたくさんいて、多くの人がスピッツを愛していることがよくわかる。  けれども、新しいアルバムやライブを待ったことはあったとしても、私はスピッツそのものを待ったことはない。中学生の頃、今までなんとなく耳にしていたなんとなく心地よい曲を歌っているのがスピッツというバンドであると初めて

        • 遥かな尾瀬

          軽めの二日酔いで朝早く目が覚めたとき、頭痛と胃の痛みと同時に、なぜか頭が冴えているような錯覚に陥ることがある。しじみの味噌汁を買うために外に出てみると空気が心地よく感じられ、今日はなんだかいろんなことがうまくいきそうだと思える。しかしこれは酔いが継続しているからなのであって、実際に頭が冴えているなどということはないのだから、こういうときに何かを決断しないほうがいいと、過去の失敗から学習した。 身体は水分を求めている。コンビニまで歩いてポカリを買って飲むが、本当はシャキシ

          2023.04.15雑感

          スペースをやろうかと思ったが話したいことが何も思いつかなかったのでやめてしまった。ひとりで話すのは難しい。だけど最近はちゃんとしゃべることを怠っているような気がする。仕事中もなんだか口がうまく回らず「ありがとうございます」と言おうとしても「ありざっすぅ」のようなことを言ってしまう。早口でしゃべろうとすることに口が追いついていないのかもしれない。なにしろ表情筋が硬すぎる。ずっと身体の中で顔がいちばん凝っている。作り笑いのせいなのか、寝るときの歯ぎしりのせいなのかはわからないが、

          2023.04.15雑感

          冬の終わりに顎が痛い

           昔から無意識に歯を食いしばってしまう癖がある。今月はいつにも増して強い力がかかってしまっているようで、顎周りの筋肉が痛くなり、とうとうアンメルツヨコヨコを買ってきた。別に何か一生懸命になっていたりとか、苦しいことがあったりするわけでもないのに、なぜか顎に力が入ってしまうのだ。食いしばっていることに気づけたときは緩めるけれども、しばらくするとまた同じ状態に戻っている。ネットで調べるとこれはストレスや緊張が原因だと言われるが、家でダラダラしているつもりのときでもなってしまうのだ

          冬の終わりに顎が痛い

          『タオルケットは穏やかな』の歌詞の世界

           カネコアヤノの武道館が終わってから『タオルケットは穏やかな』を毎日聴いています。LPの歌詞カードを広げると、それぞれの曲がひとつの部屋を中心とした短編のように思えてきて、一周聴き終えたころには一本の映画を観たような気分になります。リリース直後に感じた気持ちを忘れたくなかったので、こうしてnoteを書くことにしました。私はメロディやサウンドについてはうまく説明することばを持ち合わせていないので、ここでは歌詞に限定して書くことにします。 ○<愛>の曖昧さについて  カネコア

          『タオルケットは穏やかな』の歌詞の世界

          過去を振り返ることについてのメモ

          すべて断片的なメモ✍️ ・昨年を振り返るための指針 過去を振り返るということは現在の価値観で過去を解釈し直すということだ。だから過去の自分と振り返る自分は同じ地点に立っていてはいけない。新しい年になってから10日経ったが、去年のことを振り返るにはまだ早い。今年まだ何も新しいことを考えられていないからだ。去年のことをいま振り返っても、それは去年の枠組みで去年をまとめようとしているに過ぎない。よかった映画や音楽を選ぶのだって、少なくとも来月になってからのほうがいいはずだ。でも

          過去を振り返ることについてのメモ

          味噌汁がおいしい

          最近、味噌汁が昔よりもおいしくなった。何も特別なことはしていない。野菜や豆腐などをお椀に入れ、そこに水を入れて鍋の上にあける。中火で茹ではじめ、沸騰して火が通ったら、適当に味噌を入れる。味噌を溶かし終われば完成。ほとんどこれだけ。野菜は冷蔵庫にあるものを適当に切って入れるだけで、入れちゃだめな組み合わせとかはたぶんない。失敗したと思ったら次から変えればよい。 味噌汁を頻繁に作るようになったのは、土井善晴先生のレシピ本『お味噌知る。』を読んでからだ。と言っても、先生が本の

          味噌汁がおいしい

          R4.10のよかったもの

          日記ではなく月単位で、本や映画や行った場所、食べたものや買ってよかったものなどの記事をブログに書いたら、誰も読む人がいなかったとしても自分が楽しいのではないか?と思ったので、毎月3つほどトピックを選んでぼちぼちやってみます。初回は10月編です。 ①よかった映画:『RRR』  『バーフバリ』以来となるラージャマウリ監督の最新作。本国インドでの盛況を聞いた時からずっと心待ちにしていました。『バーフバリ』は昔々あるところの話ですが、『RRR』の舞台はイギリスの植民地だった192

          R4.10のよかったもの

          10/14 鉄道の日(+1)

           小学生の私は、長期休みになるたびに祖母の家に行き、祖父の遺品だった昔の鉄道雑誌を漁っていた。その中で、1972年の鉄道開業100周年の際には、全国各地で様々な祝賀イベントが催されていたことを知った。とりわけ目を惹いたのが、まさに100周年を迎える10月14日に、鉄道が初めて開業した区間と同じ汐留〜横浜(東横浜)間でSL「鉄道100周年記念列車」が走ったという記事だった。当時既に東海道線から黒煙は消えていたが、まだSLが現役だった紀伊田辺機関区から借りてきたという。雑誌には、

          10/14 鉄道の日(+1)

          秋の雑感

          秋はなんだか物寂しい。ずっと見てきたスポーツ選手は引退するし、かわいい顔の電車も引退してしまう。何かがなくなればそこに代わりのものが現れるはずだが、秋は去りゆくものを惜しむのに向いていても、新しくやってくるものを受け入れるのにはあまり向いていない。今そこにあるものを大切にしたほうがいい。 道端の彼岸花が散るとすぐに金木犀が咲いた。金木犀の黄色い花は凛々しく、香りは心地よいものであると思うが、この花は自己主張が強く周囲の環境と調和的であるとは言いがたい。ほぼ全ての木が人に

          年輪

          何年か前、何かのワークショップで「人生で最も大切なものは何か?」というテーマについて、あらかじめ並べられたキーワードから各々選んでその理由を述べるという場があり、そのとき私が選んだことばは「財産」だった。このことばはおそらく金銭的な価値の文脈で使われることを想定して用意されたものだろうと思うが、そうではなくて、生きている中で起こったできごとや考えたこと、それらの積み重ねこそが「財産」と呼ぶに相応しいと思ったのだ。最近になって知ったことだが、私は幼稚園くらいのとき親に対して「

          BONYASUMY

          小学生の頃は夏休みが無限にあるような気がしていた。だが、当時ありあまる時間の中で一体毎日何をしていたのだろうか、さっぱり思い出すことができない。海や山に行っただとか、虫取りをしたとか、花火をしたとか、楽しい思い出の記憶は断片的にはあるけれども、それらは夏休みの長さを表す思い出ではない。たぶん朝起きて、NHKの教育をなんとなく見ていると、宿題をやれという声が聞こえてきて、渋々ドリルだかなんだかを開き、午後は公園とか図書館などに行って、帰ってきて夕方のアニメを見て、そんな感じ

          毎日ねむい

          なぜこうも毎日ねむいのだろうか?朝起きた瞬間から早く横になりたいと思うし、行きでも帰りでも電車で座ることに成功すればすぐに寝てしまう。もしかしたら今より早く寝るようにすれば少しはマシになるのかもしれないが、家に帰った途端に目は覚め、寝る前の時間にはねむくはないのだから仕方ない。 一般的に仕事においては、ねむいよりもねむくない方がよいとされている。だが、仕事にはねむくなる要素がたくさん盛り込まれている。出社してパソコンを立ち上げたあと、まずは興味を惹かれないメールをチェック

          毎日ねむい

          桃源郷について

          こんなクソまみれの世の中を離れて、価値観を共有できる仲間たちとどこかに小さな村を作って暮らしたいと思うことがある。みんなで田畑を耕して、あとは各々得意なことをやって稼いだらいい。自分と同程度に自律的で他者に対する想像力がある人々だけの社会であれば、不必要に傷つくことなく、皆が互いの精神を慰めながら暮らせるのではないか? このような発想は空想の中でだけ成立し得る桃源郷であることは言うまでもないが、もしある日突然、桃源郷の開拓者になる使命を天から授かったとしたら、一体そこに誰

          桃源郷について