内藤郁子 Ikuko NAITO

内藤郁子INClaireです。 音楽について日々思うことや生活の中の音楽の話を書きます…

内藤郁子 Ikuko NAITO

内藤郁子INClaireです。 音楽について日々思うことや生活の中の音楽の話を書きます。 音楽のたくさんのジャンルで壁を作らず線引きだけして、どれも体験して魅力の違いを比べるのがおもしろい。 音楽って一曲ずつそれぞれの魅力だと思います。

最近の記事

開会と終演の言葉

Chère Musique イントロダクション 皆さんはパリ・オリンピックを楽しみにしていらっしゃるでしょうか。 オリンピックというのは、興味がある方とない方といらっしゃると思いますが、私はどちらとも言えないような感じです。 観始めたらとっても楽しくて、入り込んでしまうし、一生懸命応援してしまいます。 ですが、ずっと前から楽しみにしていて、、という感じでもなく、特にこのスポーツだけは見逃せないというスポーツがあるわけでもなく、ほとんど観ないで終わってしまう年もありました

    • つい使ってしまう言葉たち

      Chère Musique つい使ってしまう言葉たち 音楽のレッスンや普段の生活で音楽の話をする時、つい使ってしまうけれど本当は間違った意味になってしまう言葉、というものがたくさんあります。 生徒さんや一般の方々が使ってしまうなら、しっかり習ったことがなければ当然仕方のないことですが、音楽の先生たちや演奏家の人たちまで(実は私も)、分かっているのについつい使ってしまう言葉もあるのです。 例えば、音程、階名、叩く、蓋、などなど。 音程 歌を歌っている時に「この部分がち

      • 演奏のゴールとスタート

        Chère Musique イントロダクション 音楽の演奏には、完成は無い。 ということを、演奏家、指導者ならみんな分かっています。 とある舞台が、その時の自分にとって最高の演奏だったとして、そこを新たなスタートラインとして更に先へと変化してゆく、というのが音楽家にとっての「演奏」というものです。 永遠に終わりは来ません。 誰にも「この作品の完成形はこの演奏です」「これ以上の演奏はありません」とは言えないのが、音楽の演奏です。 生徒さんのゴール ですが、それを踏ま

        • ハモりの音合わせ

          生徒さんの重唱レッスン、自分の舞台、ア・カペラ ヴォーカル アンサンブルグループの練習や舞台、いろいろな場面で日常的に、いろいろな種類の「ハモる」ということをします。 ぴったりハモれた時だけの「倍音」がその空間に生まれるので、上手くいった瞬間はすぐ判り、最高に気持ちイイ。 どこで、誰と、何が目的でそのハモりを歌うのか(聴くのか)によって、求める完成度はかわりますが、大切なことはいつも同じなのかなと思います。 自分が変わろう 当たり前ですが、自分の声と同じくらい、または

        開会と終演の言葉

          ネタは多すぎる方が良い

          Chère Musique イントロダクション 毎年この季節になると、ダルクローズ・リトミックの夏期講座の準備が始まります。 私も運営メンバーの一人である、身体表現音楽の研究グループ“アンサンブル ユーリズミックス”による、恒例企画です。 しっかりとカリキュラムを立てるのは受講者の顔ぶれが分かってからですが、今年も募集がスタートしたタイミングで、昨年を振り返っています。 昨年のこの講座で、用意した内容が多過ぎた?と感じたことを思い出しました。 あらかじめ決まっている時間

          ネタは多すぎる方が良い

          映画『トノバン〜音楽家加藤和彦とその時代』

          Chère Musique 『トノバン〜音楽家加藤和彦とその時代』というドキュメンタリー映画を観てきました。 この数年たまたま、加藤和彦さんのことを思うことが度々あった、そのタイミングでこの映画。 とっても楽しみにしていました 日本のホップミュージック界には、それを確立するすごい時代がありました。 1900年代後半。 本物の音楽家が次々と生まれ活躍して、その世界を作り進めていく。 やりたいこと出来ることを躊躇わずどんどんやって、ただ生きたいように生きていたら、日本にと

          映画『トノバン〜音楽家加藤和彦とその時代』

          曲順の魅力

          Chère Musique 最近、ギターのアルバムを、内容を知らずに聴く機会がありました。 素晴らしい演奏なので、プログラムを選曲のコンセプトも曲の順番も何も知らない状況でも、むしろだからこそ、楽しんで聴きました。 アルバムとコンサートは同じ そしてもう終わりだなと分かったのが、一曲ごとに徐々に盛り上がってからギターの名曲といえばこれという曲を演奏して、その後にとても小さな誰でも知っている短い軽やかな曲を、さらっと演奏したからなのです。 これはコンサートでいうアンコール

          イロハとABC

          Chère Musique イントロダクション 今日は初歩的なちょっとしたお話です。 音楽用語や音楽の話の中で使われる言葉は、いくつかの言語を使います。 ピアノ、フォルテ、クレッシェンド、モデラート、、、用語はイタリア語が圧倒的に多く、これには音楽の歴史に理由があります。 そう難しく考えなくても、調の名前を言うときや和音の話をするときなど、イタリア語や英語やそのほか、いろいろ無意識に使う方が多いと思います。 その中でも一番基本である「音の名前」も、きっといくつかの言

          ラクに歌う音域へ

          Chère Musique 「この曲はキーが高いから、私にはムリかも。。。」 「この曲、大好きなんだけど低いところが出ないのよね~。。。」 よく聞くこれらのお声、本当はどういう意味なのでしょうか。 曲にはすべて、、、厳密には「皆さんが歌いたくなるような曲にはすべて」、“調”というものがあります。 一般的には「Key」という英語の方がよく使われるかもしれません。 音階という音の並び方のセットが、たくさんの種類あるのですが、その、‘どの’並び方セット(音階)を素材として作曲

          ラクに歌う音域へ

          ソルフェージュとインヴェンションの今昔

          Chère Musique イントロダクション 今日はおもに、約50年前のピアノ教室生徒だった方々へのメッセージ。 その方々のほとんどが、「ソルフェージュ」という言葉を聞くと、いやーな顔をします。 そして「バッハ」「インヴェンション」を「つまらない、難しい」と言います。 高校生くらいでピアノ教室を辞めてしまって、何年も経って大人になってから今度は自分で稼いだお金で、自分の意志で自分の癒しや趣味として、大人のためのピアノ教室の門を叩く。 そして、 「素敵な曲を弾きた

          ソルフェージュとインヴェンションの今昔

          オーケストラは弦楽四重奏から始まった

          Chère Musique イントロダクション 初めて聴いた友人のピアノ三重奏“OttoTrio(オットー・トリオ)”の演奏会。 とても感動したということと、生徒さんに重奏の生演奏を聴いていただけて嬉しかったことから、重奏というものについて少し書きたいと思いました。 現代ではオーケストラの方が聴ける機会が多いかもしれませんし、そういう経験という意味でも重奏とはどんなものなのかを知らない方も多いかもしれません。 例えばピアノ五重奏というと「ピアノが五人!?」という勘違い

          オーケストラは弦楽四重奏から始まった

          二人組の演奏の相性

          Chère Musique イントロダクション 私の主宰する音楽アトリエヴォアクレール(vc)では、生徒さんのためのコンサートやクリスマスイベントでソロだけでなくアンサンブルも多く出演されます。 “二人組”の演奏もたくさんあります。 その二人組に二人に対して一緒にレッスンしていて、皆さん良い感じに大切なところで相性が合っている、と思える時がたびたびあります。 歌の二人組とは? 演奏の二人組の種類というと、何があるでしょうか。 vcの音楽イベントでは、二人ともが対等に

          二人組の演奏の相性

          アートカフェフレンズへの感謝

          Chère Musique 私の演奏のホームグラウンドだった恵比寿の“アートカフェフレンズ”が、先日2024年3月31日でその幕を下ろしました。 素晴らしいお店でした。 ここでは、私と相方ピアニスト村西則美さんの理想、「音楽を聴く」ということの基本の在り方を叶えることができていました。 それは、「くつろいで、美味しいものを食べながら飲みながら、大好きな友だちと語らいながら」、上質の空間で音楽を聴ける。 こういうお店は、日本にはそんなに多くありません。 ジャズやロックや

          アートカフェフレンズへの感謝

          故郷を恋うる歌たち

          Chère Musique 『故郷』高野辰之、岡野貞一 『椰子の実』島崎藤村、大中寅二 『故郷の人々』勝承夫、S. フォスター 『峠の我が家』岩谷時子、アメリカ民謡 どれも皆、歌の講座でよく取り上げる作品です。 『故郷』『椰子の実』は日本の歌、『故郷の人々(スワニー河)』『峠の我が家』はアメリカの歌。 共通しているのは、歌詞の内容が故郷を恋うる歌だということです。 日本の場合は、山村から都会へと働きに来た人々が、今とは違って簡単には帰れない状況の中で、親や兄弟家族たちに

          故郷を恋うる歌たち

          演奏のための基礎知識リスト

          Chère Musique 最近なぜか中級や上級のレッスンで多いのが、楽典の教本にあるような基礎知識を、初心に帰ってあらためてもう一度教える場面。 私の普段の指導の中での話題は、演奏テクニックに関すること以外だと、歴史、音楽家、概念的なことが多い気がします。 なので少し新鮮な気分。 楽典基礎知識というのは、簡単なこと(整理すればよいだけなこと)から、少し頭を使って覚えたり練習問題をしたりしたほうがよいことまで、いろいろあります。 最近出た話題では、例えばレッスンしてい

          演奏のための基礎知識リスト

          歌解説『朧月夜(おぼろ月夜)』

          Chère Musique 朧月夜(おぼろ月夜) 作詞:高野辰之 作曲:岡野貞一 菜の花畠に 入日薄れ 見渡す山の端 霞深し 春風そよ吹く 空を見れば 夕月かかりて 匂い淡し 里わの灯影も 森の色も 田中の小道を 辿る人も 蛙の鳴く音も 鐘の音も さながら霞める おぼろ月夜 日本の歌の表すもの 『赤とんぼ』や『里の秋』と同じように、この歌もクラスでは“歌曲”のコーナーで取り上げました。 “唱歌”でもあります。 日本の歌曲をはじめとした歌には、ただ淡々と情景を語る

          歌解説『朧月夜(おぼろ月夜)』