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YMO 名曲ベスト10(私選)

’00年、高校3年生の初夏に YMO を聴きはじめ、そこから私は音楽のみならず、いろんな世界の深い沼にハマりこみました。

YMO と出会っていなかったら、確実に今の自分はなかったと思います。

YMO のすごいところは、音楽だけではなく、幅広い知識の中からアイディアを持ってきて、それを作品にしてしまうところです。

さらに、そんなアカデミックな人たちなのに、難解な方向に持って行くだけではなく、多くの人に理解できるように、わかりやすい作品も作ることができるんですよね。

とはいえ、私が生まれた頃に流行っていたバンドなので、当時、私の周りで YMO を聴いている人はいませんでした。孤独にずっと YMO を聴き続けていたんですね(^^;

でも、同世代だと、星野源やサカナクションの山口一郎も、私と同じ頃に YMO の音楽に触れ、多大な影響を受けています。だから、そのことを知った時は、私は孤独じゃなかった、間違ってなかったと励まされたような気がしました。

今でも「一番好きなバンドは?」と聞かれれば、迷わずに「YMO!」と答えます。あれから20年も経ってしまいましたが、いまだに YMO 熱が冷めやらぬ私なのでした(^^;

そんな YMO 歴20年の私が選んだセレクションをご覧あれ!


10. FIRECRACKER(’78)

収録アルバム:『YELLOW MAGIC ORCHESTRA』
作曲:マーティン・デニー
原曲はアメリカのマーティン・デニーが’59年に発表した楽曲。これを「ディスコ調でカバーして、アメリカで400万枚売る」というのが、最初の YMO のコンセプトだった。原曲の東洋風メロディーを踏襲しつつ、打ち込みを使った機械的なビートをうまく絡めている。とはいえ、この頃は、まだ人力の演奏によるところが多かったという。

9. KAI-KOH/邂逅(’83)

収録アルバム:『浮気なぼくら』
作詞・作曲:坂本龍一
’82年の活動休止期間中に三人が携わった歌謡曲仕事での経験をいかし、本盤では、日本語の歌詞による曲が多く収録されている。このアルバムから音質がクリアーになった印象で、この楽曲でもシンセ、ドラムの音色は非常にソリッド。バックでさりげなく鳴っている鐘の音は、ワイングラスのサンプリング音(坂本の『戦メリ』でも使用された)。イントロが超絶にかっこいい!

8. RYDEEN(’79)

収録アルバム:『SOLID STATE SURVIVOR』
作曲:高橋幸宏
言わずと知れた YMO の代表作。酔った高橋が鼻歌で歌ったメロディーを坂本がその場にあった紙ナプキンに、慌ててメモしたエピソードは誕生秘話として有名。作曲者の高橋によれば、メロディーのイメージは『七人の侍』のテーマ曲だったが、坂本がそこにコードを加え、イメージがガラッと変わったという。馬の足音っぽい SE は、細野がシンセで作った音。

7. U・T/ユーティー(’81)

収録アルバム:『BGM』
作曲:YMO
本楽曲が収録された YMO の4枚目のアルバム『BGM』は、メンバーいわく、ファンをふるいにかけた作品でもある。それまでのキラキラとした音色、わかりやすいメロディーとは打って変わり、くすんだ音で難解な楽曲を展開した。この楽曲では、ドラムの音にエコーをかけ、高速のドラムに聴こえるように加工している。難解な『BGM』の中では、シンプルな構成でわかりやすい楽曲。

6. 1000 KNIVES/千のナイフ(’81)

収録アルバム:『BGM』
作曲:坂本龍一
発表された当時は知られていなかった話だが、『BGM』の頃が YMO のメンバーが一番険悪なムードだったという。スタジオに三人が揃うことはなく、特に細野・坂本の不仲が酷かった(’00年代までこの関係が続くことに)。
そんな中、細野が坂本に注文したのが、坂本のソロ作「『千のナイフ』のような楽曲(YMO のライブのレパートリーでもあった)」。そこで坂本は悪意たっぷりのアレンジで『千のナイフ』をカバーするのであった。しかし、この調整の取れていないアレンジがものすごくかっこいいのだ!

5. LIMBO(’83)

収録アルバム:『SERVICE』
作詞:高橋幸宏、細野晴臣、ピーター・バラカン
作曲:高橋幸宏、細野晴臣
YMO散開記念アルバムも『浮気なぼくら』と同様に、音質がクリアーな印象。曲間に三宅裕司ひきいる劇団・SET のコントをサンドイッチしている(’80年の『増殖』も同様の構成)。高橋のソリッドなドラム、細野のファンキーなベースの魅力が全開。韻を踏んだ歌のリズムもおもしろい。

4. HI-TECH HIPPIES(’93)

収録アルバム:『TECHNODON』
作詞・作曲:YMO
’93年の再結成時に作られたアルバム『TECHNODON』もまた、ピリピリムードで作られた傑作。そんな状況でも三人が力を合わせて作った感があるのがこの楽曲だ。同時期にイギリスのクラブを中心に出てきた YMO のフォロワーたちを意識したサウンドで、当時のトレンドを押さえた印象がある。この時代にしかありえない90年代仕様の YMO。

3. BEHIND THE MASK(’79)

収録アルバム:『SOLID STATE SURVIVOR』
作詞:クリス・モスデル 作曲:坂本龍一
原曲は坂本がセイコーの CM に提供した楽曲(原曲はもっとゆったりとしたテンポ)。作曲の際に、坂本はローリング・ストーンズのキース・リチャーズのギターリフをイメージした。そのため、鍵盤楽器ではあまり見られないコード進行らしい。のちに、エリック・クラプトン、マイケル・ジャクソンがカバーしたほど、海外でも人気の楽曲。

2. 灯 LIGHT IN DARKNESS(’81)

収録アルバム:『TECHNODELIC』
作曲:坂本龍一、高橋幸宏
YMO の最高傑作との誉れも高い『TECHNODELIC』より。本盤の特徴として、外部の音声を取り込むマシン、サンプラーの導入が挙げられる。本楽曲でも一斗缶を叩いた音をサンプリングし、リズムパートに使っている。そのリズムトラックとシンセのリフに、細野のファンキーなベースを加えたシンプルな構成。とにかく、細野の演奏が超絶に素晴らしい! このグルーヴは、黒人のベースそのもの。

1. SHADOWS ON THE GROUND(’83)

収録アルバム:『SERVICE』
作詞:坂本龍一、高橋幸宏、ピーター・バラカン
作曲:坂本龍一、高橋幸宏
坂本、高橋が好きなアレンジャー、クラウス・オガーマンを意識して作られた楽曲。澄んだシンセの音色、アクセントに入るピアノや鐘の音色、高橋のドラム、すべての音が素晴らしい! 初期の YMO とはかけ離れたイメージだが、こんなにゴージャスで優雅なサウンドもやってのけるのが、YMO の凄さ。個人的には今までの人生で聴いてきた楽曲の中でも一、二を争うほど、この楽曲に心酔している。

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