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THANKS MR.YT 高橋幸宏プレイリスト(1)

※3000字以上の記事です。
 お時間のある時に
 お付き合いいただけると嬉しいです。

高橋幸宏のことを語るには、知識不足がいなめません。
なにせ、私は彼のソロ作品を全部聴いたことがないので、「にわか」と言われてもしかたがないですね。
でも、自分の中に、どうしても「語りたい」想いがあるんです。

自分が「完全にわかってから」なんて、時期を待っていたら、あっという間に私の人生も終わってしまうでしょう。

ですから、私は、今の自分が語りえるものを提供していければと思います。

高橋幸宏の音楽キャリアは50年にも及ぶもので、到底、一言では言い表せるものではありません。

そこで、高橋幸宏関連の楽曲の中から、各年代の楽曲を DJ 感覚で選曲し、解説していくことにします。このシリーズは、おそらく3つか4つの記事になるでしょう。
選曲にあたっては、あまり深く考え過ぎず、全体のバランスを考えて選んだつもりです。

今回のプレイリストは、YMO 結成前(’74)~散開直後(’84)の楽曲の中から選曲しました。

なお、解説の中で特記していない限り、高橋幸宏が作曲した楽曲です。

※第二弾以降の投稿には、少々時間がかかるかもしれません。
 気長にお待ちください。

①タイムマシンにおねがい/サディスティック・ミカ・バンド('74)

高橋幸宏がプロデビューを果たしたのは、’72年、サディスティック・ミカ・バンドのドラマーとしてだった(初代はつのだ☆ひろ)。同バンドでは、海外公演も経験している。
作曲は加藤和彦、同バンドの代表曲でもある。
この頃から、すでに高橋の演奏するタイトなドラムの魅力が光っている。

②サラヴァ!/高橋ユキヒロ('78)

ソロデビューアルバムより。アルバムの表題曲でもある「Saravah!」は、自身が敬愛するフランスの音楽家・俳優、ピエール・バルーのレコードレーベルからとったもの。
アルバム全編にわたって、編曲・キーボードの演奏は、坂本龍一、ベースで細野晴臣も参加している。
ヨーロッパの香りを色濃く反映したオシャレなポップスに仕上がっている。

③中国女/YMO('78)

YMO のファーストアルバムより。曲名はジャン=リュック・ゴダール監督の同名映画よりとったもの。
しかし、音楽的には高橋が好きなピエール・バルー、フランシス・レイと言った、同じフランス映画でもゴダールとは、かなり趣向の異なる映画音楽のコードを参考にしている。
ギターはサディスティック・ミカ・バンドにも在籍した高中正義。

④RYDEEN/YMO('79)

YMO の2作目のアルバム『SOLID STATE SURVIVOR』より。同バンドの代表曲の一つでもある。
飲み屋で酔った高橋幸宏が鼻歌で口ずさんだのを、坂本龍一がその場にあったペーパーナプキンに書き留めて、曲に仕上げたという逸話も有名だ。
作曲者の高橋幸宏がベースに考えていたのは、浮世絵の世界観で、曲名も当初は「雷電」という漢字表記だった(江戸時代の力士「雷電爲右エ門(らいでんためえもん)」から)。
音楽的な元ネタとしては、黒澤明監督の『七人の侍』のテーマ曲で、主旋律が似ている。

⑤NICE AGE/YMO('80)

YMO の3作目のアルバム『増殖』より。作曲は高橋幸宏、坂本龍一による共作。エレクトロ色を前面に出しながらも、高橋のボーカルをメインにしたロキシー・ミュージック的なグラムロック的な味わいがある。
曲中にあるニュース速報の声は、福井ミカによるもの(元・サディスティック・ミカ・バンド)。当時、来日した際に大麻取締法違反で逮捕されたポール・マッカートニーのことを暗喩している(ポールが逮捕されていなければ、YMO のスタジオに見学に来る予定だった)。
YMO チルドレンの一人、槇原敬之が特にお気に入りの1曲。

⑥MURDERED BY THE MUSIC/高橋ユキヒロ('80)

2作目のソロアルバム『音楽殺人』より。同アルバムの表題曲でもある。
1枚目のソロとは大きく異なり、イギリスのニュー・ウェイヴを意識したサウンドになっている。
ギターは『SOLID STATE SURVIVOR』の一部の楽曲にも参加していた鮎川誠(シーナ&ザ・ロケッツ)。

⑦バレエ/YMO('81)

YMO の4作目のアルバム『BGM』より。高橋による歌詞は、ワルシャワの画家、タマラ・ド・レンピッカのことを歌っている。
『SOLID STATE SURVIVOR』の頃とは、サウンドが大きく異なり、全体的にくすんだ音色、リズムマシンも使用している。矢野顕子が YMO の楽曲の中で、特にお気に入りの1曲として挙げている。

⑧コネクション/高橋幸宏('81)

3作目のソロアルバム『ニウロマンティック』より。この頃から名前がカタカナの「ユキヒロ」から、漢字の「幸宏」に変更された。
YMO の『BGM』の影響が強く、こちらの楽曲でも、くすんだ電子色が多用されている。自身のドラム演奏とともに、リズムマシンの音も重ね、多層的なリズムが構成されている。

⑨階段/YMO('81)

YMO の5作目のアルバム『TECHNODELIC』より。
音色もコードも、重い印象の楽曲で、力強いドラムの音が、さらに重さを引き出している。
YMOチルドレンで、METAFIVE のメンバーとして、高橋とも繋がりの深かった砂原良徳(元・電気グルーヴ)が、特にお気に入りの1曲。

⑩River In The Ocean/THE BEATNIKS('81)

高橋がムーンライダーズの鈴木慶一と組んだユニット、ザ・ビートニクスのファーストアルバム『EXITENTIALISM 出口主義』より(2枚目のシングル曲にもなっている)。作曲は高橋幸宏、鈴木慶一による共作。
電子音を前面に出しながらも、二人の重なるボーカルワークが、二人に多大な影響を与えたビートルズを彷彿させる。

⑪サヨナラ/高橋幸宏('82)

4作目のソロアルバム『WHAT, ME WORRY? ボク、大丈夫!!』より。
YMO の活動休止期間に発表されたアルバムでもあるが、前作に引き続き、YMO での活動が色濃く反映されたサウンドになっている。
逆に、本楽曲で使われている日本語による歌詞は、その後の YMO の活動にも影響を与える。

⑫希望の路/YMO('83)

YMO の6作目のアルバム『浮気なぼくら』より。1年の活動休止を挟んで発表された本アルバムは、前作とは打って変わり、日本語の歌詞を前面に出した作品になっている(シングルとして発売された『君に、胸キュン。』はオリコン2位)。
このアルバムでは、新たなリズマシンとして、リン・ドラムが使われるようになり、軽いサウンドに変化している。新たなシンセドラムの導入もリズムトラックに与えた影響が大きい。

⑬ARE YOU RECEIVING ME?/高橋幸宏('83)

5作目のソロアルバム『薔薇色の明日』より。YMO 活動期間最後のソロアルバムとなった本盤は、明るく軽いサウンドに変化した YMO とは異なり、引き続きハードなサウンドを追究している。
重くても軽快なドラムサウンド、甘くても芯の強さを感じさせるボーカルは、すでに完成の域に達している。

⑭CHINESE WHISPERS/YMO('83)

YMO の7作目のアルバム『SERVICE』より。このアルバムを最後に YMO は散開となるが、タイトルの通り「おまけ」的に作られた本盤の制作時に、スタジオにメンバーが揃うことは少なく、各人のソロ作品的な楽曲が多い。
この楽曲も、それまでの YMO 作品とは異なるダンディーなポップ感があり、その後のソロ作品に通じるものがある。

⑮四月の魚/高橋幸宏('84)

大林宣彦監督の同名映画の主題歌。高橋がはじめて手掛けた映画音楽(劇中の音楽も担当)で、主演も務めた。柔らかい電子音と甘いボーカルで、YMO 時代とは一味違う大人のポップスを感じさせる。

⑯WALKING TO THE BEAT/高橋幸宏('84)

YMO 散開後、はじめてのソロ作となった、6作目のソロアルバム『WILD & MOODY』より。作曲は、アイヴァ・デイヴィス(オーストラリア出身のロックバンド、アイスハウスのボーカル)との共作。
アグレッシブな打ち込みとドラムがエキサイティング、アクセント的にあしらわれたストリングス、ギターも秀逸である。

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