手品師みたいな仕事はできない
うまい営業って、ときに手品みたいだ。
タネも仕掛けもなく、ただ熱心に話を聞いてくれて「私に合う提案をしてくれて嬉しい」なんてのは見せかけで、実はずっと手のひらで転がされていたりする。
最初からタネも仕掛けもちゃんとあるし、シナリオもたどり着く答えも決まっているのだ。そのタネをちょっぴり小耳に挟んでしまって、衝撃を受けた。
気づかずいい気分になれたのなら、それは一種のエンターテイメントなのかもしれないけれど。
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大学生の頃、小さな出店でバームクーヘンを売るバイトをし