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スイッチ

私は暗いところが好きだ。道を歩いていて暗がりがあれば、吸い込まれるように行ってしまう。家の中にいて、気が付いたら日が暮れて真っ暗になっていたということが度々ある。小さい頃は、布団に入って電気を消した後も、真っ暗な天井をじっと見つめているような、ちょっと心を心配されそうな子どもだった。

私達は一日何回電気のスイッチを入れているのだろう。思えば不思議なものだ。指一つの労力で、広い空間に灯りが付いたら消えたりする。

よく人間に対しても、比喩的にスイッチという言葉が使われる。感情の切り替わりに、スイッチが入った、切れた、などという。年齢を積み重ねてきて、年々スイッチの効きが悪くなっている。入れたつもりが、入っておらず、切ったつもりが入ったまま。いろいろなスイッチがあると思うが、その管理もできなくなりつつある。

日々、スイッチオンとスイッチオフを私たちは繰り返している。スイッチを入れてもどうしてもつかなくなる日まで。

スイッチオフ。


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