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設計事務所とハウスメーカーの違い

家を建てるときによく聞かれる質問です。

「どちらに頼もうか悩んでいます。」「どう違うんでしょうか?」「設計事務所の方が費用が高いでしょう?」「時間かかるし面倒くさいのでは?」

それでもハウスメーカーで家を建てることにした方から計画がスタートしてから、うまくいかない、思っていたのと違う、とよく相談されます。

「何かいいアイディアないですか?」「どうしたらもっとかっこよくなりますか?」「いまいちしっくりこなくて悩んでいます」

担当している設計士の方に直接相談したらいいじゃないか。そう思いますよね。
ところが皆さんそれができない。

なぜか。

ハウスメーカーの設計は右から左へのベルトコンベアーなのです。たくさんのお施主さんを相手にしてますからね。一人ひとりの家や暮らしに思いを馳せて設計している余裕がないのです。「注文住宅・自由設計」なんてうたい文句を掲げるけれど実際はあらかじめ営業の人がササっと書いたものを見せられて大体3~4回の打合せで気になるところを微調整して、ハイ着工っとなるわけです。     

だけど僕からしたらとても信じられない。
家の間取り、外観、窓の位置、造り付家具のデザイン、お風呂や水栓、トイレはどんなものを使うか、照明、スイッチの位置、壁や床や天井の素材、フローリング一つとっても、明るい茶色がいいか、暗めの茶色がいいか、手すりの高さや、コンセントのプレートの色まで決めることは無数にある。
そしてそれに合わせた構造計画、設備計画。
僕はどんなに短くても半年はかけます。

以前ハウスメーカーのお仕事をお手伝いした時には社員の方に「変更するような話はこちらからは絶対にするな」と言われました。
変更すると設計の手間が増えるし、お金もかかるのでやりたくない、ということのようです。

でもハウスメーカーの量産住宅は、仕様や納まりが標準化されていて、短期間で一定レベルのものになります。メーカーのルールに沿うように妥協が求められますが、それがOKならハウスメーカーにお願いする方が早くて安い、ということになります。

反対に設計事務所の住宅は、
完全オリジナルなので、クライアントならでは一品生産品になります。基本的にどんな要望でも叶いますが、つくり方から考えていきますし、全てをその人の生活に合わせてデザインしていくのでどうしても時間がかかるし、ハウスメーカーと比べて割高になるわけです。

一概にどちらにお願いする方がいいとは言えません。ハウスメーカーの中には、今回書いたような設計の仕方でないところももしかしたらあるでしょう。設計事務所にもハウスメーカーのような進め方をするところもあります。

ですが、一生に一度の買い物です。
後悔のない、理想に限りなく近い家になるように、そして設計事務所に頼んでみようと思う方が、少しでも増えたらいいなと思うのです。

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