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読みがえり

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読んだ本のレビュー(書評)をまとめています。雑多な書棚ですが、興味があればどうぞ!※注意🚨紹介している本を一度読んでから開くのをオススメします。限りなくネタバレに近いので笑笑
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#経済

書評:『人新世の「資本論」』斎藤幸平

書評:『人新世の「資本論」』斎藤幸平

①紹介

経済思想家・斎藤幸平氏による『人新世の「資本論」』(集英社新書、2020年)を紹介します。昨年の時点で50万部を超えました!気候変動を食い止める鍵として氏が注目するのは、マルクスの『資本論』。冷笑と先入観を排した先にある、コミュニズムの真価へ。

②考察

・「コミュニズムは、無限の価値増殖を求めて地球を荒廃させる資本を打倒する。そして、地球全体を〈コモン〉として、みんなで管理しようとい

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書評:『資本主義の終焉と歴史の危機』水野和夫

書評:『資本主義の終焉と歴史の危機』水野和夫

①紹介

経済学者・水野和夫氏による『資本主義の終焉と歴史の危機』(集英社新書、2014年)を紹介します。資本主義の矛盾が招いた社会の停滞は「終わり」の始まりに過ぎません。それを見届ける私たちにできることは何か。ヨーロッパが理念としてきた「蒐集」の歴史に触れながら、その代替案を探ります。
 

②考察

・「グローバリゼーションとは、『中心』と『周辺』の組み替え作業です」
→一言で表すと「中心」は

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書評:『共産党宣言』マルクス、エンゲルス

書評:『共産党宣言』マルクス、エンゲルス

①紹介

言わずと知れたドイツの思想家マルクスとエンゲルスによる『共産党宣言』(大内兵衛・向坂逸郎訳、岩波文庫、2007年)を紹介します。19世紀中頃に書かれたものとは言え、現代社会が抱える環境・労働問題にも一石を投じていると理解でき、その影響は計り知れません。

②考察

・「ヨーロッパに幽霊が出るーー共産主義という幽霊である」
→その「幽霊」は後に20世紀末のソ連崩壊と資本主義の勝利によって大

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書評:『資本主義はなぜ自壊したのか』中谷巌

書評:『資本主義はなぜ自壊したのか』中谷巌

①紹介

かつて「構造改革」の旗振り役だった経済学者・中谷巌氏による『資本主義はなぜ自壊したのか-「日本」再生への提言』(集英社文庫、2011年)を紹介します。著者が見逃していたグローバル資本主義の落とし穴とは?それはもう止められないのか?解決策の一つは、良き古き日本の文化と精神にありました。

②考察

・「私たちの暮らしている社会は長い歴史伝統の中で作られたものであり、そうした背景を抜きにして

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