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マキコのクラスに続き、二年生の合唱には凄まじい気迫があった。秀でたクラスが一つでもあれ…
マキコのクラスの合唱が終わった。 会場には万雷の拍手が響き渡った。 歌唱力もそうだが…
ちょっとだけ。 ほんのちょっとだけ。 私は、花が欲しくなった。 マキコが合唱で咲か…
マキコのクラスの合唱が始まった。 課題曲の伴奏が響き、表情豊かな歌がホールを包む。 …
「あ、マキコちゃん」 ステージ上にマキコが現れた。クラス全員がシャツ姿にカラフルなイー…
「ピアノ、上手いね。校歌のジャズアレンジに、ドビュッシーだよね?」 リオンの隣に立った…
会場ロビーに出ると、ピアノの男の子の周りには人だかりが出来ていた。大体そうだが、自分が考えていることは、誰かも同じことを思ってる。自分だけが気付いたと得意気になった時には、すでに世界に気付かれている。そういうものだ。 ヒロナ、ミウ、アキの3人は、遠巻きに男の子の様子を伺った。 自分もバンドをしてるから分かる。演奏にはエネルギーを使うのだ。全身の毛穴が開き、身体の内側から湧き上がる力を使う。 彼は、まだ汗に濡れたままの髪が額にはりついていた。それなのに、青白い顔色をして
「なにボーッとしてんの?」 じっとりした声が耳をかすめ、ハッとした。隣を見ると、目を三…
ヒロナは困惑した。ステージの上で伴奏を弾く男の子は、全校生徒による校歌斉唱が終わると、…
自分からやりたいと思い続けてきたはずなのに、いざ本番が近づくと嫌になる。こんなことの繰…
「緊張してますか?」 鏡越しにマキコが聞いた。どことなくはにかんだ様子だが、眼には真剣…
音楽祭。一年の最後を飾る大イベント。たかが合唱コンクールだと臨む生徒は、会場の大きさに…
ヒロナの悩みとは裏腹に、バンドのリハーサルは順調に進んだ。 一瞬、亀裂が入ったかのよ…
バンドをどうしたいか。バンドでどうなりたいか。 阿南から投げられた問いは、ヒロナの胸の底で重たく漂っていた。 “もう少し考えたかった” 時間を戻したい。学生時代のうちに、もっと挑戦しておきたかった。ちゃんと勉強に打ち込んでいれば、大学に行きたいと思ったかもしれないし、将来についての明確なビジョンも見つかったかもしれない。 バンド活動を楽しく続けているだけで、しあわせな未来が訪れると信じ込んでいたし、実際に、十分すぎるほど恵まれてきた。コンテストでは賞をもらい、事務