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ネタは多すぎる方が良い


Chère Musique

イントロダクション

毎年この季節になると、ダルクローズ・リトミックの夏期講座の準備が始まります。
私も運営メンバーの一人である、身体表現音楽の研究グループ“アンサンブル ユーリズミックス”による、恒例企画です。
しっかりとカリキュラムを立てるのは受講者の顔ぶれが分かってからですが、今年も募集がスタートしたタイミングで、昨年を振り返っています。

昨年のこの講座で、用意した内容が多過ぎた?と感じたことを思い出しました。
あらかじめ決まっている時間の長さに対して、その二倍の量のネタを準備してゆく、というのは、レッスンや講座での講師としての基本です。
昨年のこの講座は二倍どころか、整理している余裕がなくて10倍くらいの内容を準備して持っていきました。

ネタのストックがある

あらためて準備をするとしたら、時間の10倍相当なんて、とてもできるわけがありませんが、なにしろこの道○十年なので、いつでもその場に合わせてアレンジしてすぐに指導できる内容が、自分の中にとってもたくさんあるわけです。

ですから綿密な準備をする時間がうまく取れない場合、逆に、その場で咄嗟に自分がどれを選んでもすぐに実践できるように、という程度の準備をたくさんする方が、楽だったりするのです。

昨年は、時計を気にしながら台本の中から手際よく指導メニューを選んでどんどん進めました。
そのせいで、終わって振り返った時に、ジェットコースター授業だったのではないかという気がしたのでした。

どこまで楽しんでいただけたか、ご要望にお応えできたか、正確に伝わったか。
受講者さんたちからそれぞれ後日にご感想をいただきました。

指導方講座など

講師の皆様方に指導法をお伝えする講座、というのを何年かおきに依頼されます。
これは時期や時代に即しています。

例えば所属する音楽学校が新しい教材をスタートさせるにあたって、その教材を開発した音楽家たちが、その使い方をお伝えする。
例えばインターネットとその周辺デバイス、パソコン、スマホ、タブレットを音楽レッスンで使うことが一般的になってきた時に、その導入方法や目的などをお伝えする。
レッスンや講座の受講者の年齢層が、高齢の方々が増えてきた走りの頃に、子どもや若者に対するのとはまったく異なる考え方、手法、知識が必要なのでそれらをお伝えする、などなど。

コンスタントにご依頼があるのは、音楽学校の講師のライセンス試験に合格して上位段階に上がった講師さんたちに、新たな指導範囲の講習をするというものなどもあります。

このような講師さん向けの講座で必ず取り上げる内容のひとつが、レッスンや講座の指導案、カリキュラムの立て方。
それは一回分の話だったり、長期計画だったりします。
音楽指導のカリキュラムというのは、どの専門分野でもそうだと思いますが、効果的な特別なものがしっかりとあるのです。
それも何通りもの考え方があります。

時間は足りない方が良い

そんなカリキュラムの立て方の話の中で、何度も何度も念を押すのが「時間が足りなくなるのは良い、時間が余るのはとても良くない」ということ。

私自身の若い頃の具体的な失敗例とそこから学んだ結果の成功例をお話しながら、その重要さを熱く語ります。

音楽指導というのはどんな形態であれ、人間相手なので、いつ何が起こるかわからず、計画通りに寸分違わずなどということは絶対にありません。
生徒さんや受講者さんの様子や進み具合、反応を見ながら、臨機応変に路線変更をしたり、時間配分を変えたりします。

「あ、これはもう終わりにして次に行ったほうが良いな」ということが続いて、予定よりも早く計画が進んでしまった場合、「今日用意してきた内容はもうここまでなので、あとは時間が余ってしまって、やることがありません」というのは、指導者、講師としてとてもとても良くないことなのです。

ですから私は普段からいつもかなりたくさんのメニューを用意していくし、年の功で、計画になかったことをとっさにやったりすることもよくあります。
「過ぎたるは及ばざるが如し」は、音楽のレッスンや講座の準備にだけは、当てはまらないのです。

エンディング

それにしても、昨年のリトミック夏期講座は、時間に対して用意した内容が多過ぎました。
受講者さんの反応を確認しながら話を進めたつもりですが、もしかしたらうまく伝わらなかったところがあるかもしれないと、後になって心配したほどです。

どちらかというと、話し方と言葉の選び方の方を重視したこともあり、「楽しかった」とは言っていただけました。
ですが、「時間が短い」「もっと聞きたかった」「もっと体験したかった」というお声もチラホラ。

今年の準備にそれらのお声を活かしていきたいと思います。

ダルクローズ・リトミックのプラスティクアニメ(身体表現音楽)の夏期講座


Musique, Elle a des ailes.

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