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AIでつくった、ミッション、ビジョン、バリュー百科事典

この資料は、ChatGPTで50の企業のミッション、ビジョン、バリューをつくり、百科事典としてまとめたものです。文中にダウンロードできるURLがございますので、ご覧ください。

ChatGPTで、ミッション、ビジョン、バリューはつくれるのか?

ミッション、ビジョン、バリューとは、企業が目指す方向性や社会での存在意義を言語化したものです。
「Mission(ミッション)」「Vision(ビジョン)」「Value(バリュー)」の頭文字をとって、MVVと言われることもあります。

これがなぜ重要なのかというと、「すべての企業活動はここからはじまる」と言っても過言ではないほど、企業にとっての指針になるものだからです。プロダクト開発も、ブランディングも、リクルーティングも、IRも、すべてこのMVVからはじまります。

だから、このMVVを構築するために、企業は数百万円、時には数千万円の費用をかけてプロジェクト化します。

僕もこれまで、ディレクターとしてMVVを作る仕事に携わってきてました。
CEOや経営陣・社員が考えていることをヒアリングしながら、未来について洞察し、想いと戦略を融合させながら言語化する仕事です。

先日、このMVVづくりに携わっている同僚4人と話していた時に、ChatGPTの話題になりました。みんなそれぞれが超優秀なプランナー、ディレクターです。

その会話の中で生まれた素朴な疑問。

「ChatGPTは、ミッション・ビジョン・バリューもつくれるのだろうか?」

いや、さすがに無理ではないか。
いや、それっぽいのをカタチにはしてくれるのではないか。
もし作れたとしたら、僕らの商売はどうなるんだ。

いろんな意見がありましたが、とりあえずその場で生成してみることに。
そしてChatGPTにお願いしてみました。

「トヨタのミッション、ビジョン、バリューをつくってください。」

【ミッション】
「先進的な技術力と豊富なモビリティノウハウを活かし、人々の移動を通じて社会に貢献する」
トヨタは、自動車を通じて人々の生活を豊かにし、地球環境に貢献することで、社会全体の発展に貢献することを目指しています。

Written by ChatGPT3/2023

【ビジョン】
「常に進化し続けるモビリティカンパニー」
トヨタのビジョンは、誰もが自由に移動できる社会の実現です。自動車をはじめとするモビリティ技術の革新により、人々が自由に移動できる環境を提供することを目指しています。

Written by ChatGPT3/2023

【バリュー】
1. 「尊敬」- 人々に敬意を払い、信頼を得る
2. 「挑戦」- 新たな可能性を追求し、挑戦を続ける
3. 「改善」- 常に改善を追求する
4. 「信頼」- 品質と安全性を追求し、信頼を守る

Written by ChatGPT3/2023

おぉ、これは!!それっぽいぞ!

まず驚いたことは、「ミッション」と「ビジョン」と「バリュー」の違いを理解していることです。仕事の現場でも、この違いを混同していたり理解していない人も多いのですが、ChatGPTは言葉の定義をちゃんと理解しているようです。そして、トヨタがクルマメーカーではなくモビリティカンパニーであることを端的に示しています。バリューにもトヨタの価値観として根付いている「改善」が入っていて、それっぽい。

では、次。

「newspicksのミッション、ビジョン、バリューをつくってください。」

【ミッション】
「The Right Pick」
ニュースピックスは、情報の選択と配信において、常に正確性と信頼性を追求し、利用者にとって適切な情報を提供することを使命としています。

Written by ChatGPT3/2023

【ビジョン】
「The Best 10 Minutes of Your Day(あなたの1日の最高の10分間)」
ニュースピックスは、ユーザーが一日の中で必要とする情報を、短時間で効率的に獲得できるようにし、日々の生活において最も価値のある10分間を提供することを目指しています。

Written by ChatGPT3/2023

【バリュー】
1. 利用者ファースト:利用者のニーズを最優先に考え、常に利用者目線でサービスを提供する。
2. 信頼性・正確性:情報の品質に徹底的にこだわり、常に正確で信頼性の高い情報を提供する。
3. シンプル:情報収集・閲覧を簡単かつスムーズに行えるように、シンプルなデザインと使いやすい機能を提供する。
4. 価値創造:利用者にとって価値のある情報を提供することで、彼らの人生や仕事に貢献し、社会に価値を創造する。

Written by ChatGPT3/2023

まじか、、気が効いている。。。

「The Right Pick」って、ニュースを届ける企業の社会的使命をとても端的に示しつつ、しかも企業名とのレトリックを効かせているではないか。
そして「あなたの1日の最高の10分間」というビジョン。
これは、newspicksのユーザー価値を見事に言語化しつつ、社員がどういうサービスづくりに向かって働けばよいのかの明快な指針になっています。

念の為ググってみると、newspicksは「The Right Pick」なんて一言も言ってませんでした。おそらく、ホームページやインタビュー記事などネット上のテキストデータから新たに生成されたものなんだと思います。

これはやばいな。。。

ChatGPTが、既にここまで作れることにみんな驚愕しました。

僕は、AIが侵食できない人間の最後の砦は「クリエイティビティ」だと思っていました。思っていたというよりも、職業的にそう信じたかったのかもしれません。
ですが現実には、アートの領域(画像生成)、音楽の領域(音楽生成)、そして概念の領域(テキスト生成)と、実はクリエイティブな領域からAIが発展しています。もしかしたら、AIはクリエイティビティから代替していくのかもしれません。

ただしこれは、「クリエイティビティとは何か?」という定義によります。もし、クリエイティビティが、「過去のレファレンスと未来への洞察の組み合わせ」なのだとしたら、AIが代替できるようになるのかもしれないと思います。

そして驚きつつも、新たな好奇心が生まれて来ました。
こんなに簡単に作れるんだったら、あらゆる企業のMVVを生成したみたら面白いのではないか?
そしてそれを、百科事典のようにまとめたらどうだろうか。

そして僕は、ChatGPTで様々な企業のミッション・ビジョン・バリューを生成してみることにしました。

目的は3つです。

①ChatGPTで、どこまでつくれるのかを確認するため。
現状のAIが、どのくらいのクオリティでどこまで出来るのかを知りたかったからです。もしあらゆる企業のMVVをハイレベルな品質で生成できたとしたら、これはスゴイことです。何故なら、MVV構築は企業にとって一大プロジェクトであり、それなりの費用とエネルギーをかけて作っているからです。

②人間の仕事の代替性、僕らの仕事のあり方を見極めるため。
本当に人間の仕事を代替できるのか、AIに出来ない領域は何なのかを見極めたかったからです。AIが得意な領域と、人間が得意な領域を認識して、うまく活用していくことが、これから求められると思いました。

③MVV百科事典があれば、すべての企業の参考になるため。
ほとんどの企業はミッション、ビジョン、バリューという形式でキレイにまとめている訳ではなく、企業理念、フィロソフィー、パーパス、行動指針など、会社によって独自のレイヤーで規定しているためバラバラです。これが同じフレームワークで全ての企業を一覧できたとしたら、新たにMVVをつくる時や、他社とのポジショニングを比較する上で非常に有益な参考になると思いました。


ミッション・ビジョン・バリュー百科事典

それでは、さっそくMVV百科事典をご覧ください。
大企業からスタートアップまで、任意に選んだ50の企業のミッション・ビジョン・バリューです。あなたの企業もあるかもしれませんので、ぜひご覧ください。


この中から、特に印象に残ったものをピックアップします。

メリカリ
「捨てるを減らし、持つを変える。」
確かに、メルカリは所有の概念自体を変えているので、意外と本質をついたミッションになっているかも。

KDDI
「Connect Everything, Create the Future.」「Smart Life Innovation」
本当にKDDIが言ってそうな雰囲気すらあります。。

テスラ
「持続可能なエネルギーを世界中に普及させ、人類のクリーンエネルギーへの移行を加速すること」
確かにテスラは、自動車を作ることがミッションではなく、人類をクリーンエネルギーへ移行するための手段として電気自動車を普及させ、バッテリー価格を押し下げるという戦略だったはず。

JTB
「人々の旅を、世界を変える力に」
旅の経験によって起業して、世界を変えた起業家も多いですよね。こんなミッションも素敵だなあ。


ローソン
「LaLaLa! おいしいと楽しいを、もっと。」
こんな情緒ワードまで出てくるのか。。


MVV百科事典をつくってみての考察

いかがでしたか?
ご覧いただければ、それぞれの企業の特徴を踏まえたミッション・ビジョン・バリューがちゃんと生成されていることが分かったかと思います。

僕の今の所の結論としては、
間違いなく今後、ミッション・ビジョン・バリューを作る過程において、ChatGPTを活用した方が早い。

いろいろな意見はあると思いますが、AIが作った一つのパターンとして参考にすることは、意義があるしスピードが早くなると思います。

ただし、50の企業のMVVを生成してみて、分かったこと、気づいたことがいつくかあります。
それは、現状のChatGPTでは、完全には人間の代替にはならないかもしれないと言うことです。

AIにできないことは何なのか?
人間がこれからフォーカスすべき領域はどこなのか?

最後に3つの視点を提示させて頂きます。

人がフォーカスすべきこと①
「ディレクション」

ご覧いただいたMVVは間違いなくChatGPTがつくったもので、僕は一切手を加えていません。ただ、手は加えていないのですが、いろいろな指示は出しました。
例えば、抽象度の設定。
普通につくると、こんなミッションが返ってくることがありました。
「人々の生活を豊かにするために、最新技術を活用した革新的な製品を提供すること。」
これはもう抽象的すぎてどこの企業でも言えることです。
もっと具体性を持って、他の企業にない特徴を捉えたMVVにするために、
「企業の特徴を踏まえて・・・」「もう少し具体的に」と、抽象度を一定基準になるように指示しました。

言葉の強さの設定。
普通につくると、平たい言葉や長い文章で、印象的なワードにならないことがありました。そういう時は、「もう少しキャッチーに」「もう少しシンプルに」など、言葉の強さを探りました。

候補からの選択。
ChatGPTは、同じ企業のMVVをお願いしても、その度に違う案を作成してくれました。なので一発目でしっくりこない場合は、いくつかの候補を作ってもらいました。その中からどれを選ぶのかは、僕が判断しました。

僕がやったこの「指示」「選択」は、考えてみれば通常の業務でもやっている「ディレクション」に近しいことだと思いました。
方向性を指示したり、案を選んだりするのが、クレイティブディレクターの役割の一つですから。もしかしたら、AIが発達してもディレクターの仕事は残るのかもしれないと思いました。


人がフォーカスすべきこと②

プロセスの共有」

ミッション・ビジョン・バリューは、言語化することが一つのゴールです。
でも、本当に大切なのは、ディスカッションする過程で社長から社員まで会社の未来を一人ひとりが考えるプロセスに意味があります。
それを真剣に考えた痕跡が、会社の価値観であり、使命なので、このプロセスをすっ飛ばしたMVVには大切なものが抜け落ちています。
さらにプロセスが無いと、言語化されたアウトプットだけ見ても、会社全体でコンセンサスをつくるのは難しいと思われます。

このプロセスだけは、AIがいくら発達してもカバーできない領域かもしれません。なぜならAIは一瞬で答えを出すスピードにこそ価値があるからです。


人がフォーカスすべきこと③
「未来への自由意志」

ここで生成したMVVはChatGPT3でつくったので、2021年末までのインターネット上に存在したデータを元に生成されています。つまり過去のデータで作られたミッション・ビジョン・バリューです。これが、現在の情報までリアルタイムに反映されていれば完璧かというと、そうではありません。

なぜなら、企業も人間も自由意志を持ち、今日までの自分とは違うビジョンを描くことができるからです。
「過去がどうであったにせよ、未来はこんな企業にしたい」という変革の意思、未来への自由意志こそが、ビジョンの源泉だと思います。
当面の間AIが意思を持つことはないとしたら、この意思こそが、人間が最も大切にすべき領域なのかもしれません。

①ディレクション
②プロセスの共有
③未来への自由意志

これらは現状のAIに欠落しているモノで、今後人間がフォーカスすべき領域でもあると思います。
なので、AIが作ったミッション・ビジョン・バリューは、もちろん完璧なモノではありません。

しかし!!!

僕の今のところの所感としては、

「少なくとも、ここからはじめればよい。」

少なくとも、AIがつくったMVVを元に、ディスカッションをしながら進めることは十分に考え得ることです。

この時、上記の3つの視点を自覚しながら進めることが非常に重要だと思います。

具体的には、AIがつくったMVVに対して、以下のように進めるのが良いのではないかと思います。

①ディレクション
AI案を元に、大きな方向づけは人間がディレクションする。
→人は案を見ると、改定すべき方向性が見える。

②プロセスの共有
AI案を見ながら、何が違うのか、どう変えていきたいかプロセスを大切にする。
→人はタタキがあると議論が活発になる。

③未来への自由意志
AI案がバイアスにならないように、あえてその枠からハミ出した思考を徹底する。
→人は枠を認識することでハミ出せる。

さぁ、僕らの仕事はAIが発達した未来にも生き残るのでしょうか?

これからも洞察していきたいと思います。

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