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文字の連なり
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2020年8月の記事一覧

床屋

「いつもと同じ感じで」

二ヶ月に一回ぐらいの頻度で床屋に行く。飲食店などのお店に行くときは予約はしていかないのだが、床屋は必ず予約をしていく。ふらっと行って、空いていたから立ち寄ってみたよ、なんていう粋なことはできない。すみません今日一杯です、と言われてしまったときの、浮かれた気持ちを狙撃されたような感覚に耐えられない。

店内に入ると、待ってましたと電動椅子に案内される。座ると理髪師から、今日

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温冷交代浴

温冷交代浴

とあるサウナのドラマを見て、温冷交代浴という入浴方法を初めて知った。どういうものかと言うと、サウナで体温を上昇させた後、水風呂に入り急激に体温を下げ、またその後にサウナに入り体温を上げる。きっと正式なルールがあるのだろうが、ざっくりいうとそんな感じのものだ。要するに、暑いと寒いを交互に繰り返すという、一見、何の拷問?という入浴方法だ。

そのドラマいわく、短時間で体温の上昇と下降を繰り返すことによ

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スイッチ

スイッチ

私は暗いところが好きだ。道を歩いていて暗がりがあれば、吸い込まれるように行ってしまう。家の中にいて、気が付いたら日が暮れて真っ暗になっていたということが度々ある。小さい頃は、布団に入って電気を消した後も、真っ暗な天井をじっと見つめているような、ちょっと心を心配されそうな子どもだった。

私達は一日何回電気のスイッチを入れているのだろう。思えば不思議なものだ。指一つの労力で、広い空間に灯りが付いたら

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カレーと中島

カレーと一口に言っても、いろいろなカレーがある。辛口か甘口か、牛か豚か、それとも鳥か。野菜は何が入っているのか。キーマ、スープ、インド風、欧風、スリランカ風。枚挙に暇がない。料理としての間口が広いので、どこかに自分の好きなカレーが必ずある。

私はオーソドックスなカレーが好きだ。市販のルーを使って、大きめにカットされたジャガイモとニンジンが入っている。玉ねぎは飴色とまではいかなくとも、くたくたにな

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フグ

フグ

味は美味だが毒がある。
私はこの間、生まれて初めてフグを食べた。ひょんなことから冷凍のものを頂き、鍋にして食べた。身は白く、普通の白身魚より弾力があるように感じた。味はというと、私の期待が大きすぎたせいか、正直、これぞフグ、という程ではなかった(漁師さんすみません)。良く言えば滋味を感じさせる淡白さ、悪く言えば味が無い(漁師さん本当にすみません)。味以外のことだと、骨が多かった。
フグといえば高級

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煙草

煙草

私は煙草を吸わない。生来より肺が弱い為というのもあるが、殊更吸いたいと思ったこともない。しかし、吸えた方が良かったのかなと思うこともままある。

小説を読んでいると、よく登場人物が煙草を吸うシーンが出てくる。それが好きなキャラだったりすると、喫煙の魅力に少し惹かれる。また、これもよく喫煙者の言うことだが、山頂などの空気の美味いところに行くと、煙草も美味く感じるらしい。煙草と空気の新鮮さは相反する要

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