見出し画像

都市に住む プロジェクトのお話し#4

自邸を建てることにした。

いろんな事情があり都内の東側の土地に白羽の矢が立ったのだが、言うまでもなく都内の土地は高い。
今まで何件か住宅を設計してきたが、そのどれとも比較にならない小ささで今までものすごいお金持ちを相手にしてきたんだなと思い知らされる。

ようやく手に届く価格で、条件の合う土地を見つけたが、はっきり言ってとてつもなく小さい。
まず間違いなく駐車場はつくれない。
それどころか普通に階段室をつくったら、それで家の1/3が埋まるんじゃないかと思うほどだ。

これは参った。
でもせっかくだから一応計画してみることにした。普通の方は多分、立地や土地のサイズとか価格、駅からの距離で土地を選ぶのだろう。だけど設計をしていると、その場で何となくどんなサイズの建物が建てられてどんなメリットデメリットがあるか検討することができる。(だからなかなか土地を買うのに踏ん切りがつかないのだが。。。)なので、一度計画をしてみて、それから判断してみることにした。

それにしても小さい。
階段をつくったら部屋が少ししか取れないので、上に積むしかない。
そうやってスタディしているうちに、ひらめいた。階段室を蛇のように引き延ばして、部屋に絡ませてみてはどうだろうかと。寝室やお風呂など、丸見えになったら困る部屋を箱にして、子供が遊ぶ積み木のようにずらしながら積んでいく。空いたスペースに階段をつけて、空いたスペースに棚が置けるな、とか、机が置けるな、とスタディをしていく。

画像1

そうすると、家を計画しているのに、立体的な迷路のような場所を持つ家ができた。家の中なのに、街の続きみたいな場所を持つ家なのだ。すぐ目の前が道路なので、高い位置なら道を歩いている人がのぞいても見えない。周りの建物より少し高いので、立て込んだ東京の街でも空が見えたり、景色が抜けて見える。

狭いからと言って必ずしも、せせこましい家になるとは限らない。
何かを我慢しなければいけないとは限らない。 むしろそんなそんな悪条件を逆手にとって、その人らしいいい家になるかもしれない。そんなことを体現できればと思って計画しています。

残念ながらこの土地は買えなかったのだけれど。



#デザイン
#ライフスタイル
#創作
#私の仕事
#建築
#家庭
#建築家
#マイホーム
#家づくり
#理想の家づくり
#家づくりの前に
#igarchitects  

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?