ブルージュ②【水の都の醸造所/伝説の修道院ビール】
こんにちは。いこです。
ベルギーのブルージュに来ています。
今日は水の都ブルージュで古くから残っている醸造所ドゥ・ハルヴマーンを見学します。
水の都唯一の醸造所を見学しよう
↑美しい路地を馬車が通り抜けるブルージュ。
赤い煉瓦づくりの建物がドゥ・ハルヴマーン醸造所です。
醸造所内部を見学するのは、この旅で4軒目です。そろそろ製造工程は分かってきました。
それでも醸造所に来ると、子どもみたいにテンション上がっちゃうのが飲んだくれの性(笑)
↑タンクかっこいいー。
この醸造所は1856年創業。家族経営で現在6代目。この場所でのビール作り自体は、500年も前から行われているとか。現在ではブルージュ唯一のビール醸造所なんだそうです。
↑この醸造所の旗艦製品ブルージュ・ゾット。
道化の絵が描かれた変わったデザインです。「ゾット」というのは、オランダ語で「愚か者」という意味らしいです。
名前の由来としては、16世紀ごろの皇帝マクシミリアン1世が、パレードをしているブルージュの人を見て「バカばかりだ」と言ったという逸話が元になってるんだとか。
ブルージュの人々は、大公に精神病院建設の援助を頼みたかっただけらしいんですけどね……。
その逸話を取り入れて、今、ブルージュ市長が直々にビールの名前にしてしまったわけですから、ブルージュすごい。
日本だと絶対問題になる(笑)
↑同じく醸造所の主力商品「ストラッフェ・ヘンドリック」。この月のマークは日本でもときどき見かけますが、飲んだことはありません。
↑月のマークかわいい!! ……かわいい??
なおハルヴマーンとは、フラマン語でハーフムーン(半月)のこと。
ガイドツアー開始!
今日のツアーはめちゃくちゃ人が多いです。さすがは有名な醸造所。
↑今日教えてくれるのはこのお兄さん。ヒゲがかっこいい。
↑ここで麦芽を80度まで煮立てます。
↑醸造所が始まって6世代目。常に最新機器を取り入れてビール製造を行っているそうです。ブリュッセルのカンティヨン醸造所とは大違い。
↑上階に貯蔵されている麦芽を下に流して、機械で粉砕。煮沸します。
↑このメカメカしい屋根裏感がいい!
↑ローストモルト。焙煎香はそこまで強くないです。
↑麦汁にホップを加えます。チェコで使われるザーツホップをここでも使います。
↑隠し味のコリアンダー。
↑オレンジピール。
↑地下に張り巡らされた3kmのパイプラインでビールを輸送するのがこの醸造所のすごいところ。
元々はトラックで輸送されてたそうですが、道ががたがたすぎて、ビールをうまく輸送できなかったらしい(笑)
↑あちゃー。これはたいへんだ。
それにしても、運河のさらに下にビール用のパイプラインを通すとは……。大胆だ。
ビールパイプラインと昔の機械
醸造所最上階から見たブルージュ。
220段の階段をのぼった上にあります。
↑鐘楼とガイドさん。あー似合う。似合いすぎ。
↑この角度で、ビールパイプラインが3kmにわたって通っているそうな。
めちゃくちゃ金がかかったので、クラウドファンディングで一部まかなったとか(笑)
「地下にビールを流す」ってアイデア、ちょっとした狂気を感じますが(笑) これこそ飲んだくれのロマンですよ。どんどん流そう!
↑昔のビアクーラー。これに冷たい水を流して、麦汁を冷却します。ヘット・アンケル醸造所にもありました。
↑ここで酵母を加えて発酵をうながします。
↑ラガー酵母の発酵槽。今は使われていません。これだと発酵に2ヶ月かかるけど、最新の機械を使えば、10日で終わるそうな(笑)
↑樽作りの道具が保存されていました。
↑樽。ちょっとした博物館だなあ、ここ。
↑樽に人間が入ってます。
↑楽しそうだな!(笑)
試飲の時間だ
いよいよお待ちかねのテイスティングタイムです。ここまで歩いてきて、もう喉がからっから。
うおー。
うおーーー!!
ブルージュ・ゾット・ブロンドをいただきます。試飲させてもらえるのは、なんと醸造後7日しか経ってない、かなり若めのフレッシュビール。
ほどよい酸味とキリっとした飲み心地が、とても美味しいビールです! 泡が美味いのなんの。
レストランで、ビールスープと一緒にいただきました。ビールが入ってるって、素敵。バゲットを浸していただきます。
↑ストラッフェ・ヘンドリックのトリプル。アルコール度数9%。んー、なかなかの度数! ゆっくり飲みましょう。
↑ベルギー料理のビーフ・カルボナード。ほろほろの牛肉が最高!
↑鹿の剥製が展示されているレストラン内。なかなかの迫力。一頭こっち見てるな。
レストランを出ると、地面が一部ガラス張りになっていて、ビールパイプラインの実物を見ることができました。このパイプラインを、ゆっくり慎重に、ビールが運ばれていくそうです🍺
ロマンですなあ。
ブルージュの街をゆっくり散策して酔い覚まし
8%、9%のビールを立て続けに飲んだので、じゃっかん酔いました。お散歩します。
ん? なんだあの白い鳥。
んんんんん??
白鳥だー!!
かなりの至近距離で白鳥がくつろいでました。警戒心ゼロだなあ(笑)
↑水の都らしい風景。
↑ホップだよね? これ(笑)
↑かわいらしい家が次々に出現するのがブルージュ。歩くだけで素敵な家が見つかります。
かつて入院してた病院へ
僕はブルージュでかつて入院し、ツアー離団を余儀なくされたんですが、その病院に、今度は健康体で帰ってきました。
さすがに10年経ってますから、僕のことを覚えている人はいないでしょう……
↑リフォームしてますが、わりと古い病院です。
一緒にツアーを離れてくれた友人は、「ああ〜!ここだ!」って声を上げていました。覚えていたようです。
僕は瀕死の状態で病室か診察室にしかいなかったので、このへんは覚えていません(笑)
↑15階からブルージュの風景を眺めてみました。歴史地区とは外れているようです。
↑んーー、なつかしい…………
10年前、みんな楽しんでるだろうなあ、いいなあと思いながら、包帯ぐるぐる巻きの状態で、病室から眺めていた風景です。
この病院のおかげで、僕は生命力を取り戻し、無事に帰国することができました。
たいへんありがたいことです……ありがとうございました。
僕を心配して当時一緒に離団してくれた友人にも、感謝しかありません。
その友人と、10年後にこうしてまた旅に来れてるわけですから、ありがたいことです。
テラスでコーヒーを飲んで帰りました。
夜
夜は「Otomat」でピッツァをいただきました。
↑フランス、イタリアの料理も豊富なベルギー。ピッツァやパスタは、メニューでよく見かけます。
↑デ・コーニンク。行きたかったけど、日程的に諦めた醸造所のビールです。APA(アメリカンペールエール)。
モルトの香りがよく、飲みやすいビールですね! ちょっとチェコのコゼルに似ています。
一大イベントのために移動……
さて、僕らは夜、あるビールを携えて歩いていました。
ブリュッセル市内のお土産屋で偶然入手した、このラベルのないビール……
↑ビール通の方なら、この画像でピンと来るかもしれません。
これは、伝説のトラピストビール「ウェストフレテレン」です。
↑最高のロケーションを選びました。
ウェストフレテレンを作るシント・シクスタス醸造所は、現在「トラピストビール」を名乗れる修道院醸造所の中でも、最もそのビールを気軽に入手することが困難な醸造所です。
ウェストフレテレンを作るシント・シクスタス醸造所は卸売をしておらず、基本的には来院者のみに提供されます。
人里離れた場所で、きわめて限られた本数しか作っていないため、「幻」とか「伝説」という名前をほしいままにする、非常に希少性の高いビールなんですね。
もちろん日本で手に入れることも、めったにできません。
珍しいだけでなく、味もお墨付き。
世界的なビールコンテストで、1位を獲得したこともあるようです。
↑そんなビール、気になるじゃないですか……!!!
実はこの旅で、この醸造所に行く計画も立ててたんですが、交通機関を調べてみて、そのあまりの難易度の高さに、自分たちの能力では行って帰ってくることができないと感じて断念していたんです。
そんな矢先に、ブリュッセルでまさかの入手。値段はなんと他のビールの4倍!でも価値が分かっていたので、即購入でした。
Wikipediaによると、どうやらごくたまーに、非正規品がプレミア価格で出回るらしいですね……。それを見つけたようです。
「伝説の修道院ビール」を飲んでみよう
「もしかしてニセモノではないか?」という一抹の不安もある中で開封。
うわああああああ!
飲んでみて確信。
これ絶対本物だわ。。
泡を口に含むだけで美味しい。
甘みと苦味がまろやかに口の中にしみこむ。まったく嫌味のない、奥深い味。
ウェストフレテレン、やはりとんでもないビールでした……。
二本買って持ってきたんですが、一本飲んだところで、もったいない気分になり、あと一本は別のところで飲もうと友人に提案しました(笑) 友人もいたく感動している様子でした。
このビールは、いずれ必ず、醸造所に出かけてちゃんと飲みたいと思います。
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