『エマ』ジェーン・オースティン
はじめに:皮肉屋なオースティン
女史はこう見えても(?)大学時代にイギリス文学に熱中しており、実はオースティンの大ファンであった。もちろん今も大好きであるが。
オースティンは、一般庶民のイギリスの少女を中心とした名作を数々生み出している。それらの特徴は、イギリスの片田舎の庶民の生活を生き生きと描いていることである。さらに、オースティン特有の、ウィットにとんだ皮肉が飛び交う。オースティン作品の醍醐味である。
今回はそんなオースティンの代表作品の一つ、エマを紹介する。
そして、女史のnoteをどう読むか、こちらを参考にしてくれ。
エマと恋愛:イギリスの階級社会
エマは村で二番目に良家の家庭の娘で、元気溌剌の女の子である。他人の恋愛に興味津々なお転婆気味の21歳のエマは、新しくできた友人ハリエットとたちまち仲良くなる。ハリエットは、良家の出身ではないものの、気立てもよい美人である。エマは、ハリエットに良い縁組を見つけてやろうと、あれこれ行動し始める。
エマは早速、ご近所さんのエルトン牧師がハリエットのことを好きなのだと思い込み、二人をくっつけようと奔走する。しかし実はエルトン氏が好きだったのはエマだったということが判明し、ハリエットを焚きつけてしまったことをエマは深く反省する。エルトン氏は、村で良家出身で独身のエマの財産と階級が欲しかったのである。
その後、再び別の紳士が現れるものの、ハリエットには向かない。そんな時、ハリエットが、エマの親友で村一番の良家出身のナイトリー氏に憧れていることをエマは知る。そしてエマ自身、ハリエットの話を聞いていくうちに、実は自分もナイトリー氏のことが好きなのだと気づく。
結果的にハリエットは、自分と同じ階級の農家の男性と幸せな恋愛結婚をし、エマはナイトリー氏と結婚する。
おわりに:ラブコメを通して社会勉強
本作品は、お転婆なおせっかい少女が、社会階級の低い友人を、どうにかこうにか恋愛を通して自分と同じような階級にしてあげようと奔走する話だ。エマは自分の気に入った友人には自分と同じ階級でいて欲しかったのである。
イギリスの19世紀あたりの階級社会は非常に興味深い。女性や男性の価値観の差や、社会における期待感が大変面白い。オースティンの作品は、小説として面白いだけではなく、当時の社会の有様も大変うまく描かれている。
イギリスの19世紀の社会に興味を持っている人は、オースティン作品を入門書として読んでみるのもよいかもしれない。
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