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映画レビュー『バズ・ライトイヤー』(2022)序盤はやんわりで、後半が最高におもしろい!

『トイ・ストーリー』とは別物

アニメーションスタジオ、
ピクサーの人気シリーズ
『トイ・ストーリー』の
スピンオフ作品です。

『トイ・ストーリー』では、
準主役的なポジションである
バズ・ライトイヤーは、

劇中ではアニメのキャラクター
という設定でした。

アニメの中のバズは、
宇宙の平和を守る
スペースレンジャーなので、

1作目ではじめて登場した時も
自分がおもちゃであることに気づかず、
ドタバタ劇を繰り広げるのが、
おもしろかったですよね。

本作では、その劇中作品を
一つの長編作品として、
描いて見せたものです。

なので、いつもの
『トイ・ストーリー』を期待すると、
肩透かしを食らうかもしれません。

実は、私自身も、
観はじめた時は、どうしても
過去の『トイ・ストーリー』の
印象から抜け出せずに

今いち、のめり込めなかったんです。

ところが、流石はピクサーですね。

後半では、意外な展開が待っていて、
夢中になって観てしまいました。

なので、特に本編の
『トイ・ストーリー』が好きな方は、

いつものシリーズとは違う、
というのを踏まえたうえで、

新規の作品として、
先入観を捨てて、
楽しむことをオススメします。

序盤はやんわりで、
後半が最高におもしろい!

バズをはじめとする
スペースレンジャー一向は、
とある惑星の調査をしていました。

その惑星で脅威的な異星物と接触し、
離脱を試みるのですが、

宇宙船を損傷させてしまい、
失敗してしまいます。

その後、バズたちは宇宙船の修理に
必要な燃料の調査をし、

バズが燃料のテストを繰り返す中で、
一人だけ時空を飛び越えてしまい、

最終的には、
60年以上の時間を
飛び越えてしまいました。

これが本作の序盤の
ストーリーなんですが、

これまでの『トイ・ストーリー』とは
違って、本格 SF の趣きがあります。

これが結構、人を選ぶ気がしますね。
(私自身もあまり理解できていなかった(^^;)

しかし、ここが完全に
理解できなかったとしても、

なんとなく理解していれば、
なんの問題もありません。

何度も言いますが、
後半におもしろい仕掛けがあるんです。

その意外な展開が明らかになれば、
本作の物語の求心力は
とてつもない力を発揮します。

SF が得意ではない方は、
序盤は、なんとなく理解したつもりで、
大丈夫です。

逆に SF が好きな方は、
序盤からハマれるかもしれません。

あなたも一人じゃない

本編の『トイ・ストーリー』と
比べた場合に感じる
本作の違和感は、

そのシリアスさにもあると思います。

例えば、本編のシリーズでは、
バズって、まじめだけど、
ちょっとおバカというか、

笑える役どころでもありますよね。

でも、本作のバズは、
超まじめなんです。

キャラクターだけでなく、
ストーリー全体を見た時に
『トイ・ストーリー』に比べると、
コメディー要素も少ない印象があります。

なので、スピンオフだからこそ、
「別物」として
捉える必要があるでしょうね。

本作はとりわけメッセージ性が
強い作品でもあります。

本作のバズは、責任感が強く、
なんでも自分一人で
解決しようとしてしまうんですよね。

周りの人をまったく
当てにしていません。

だからこそ、
何かトラブルがあった時は、
なんでも自分の責任と
感じてしまいます。

現実の世界でも
こういう人はいますよね。

でも、その考え方は
間違っています。

どんなに能力があっても、
どんなに優秀であっても、

一人の人間ができることには、
限りがあります。

最低限の責任感は持ちつつも、
そのことはすべての人が
等しく認識しておく
必要があるでしょう。

バズは、一体、
どんなことを通して、
そのことを学んでいくのでしょうか。

そういった心の動きを見守りつつ、
本作を楽しむと、
さらに作品が楽しめそうな気がします。

ストーリーのことを
中心に書いてきましたが、

いつものピクサーらしく
映像も非常におもしろい内容に
なっています。

相変わらずピクサーの描く
グラフィックというのは、
現実以上にリアルです。

特に、宇宙船内の人工物の
朽ち具合が素晴らしいので、
ぜひ注目してみてください。


【作品情報】
2022年7月1日公開
監督:アンガス・マクレーン
脚本:ピート・ドクター
声の出演:鈴木亮平
     今田美桜
     山内健司(かまいたち)
配給:ウォルト・ディズニー・
   モーション・ピクチャーズ
上映時間:105分

【シリーズ作品】

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