見出し画像

映画レビュー『ガメラ2 レギオン襲来』(1996)近年のリアル系怪獣映画の先駆的作品

近年のリアル系怪獣映画の
先駆的作品

はじめに断っておきますが、
私はこの手の怪獣映画の
レビューを書いたことがないので、
うまくまとめる自信がありません。

詳しい方からすれば、
物足りない部分もあるでしょうが、
その点はくれぐれもご了承ください。

私が本作に興味を持ったのは、
大ヒットしている
『シン・ウルトラマン』を手掛けた
樋口真嗣監督が

本作に特撮監督として、
参加していたのを知ったことでした。

そして、本作の前半部分では、
私の住む札幌が舞台になっているのも
興味を惹く大きなポイントです。

ネットで見た情報によると、
平成ガメラシリーズの
2作目である本作は、

近年の『シン・ゴジラ』から
顕著になってきた
リアル系の特撮ものの源流に
あたるとも言われています。

私自身は『シン・ゴジラ』も
観たことがないですし、
ゴジラシリーズをはじめとする
特撮ものに詳しいわけでもありません。

しかし、『シン・ゴジラ』に関しては、
過去に私が読んだ地震に関する文献で、
その筋の専門家が絶賛していたのを
憶えています。

(『次の震災について
  本当のことを話してみよう。』
 福和伸夫・著/時事通信社/2017)

リアルと言っても、いろいろありますが、
この場合は、単なる見た目の話ではなく、

「防災」という観点から
『シン・ゴジラ』の想定は
非常によくできているという話です。

たしかに『ガメラ2』も
その点では、
なかなかのリアルさを感じました。

本作に登場する宇宙怪獣レギオンは、
最初に北海道を襲うのですが、
何に影響があったかと言えば、
電気なんですね。

レギオンは虫の形をした怪獣で、
電波を発する物に反応します。

劇中で電気系統の障害が見られた時、
私は数年前に北海道であった
大地震を思い出しました。

怪獣映画の筆頭である
『ゴジラ』シリーズでは、
「反戦」「反核」「環境問題」が
大きなテーマでしたが、

近年の怪獣映画は、
より身近な自然災害の
シミュレーションとしても
リアルな作品と言えるのでしょう。

その先駆的作品とも言えるのが、
平成ガメラシリーズ2作目の
本作なのです。

養老孟司も認めた(?)
科学考証

前述したように本作の敵側の
怪獣であるレギオンは、
隕石とともに北海道に飛来します。

当初は、隕石と見なされていたため、
それほど大事にはなっていませんでした。

そこから、光ファイバー網や、
ビール工場でのガラス瓶の消失、
といった謎の怪現象が起き、

その異変が札幌の地下鉄で
大きな事件となって現れます。

昆虫のようなレギオンが、
地下鉄を襲ったのです。

しかし、そこで襲われたのは、
すべての人たちではありませんでした。

光ファイバー網や
ガラスが消失したこと、
特定の人間だけが襲われたこと、

物語が進む中で、これらの現象には、
すべて科学的根拠があることが
わかります。

こういうところが
本当によくできていると思いました。

例えば、本作の1シーンに
養老孟司氏が出演しているのですが、

養老氏のような科学者から見ても、
本作の設定には説得力が
あったのだと思います。

(養老孟司:解剖学者
 代表作『バカの壁』)

フィクションとはいえ、
めちゃくちゃな設定だったら、
彼が出演するはずがありません。

ネタバレになるので、
詳しくは書きませんが、

科学的な観点から見て、
決して突飛な設定ではなく、
現実に根差した内容なんです。

光ファイバーやガラスが
どのように形成されているか、

生物と電磁波のこと、

こういった多様な観点を
持ち合わせている方にこそ、
この設定のおもしろさが
わかることでしょう。

特撮の完成度、重厚な音楽

本作が作られた時代、
映画界では CG が一般的ではありません。
(特に邦画は)

よって、本作で描かれる
ガメラとレギオンの戦いのシーンなどは、
すべて特撮で作られています。

どのように撮影しているかというと、
セットに街並みの模型を組んで、
着ぐるみを着たアクターが
演技をして撮影するんです。

こういった撮影は一発勝負です。

長い時間をかけて作った模型を
破壊してしまうのですから、
やり直すとなったら、
また何日も掛かってしまいます。

だからこそでしょうか、
本作には、CG では出せない、
緊張感が感じられます。

作り物だとわかっていても、
演出がうまければ、
人はシリアスな緊張感を
感じるものなんです。

そして、冒頭に書いたように、
前半の舞台は私が住んでいる
札幌の街並みが出てきます。

間近で見たことのある
建物が多くありましたが、

それらの模型の作り込みも
かなり細かく、
実写との違和感が一切ないことに、
感動すら覚えました。

おそらく、意識して観ていなければ、
実物と区別がつかないでしょう。

ましてや、地元の人間が見ても、
そう思うのだから、
その精巧さは間違いありません。

通勤時に通る道が
画面に出てきた時には、
「おっ!」と
思わず一人で声を上げてしまいました(^^;

地元の街並みが
映画の中に出てくるのは、
なんだか嬉しいですよね。

特撮の完成度、
実写と特撮とのカットのバランス、
それに加えて、本作の音楽にも
注目してほしいです。

音楽を手掛けたのは、
大谷幸氏で、

彼はサザンオールスターズや
ドリカムのライブでも
サポートメンバーとして、
キーボードを弾いています。

(ドリカムのライブで
 生の演奏を観た経験がある)

映画以外にも、
アニメ、ドラマ、ゲームの音楽も
手掛けており、

特に私は『ワンダと巨像』
というゲームの音楽が大好きで、
今でもたまにサントラを
聴き返しています。

『ガメラ2』の劇伴も
『ワンダと巨像』と似た感じの
オーケストラを使った音楽ですが、

これがやはり巨大な怪獣に
よく合うんです。

『ゴジラ』とも
また違ったタイプの音楽ですね。

(『ゴジラ』の音楽には躍動感があって、
 『ガメラ』の音楽には重厚感がある)

ぜひとも、音楽にも
注目していただきたい作品です。


【作品情報】
1996年公開
監督:金子修介
   樋口真嗣(特撮)
脚本:伊藤和典
出演:永島敏行
   水野美紀
   石橋保
配給:東宝
上映時間:99分

【シリーズ作品】

【関連記事】

▲この記事を読んだのがきっかけで、
 本作に興味を持ちました。
 のざらしさん、ありがとうございます。

この記事が参加している募集

#おすすめ名作映画

8,156件

#映画感想文

66,844件

サポートしていただけるなら、いただいた資金は記事を書くために使わせていただきます。