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クラフトワーク 名曲ベスト10(私選)

クラフトワークは、ドイツの音楽ユニットです。テクノポップの始祖として、世界中の多くのアーティストに影響を与えました。

そのはじまりは、ラルフ・ヒュッター、フローリアン・シュナイダーの二人がデュッセルドルフ音楽院で出会ったことです。

’68年に彼らは、クラフトワークの前身にあたる「オルガニザツィオーン」というバンドを結成しました。このバンドはアルバム1枚のみを録音し、解散、’70年にクラフトワーク結成に至ります。

もともとクラシック畑にいた彼らは、電子楽器を使った実験音楽を作っていました。転機となったのは、’74年に発表された『アウトバーン』です。

ドイツの高速道路をイメージしたこのアルバムは、英米でもヒットし、クラフトワークの名を世界に広めることになりました。それまで、前衛的な現代音楽の一部だった電子音楽が、はじめてポップミュージックに昇華されたのです。

その後も’70年代は、『放射能(邦題)』(’75)、『ヨーロッパ特急(邦題)』(’77)、『人間解体』(’78)といったアルバムを発表し、さらにテクノのイメージを確立していきました。

’80年代以降は、アルバムの制作ペースは落ちたものの、以前にも増して、世界各地で精力的なライブ活動を行ない、音楽シーンに圧倒的な存在感を示してきました。

2020年4月にグループの創設者の一人であるフローリアン・シュナイダーが逝去しましたが、2021年にはロックの殿堂入りを果たしました。

そんな彼らの楽曲の中から、私のお気に入りの10曲を聴いてください。

10. Europe Endless(’77)

収録アルバム:『Trans-Europe Express』
6枚目のアルバム『ヨーロッパ特急(邦題)』は、当時、ヨーロッパで運行されていた国際特急列車TEE(Trans-Europa Express)をモチーフに作られた作品である。
(クラフトワークのアルバムは、なんらかのコンセプトを決めてアルバムを作られることが多かった)
反復する電子音で、列車の走行音を再現している。

9. Trance-Europe Express('77)

収録アルバム:『Trans-Europe Express』
同アルバムの表題曲。リズムマシンのごとく演奏される電子パーカッション、ボコーダー(電子音で加工した声)の反復が、いかにもこの頃のクラフトワークらしい。
均等に反復するリズムが黒人にも受け、のちにヒップホップシーンでも、サンプリングネタとして重宝される(アフリカ・バンバータ『プラネット・ロック』)。

8. Metropolis(’78)

収録アルバム:『The Man-Machine』
タイトルは、1927年公開の SF 映画からとったものと思われる。ひたすら延々と続く、シンセベースの細かいビートは、映画『ブレードランナー』(’82)のテーマ曲に通じるものも感じさせる。
SF のイメージを決定づけた楽曲の一つと言えるだろう。

7. Spacelab(’78)

収録アルバム:『The Man-Machine』
イントロのシンセのパターンが、昔の SF っぽいイメージ。
神秘的なメロディーライン、自動演奏と、極めて正確な電子パーカッションの組み合わせた機械的なビートが心地いい。

6. Metal on Metal('77)

収録アルバム:『Trans-Europe Express』
アルバムでは前曲(『Trans-Europe Express』)からシームレスに繋がる小曲。金属っぽい音はサンプリングっぽく聴こえるが、当時はまだサンプリングがなかったので、テープをループさせている。
均等なようで、少しずつずれていくリズムに独特なおもしろさがある。

5. Tour de France, Étape 2(’03)

収録アルバム:『Tour de France』
本楽曲が収録された『Tour de France』は、17年振りに発表したオリジナルアルバムだった。
サウンドは、昔ながらの雰囲気を残しつつも、リズムトラックをクラブ仕様に刷新した印象。21世紀になってからも「クラフトワークここにあり」というのを見事に示してくれた。

4. Pocket Calculator('81)

収録アルバム:『Computer World』
『コンピューター・ワールド』1曲目の楽曲。3年ぶりのアルバムとあって、「時代遅れ」という声もある一方で、名盤との呼び声も高い。
この曲を聴くにつけ、彼らは少ないシンプルな音で、聴かせるサウンドを徹底しているのがよくわかる。日本語版の『電卓』も秀逸。

3. The Man Machine(’78)

収録アルバム:『The Man-Machine』
アルバム『人間解体(邦題)』のラストを飾る曲。
彼らにしては、珍しく力強い印象の曲で、アルバムのラストに強い印象を残す。
歌詞は「Man-Machine」の繰り返すだけのシンプルなものだが、何度も反復する中で、どこがはじまりか、わからなくなるのがおもしろい。(しましましましましまし~♪に聴こえる)

2. Numbers('81)

収録アルバム:『Computer World』
バウンドするようなサウンドが魅力的な楽曲。
音のタメがファンクのリズムを感じさせる。
いろんな言語で数字を読み上げている。
以前、電気グルーヴの石野卓球もインタビューで、お気に入りの楽曲として、この楽曲をピックアップしていた。

1. The Robots(’78)

収録アルバム:『The Man-Machine』
アルバム『人間解体(邦題)』の1曲目。
シーケンサーを使った自動演奏のリズム、電子パーカッション、ボーコーダーを合わせた名曲である。
「テクノポップ」という言葉がまだない時代だが、これほどこの言葉にピッタリな曲もないと思う。


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