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バンド 【完結】

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2021年10月の記事一覧

【小説】 セミくん

 セミの声。あんな小さな身体なのに、夏の景色のBGMになるほど大きな音を出せるなんて、凄い…

井川文文
3年前
2

【小説】 助走する力

【マキコ】  高校2年に上がるタイミングで“広瀬マキコ”という自分のイメージを変えること…

井川文文
3年前
17

【小説】 負けたくない

【マキコ】  誰にも負けたくない。  その想いだけが日毎に増していく・・・。  あたしは高…

井川文文
3年前
2

【小説】 自己責任

【ミウ】  勉強と恋愛とバンドの全てを成立させたかった。  どうしたって優先順位は生まれ…

井川文文
3年前
7

【小説】 いつの間にか

 海。山。花火。お祭り。スイカ。お化け屋敷。  通り過ぎる景色を眺めながら、夏の連想をす…

井川文文
3年前
7

【小説】 バニラアイス

【ミウ】    「ごめんね、わざわざ、ありがとう」  ヒロナは思ったよりも元気そうだった…

井川文文
3年前
4

【小説】 辞めたい

【ミウ】  ヒロナが学校を休んだ。体調を崩したらしい。体調不良で学校を休むなんて、小学校以来かもしれない。  「お見舞いに行かない?」とマキコを誘ったが、断られてしまった。メールをしたら「来ないでいい」と返信が来たからだそうだ。  「まさかヒロナがダウンするとはね・・・」  来ないでいいと言われても、家が近い私はお見舞いに行く。アキは何も言わずについてきた。すっかり衣替えも終わり、電車内は冷房がかかっている。  「つ、つ、疲れが出ちゃったんだろうね」  「まあ、最近

【小説】 疲れ

【ミウ】  「ミウ、どうにかならないかな・・・?」  ヒロナが珍しく俯いていた。髪の毛で…

井川文文
3年前
2

【小説】 チグハグ

【ヒロナ】  レコーディングの日を境に、バンド内の空気が変わってしまった。  アキちゃん…

井川文文
3年前
1

【小説】 レコーディング3

【マキコ】  アキさんに猛烈に嫉妬した。  彼女だけが、レコーディング時間が短い。彼女だ…

井川文文
3年前
2

【小説】 レコーディング2

 「ねえ、アキってなんで、いつも最後のレコーディングなの?」  最初は、ミウの質問の意図…

井川文文
3年前
4

【小説】 レコーディング

【ミウ】  レコーディングが始まった。  スタジオに入り、演奏をし、録音する。作業として…

井川文文
3年前
5

【小説】 ポテンシャル

 音楽祭は大成功だった。  バンドとダンス部のコラボ。合唱や、ブラスバンド、和太鼓などの…

井川文文
3年前
1

【小説】 ザワザワ

 始まる前の客席の空気が好き。  観客一人一人が、まるで関係のない話をしているから。  ある者は、昨日見た映画の批評をしたり、ある者は、本を読んだり。はたまた何もしないで、ただ演目を待つという人もいる。多様な個人活動が積み重なると、“ザワザワ”という音になるのが面白い。    「ああ、初心取り戻したいなあ」  またヒロナが変なことを言い出した。ライブの直前だというのに。このモードに入ったということは、みんなに何かを伝えようとしている合図だ。彼女と10年以上一緒にいるから分か