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バンド 【完結】

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2022年2月の記事一覧

【小説】 あべこべ。

 マキコのクラスに続き、二年生の合唱には凄まじい気迫があった。秀でたクラスが一つでもあれ…

井川文文
2年前
13

【小説】 拍手の海の中で。

 マキコのクラスの合唱が終わった。  会場には万雷の拍手が響き渡った。  歌唱力もそうだが…

井川文文
2年前
2

【小説】 花の名前。

 ちょっとだけ。  ほんのちょっとだけ。  私は、花が欲しくなった。  マキコが合唱で咲か…

井川文文
2年前
2

【小説】 緑の花。

 マキコのクラスの合唱が始まった。  課題曲の伴奏が響き、表情豊かな歌がホールを包む。  …

井川文文
2年前
9

【小説】 チラつく。

「あ、マキコちゃん」  ステージ上にマキコが現れた。クラス全員がシャツ姿にカラフルなイー…

井川文文
2年前
4

【小説】 ツンケン

「ピアノ、上手いね。校歌のジャズアレンジに、ドビュッシーだよね?」  リオンの隣に立った…

井川文文
2年前
1

【小説】 リオン。

 会場ロビーに出ると、ピアノの男の子の周りには人だかりが出来ていた。大体そうだが、自分が考えていることは、誰かも同じことを思ってる。自分だけが気付いたと得意気になった時には、すでに世界に気付かれている。そういうものだ。  ヒロナ、ミウ、アキの3人は、遠巻きに男の子の様子を伺った。  自分もバンドをしてるから分かる。演奏にはエネルギーを使うのだ。全身の毛穴が開き、身体の内側から湧き上がる力を使う。  彼は、まだ汗に濡れたままの髪が額にはりついていた。それなのに、青白い顔色をして

【小説】 なるようになれ。

「なにボーッとしてんの?」  じっとりした声が耳をかすめ、ハッとした。隣を見ると、目を三…

井川文文
2年前
1

【小説】 恋に落ちる2

 ヒロナは困惑した。ステージの上で伴奏を弾く男の子は、全校生徒による校歌斉唱が終わると、…

井川文文
2年前
4

【小説】 恋に落ちる。

 自分からやりたいと思い続けてきたはずなのに、いざ本番が近づくと嫌になる。こんなことの繰…

井川文文
2年前
4

【小説】 最高

「緊張してますか?」  鏡越しにマキコが聞いた。どことなくはにかんだ様子だが、眼には真剣…

井川文文
2年前
7

【小説】 みんな、ほんのり笑ってる。

 音楽祭。一年の最後を飾る大イベント。たかが合唱コンクールだと臨む生徒は、会場の大きさに…

井川文文
2年前
3

【小説】 少しずつ。

 ヒロナの悩みとは裏腹に、バンドのリハーサルは順調に進んだ。  一瞬、亀裂が入ったかのよ…

井川文文
2年前
6

【小説】 時間が欲しい。

 バンドをどうしたいか。バンドでどうなりたいか。  阿南から投げられた問いは、ヒロナの胸の底で重たく漂っていた。 “もう少し考えたかった”  時間を戻したい。学生時代のうちに、もっと挑戦しておきたかった。ちゃんと勉強に打ち込んでいれば、大学に行きたいと思ったかもしれないし、将来についての明確なビジョンも見つかったかもしれない。  バンド活動を楽しく続けているだけで、しあわせな未来が訪れると信じ込んでいたし、実際に、十分すぎるほど恵まれてきた。コンテストでは賞をもらい、事務