『イコン』フレデリック・フォーサイス

はじめに:屈指のスパイ小説

本書はソ連崩壊後のロシアを描いたスパイ小説である。

実際にスパイ活動等の経験を持つ著者によって書かれたという点も非常に面白い。それが所以か、読む手が止まらなくなるほどさくさくと読めてしまう。

土日のお供にいかがであろうか。

異郷から来た女史が何者か知りたい人はこれを読んでくれ。

そして、女史のnoteをどう読むか、こちらを参考にしてくれ。

東西闘争:ソ連復古と資本主義

本書は、ソ連の復古を狙う大統領候補者と、それを阻止しようとするスパイの闘争を描いた物語である。

始まりは、ある老人が、大統領候補者の事務所から重要な文書を盗んでとある女性に手渡した。その文書とは、大統領候補が実はソ連の復古を陰謀していることを示す文書であった。

大統領候補は、その文書を読んだ人物たちを探しだして抹殺しようと躍起になる。一方で、ソ連復古をよしとしないロシア及びアメリカの人物が動き、引退したはずのスパイをロシアに呼び戻し、これを阻止させようとする。

おわりに:正しいものは何か

これはあまりネタバレをしたくないので内容は深く話さないが、非常にスリルのある小説である。当時のロシアとアメリカの関係性などもしっかりと描かれたりしていて、勉強にもなる。是非読んでみて欲しい。

小説とは関係ない余談をば。毎回思うが、こういうスパイものの小説や映画では、ソ連やロシアは悪者、アメリカが正義の味方、として描かれる。我々西サイドの日本で育った人間にはそれが普通なのだが、実は暗に彼らの”ソフトパワー”戦略に引っかかっている気がしてならない。

ソフトパワーとは、ジョセフ・ナイ教授によって提唱された理論である。こちらもいずれか書籍の考察記事をご紹介したい。


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