冬の終わりに顎が痛い
昔から無意識に歯を食いしばってしまう癖がある。今月はいつにも増して強い力がかかってしまっているようで、顎周りの筋肉が痛くなり、とうとうアンメルツヨコヨコを買ってきた。別に何か一生懸命になっていたりとか、苦しいことがあったりするわけでもないのに、なぜか顎に力が入ってしまうのだ。食いしばっていることに気づけたときは緩めるけれども、しばらくするとまた同じ状態に戻っている。ネットで調べるとこれはストレスや緊張が原因だと言われるが、家でダラダラしているつもりのときでもなってしまうのだからどうしようもない。もしかすると、ストレスや緊張は自覚とは全く関係ないところで生じているのかもしれない。日々の生活がそれほど大変でなかったとしても、生きることそのものに対して無意識に肩肘や顎を張りすぎている可能性がある。だとすると非常に困った問題だ。
考えてみると、今月はなんだか駅で人にぶつかられたりだとか、横断歩道を渡っているときに目の前を信号無視の自転車が横切って行ったりだとか、そういったことに強めの怒りを感じてしまっていたことに気がついた。これらのことは私が生活を送る上ではわざわざ怒りを覚える価値があるものではないにも関わらず、無意識のうちに心の余裕がなくなってしまっているのか、どうしても許しがたいという気持ちになってしまう。なぜそんな気持ちになるのか、自覚できていない理由があるのかもしれないし、単に寒いからというだけのことなのかもしれない。顎に力が入りやすいかどうかと、取るに足らないことに腹を立てやすいかどうかにはきっと共有する背景がある。だけどほんとうはどうでもよいことに対して怒ったりストレスをためているほど暇ではないはずなのだ。
とはいえ、ほんとうに怒るべきところに対してはちゃんと怒ったほうがいい。暴力や欺騙・既得権益によって他人や公共の財を不当に収奪しようとするならず者や、人の上に立っているのに調整や検討をはじめるふりをすることを自分の仕事だと思っている人間、権力を後ろ盾にして自分と異なる者を貶める人間、何かをしくじってしまった人に暗闇から石を投げることを生きがいにする人間など、ちゃんと怒らなければならない対象はたくさんある。私の好きな人たちは、身の回りにいる人も、Twitterでよく見る人も、映画監督も俳優もミュージシャンも、みんな穏やかな顔をしながら、胸の内で不正義に対してものすごく怒っていると感じる。私もそうでありたいのだ。
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