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thanks skmt 坂本龍一プレイリスト(1)

※3000字以上の記事です。
 お時間のある時に
 お付き合いいただけると嬉しいです。

高橋幸宏さん追悼のためのプレイリストを公開している途中だったのですが、

この間に坂本龍一さんも天国に旅立ってしまい、同時進行で坂本龍一のプレイリストも公開することにしました。

このシリーズでも、「高橋幸宏プレイリスト」と同様に、坂本龍一関連の楽曲の中から、各年代の楽曲を DJ 感覚で選曲し、解説していきます。
このシリーズも、おそらく3つか4つの記事になるでしょう。

選曲にあたっては、あまり深く考え過ぎず、全体のバランスを考えて選んだつもりです。

今回のプレイリストは、YMO 結成前後(’78)~散開(’83)の楽曲の中から選曲しました。

なお、解説の中で特記していない限り、坂本龍一が作曲した楽曲です。

※第二弾以降の投稿には、少々時間がかかるかもしれません。
 気長にお待ちください。

①THOUSAND KNIVES/坂本龍一('78)

ソロデビューアルバムより。シンセサイザーを使ったサウンド、東洋と西洋を融合したような曲調、処女作の時点で、すでに「坂本龍一らしさ」が確立されている。YMO のライブやスタジオ作品でもカバーされた。

②東風/YMO('78)

YMO のファーストアルバムより。ソロデビューアルバムに収録された『THOUSAND KNIVES』『THE END OF ASIA』などと同様に、ここでも東洋風のメロディーラインが使われている。初期 YMO 時代の坂本の代表曲の一つで、のちにピアノによるカバーも披露した。

③サマー・ナーヴス/坂本龍一&カクトウギセッション('79)

渡辺香津美、矢野顕子、高橋幸宏などと結成したカクトウギセッション名義のアルバムより。作詞は矢野顕子。フュージョン+スカ風のサウンドをバックに、坂本の拙いボーカルが披露されている。若々しい爽やかな味わい。

④BEHIND THE MASK/YMO('79)

YMO の2作目のアルバム『SOLID STATE SURVIVOR』より。原曲は坂本がセイコーの CM に提供した楽曲である。シンセによる幻想的なリフ、ボコーダーボイスによるボーカルがテクノポップらしい。
特に海外では人気の高い楽曲で、マイケル・ジャクソンやエリック・クラプトンもカバーした。

⑤CITIZENS OF SCIENCE/YMO('80)

YMO の3作目のアルバム『増殖』より。作曲は高橋幸宏との共作。
『増殖』はスネークマンショーによるコントと YMO の楽曲が交互に収録された変則的なアルバムであり、このトラックの冒頭に聴こえる声は、前のコントの終わりの部分である。
シンセとカッティングギター、テンポの速いドラムをベースにしたサウンドは、当時のニュー・ウェイヴ的。

⑥riot in Lagos/坂本龍一('80)

2作目のソロアルバム『B-2 UNIT』より。当時のナイジェリア、ラゴスでの暴動に触発されて作られた楽曲でもある。
アフリカ音楽を意識したワンコードのミニマルミュージックで、イギリスやドイツではシングルカットされた。
のちにアメリカのアフリカ・バンバータが DJ プレイに使用したことによって、クラブミュージックでのクラシックともなっている。

⑦音楽の計画/YMO('81)

YMO の4作目のアルバム『BGM』より。この時期の坂本は精神的にすさんでおり、くすんだサウンド、荒々しい歌声に、憤りと嘆きが感じられる。
複数のシンセ、激しいドラム、新たに導入されたリズムボックスなど、複数の細かい音を複雑に組み合わせ、独自のサウンドを構築している。
いつもとは違ったアグレッシブな曲調も、この時代ならでは。

⑧サルとユキとゴミのこども/坂本龍一('81)

3作目のソロアルバム『左うでの夢』より。作詞は糸井重里。
このアルバムの制作の直前に坂本は韓国を訪れており、その雰囲気が楽曲の方にも表れている。シンセを使った電子音が主体ではあるものの、それ以前とは違い、音が丸く柔らかい印象がある。
素朴な歌詞と電子加工なしの坂本のボーカルの相性がいい。

⑨京城音楽/YMO('81)

YMO の5作目のアルバム『TECHNODELIC』より。作曲は高橋幸宏との共作。
本盤のレコーディング前に訪れた韓国の印象を無線機の音声で、SE として挿入している。英題は『SEOUL MUSIC』で「ソウルミュージック」にもかかっており、高橋&細野によるファンキーなリズムも前面に出ている。

⑩い・け・な・いルージュマジック/忌野清志郎+坂本龍一('82)

資生堂の CM 曲として企画されたコラボレーションシングル。作詞・作曲は忌野清志郎との共作。実質的には忌野の初ソロシングルで、オリコン週間チャートで1位を記録した。
たゆたうような忌野の歌声と坂本らしい緻密なバッキングが絶妙にマッチしている。

⑪ジ・エンド・オブ・エイシア/坂本龍一+ダンスリー('82)

日本初の古楽アンサンブル、ダンスリーとのコラボレーションで発表されたアルバム『ジ・エンド・オブ・エイシア』より。
原曲は坂本のソロデビューアルバム『千のナイフ』に収録された『THE END OF ASIA』である。民族楽器を用いることによって、原曲の持つアジアっぽい雰囲気がさらに強まっている。

⑫THE ARRANGEMENT/坂本龍一&ロビン・スコット('82)

ロビン・スコットとのコラボレーションアルバムより。作曲はニック・プリタスとの共作。イントロから唸るような電子音が印象的で、陰鬱なムードが全体を包んでいる。インストバージョンはセゾングループが展開したテレビ番組『西部スペシャル』に起用された。

⑬Bamboo Music/デヴィッド・シルヴィアン&坂本龍一('82)

ジャパンのデヴィッド・シルヴィアンとのコラボレーションシングルより。作曲もデヴィッド・シルヴィアンとの共作。複雑な電子音とデヴィッドの悲哀に満ちたボーカルは、ジャパンのシンボルでもあるが、坂本特有の音色が加わることによって、深みが増している。バリ島のガムランを模したサウンドも何度か挿入される。

⑭音楽/YMO('83)

YMO の6作目のアルバム『浮気なぼくら』より。当時3歳だった坂本の娘・美雨のために書かれた曲。それまでの YMO での坂本作品とは打って変わり、爽やかな曲調で、歌詞も素朴で明るい。
本人も思い入れのある曲だったようで、散開後のソロライブでも披露している。

⑮Merry Christmas Mr.Lawrence/坂本龍一('83)

映画『戦場のメリークリスマス』(坂本が出演し、音楽も担当した)の楽曲を中心にピアノ演奏でカバーしたアルバム『Coda』より。
原曲は電子音をメインにした楽曲だったが、ピアノ演奏になると、この楽曲が持つ、東洋でも西洋でもない、独自の世界観がさらに強まる印象がある。

⑯PERSPECTIVE/YMO('83)

YMO の7作目のアルバム『SERVICE』より。楽曲としては本盤のラストの曲にあたる(最後のトラックは SET による寸劇)。
ピアノを主体にした演奏、さりげないドラムとリズムマシン、坂本の素朴な歌声が有終の美を飾る。
「Every day」が続く歌詞は、河原温のコンセプチュアル・アート(「日付絵画(Todayシリーズ)」)に着想を得たものである。過去に坂本自身もラジオのインタビューで「YMO のフェイバリット」として、この楽曲を挙げており、のちにピアノ演奏でのセルフカバーも披露している。

▼Spotify 版プレイリストはこちら


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