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バンド 【完結】

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2021年8月の記事一覧

地味なプライベート  (ミウ)

【ミウ】  バンドに明け暮れる毎日を過ごしたせいで、夏休みの正しい使い方が分からなくなっ…

井川文文
3年前
6

感情が溶けると眠くなる  (マキコ)

【マキコ】  自分の無意識の中に「差別」感情があるとは思っていなかった。  大手芸能プロ…

井川文文
3年前
5

謝ってばかり  (ヒロナ)

【ヒロナ】  関係修復に時間をかけてはいけない。  もちろん、完全に仲直りをするには時間…

井川文文
3年前
1

礼儀  (ヒロナ)

【ヒロナ】  テーブルには緑茶が四つとコーヒーが一つ用意された。  壁一面の窓からはビル…

井川文文
3年前
7

プレジャー訪問  (ミウ)

【ミウ】  「今日は来てくれてありがとうございます。せっかくの夏休みなのにごめんね。お茶…

井川文文
3年前
3

話し合う前の段階3  (マキコ)

【マキコ】  どうして、すぐに動こうとしないのか分からなかった。  大手芸能プロダクショ…

井川文文
3年前
5

話し合う前の段階2  (ヒロナ)

【ヒロナ】  多数決は嫌いだった。  「これが民主主義の原点だ」と先生は言っていたが、どうも腑に落ちない。なんともいえないズルさを感じるのだ。  トラブルが発生したときに「だって君たちが決めたことだろう」と言い逃れするための制度。間違いを批判された時、それを決めた大勢の仲間で、批判の声を分散させるための制度。誰も責任を負わない。都合の良い制度な気がしてならなかった。  だから、やりたいことは自分でやる。人を巻き込むときは、私が決めて突っ走る。きちんと責任を負うことを胸に決

話し合う前の段階  (ミウ)

【ミウ】  大会が終わった後は三々五々に帰り、残り短い夏休みが始まる予定だった。  夏休…

井川文文
3年前
2

スカウト  (ミウ)

【ミウ】  大会はあっけなく終わった。  変な話だが、今まで行ってきたライブの中で一番盛…

井川文文
3年前
7

分からないことだらけ  (マキコ)

【マキコ】  私の話が終わる前にヒロナさんの家に着いてしまった。ただ、一方的に話を聞いて…

井川文文
3年前
4

アナタのためという雨  (マキコ)

【マキコ】  「あなたのためを思ってるの」  心を乱してくるのは、私のことを分かった気に…

井川文文
3年前
12

スタイル  (ミウ)

【ミウ】  ヒロナがどこまで考えていたのかは分からないが、「各々が曲作りをする」という課…

井川文文
3年前
4

歌詞の冒険  (マキコ)

【マキコ】  入道雲がクッキリと見える。セミの姿は見えないのに、そこかしこからセミがジリ…

井川文文
3年前
5

暇つぶし (ヒロナ)

【ヒロナ】  負けず嫌いが好きだ。  ライブハウスでの演奏が終わってから、マキコちゃんはギターの練習を本格的に始めた。これまで、楽器をやってこなかった人間がギターをやるのだ。手は当然血豆だらけになってしまう。でも、時間はある。まだ、人生は始まったばかりなんだ。「完璧」なマキコちゃん像が一変した。ギターを背負い、愚直に練習する姿は、人々の心を討つようで、彼女の評判はさらに上がっていた。  彼女の尊敬するべき点は、プライドを捨てて素直に教えを乞うことができたことだ。暇さえあ