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都市のローコスト住宅 プロジェクトのお話し#6

都内に家を計画するときには、地方に建てるのと異なり、制約が多い。土地が比較的コンパクトな上に、法律や条令も厳しく、庭がつくれない、玄関が狭い、窓の位置に悩むなど、ハードルも高くなる

今回の計画も、制限が厳しく、前面道路は車どおりが多く、後ろ側は崖とコインパーキング、三角形の敷地で駐車場は設けられないとこれまた厄介な敷地でした。その上、クライアントはローコストでの計画をご要望で、僕を苦しめることになる。

敷地前面の道路は賑やかで、そこに向けて窓を設けたり、玄関を設けたりするのはちょっと違うかなと感じていた。また、三角形の敷地なので3方に壁を建てたら室内がどんどん小さくなってしまうことにも違和感を覚えていた。そこで「F」の字のような断面計画を思いついた。道路側に大きな壁を建ててそれを構造壁として、床もその壁から張り出すようにして残りの面の壁を薄くできないかと考えた。道路面のその壁は前面道路に対してバリアの意味もあり、遮音の効果も期待できる。

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1階は階高を大きくとり、狭さを感じさせることの内容な工夫を凝らす。構造壁以外の残りの2面には部分的に大きな開口を設けてそこから採光を確保することにした。道路から見ると何やら大きな壁が建っているだけに見えるが、内部はまちの喧騒から離れた静かで居心地の良い空間が広がる。終の棲家としては考えておられなかったので、先々カフェや私設美術館としても使えるようながらんどうな空間を計画している。

最近はどのプロジェクトもローコストでの計画を求められる。
予算が潤沢なプロジェクトなどないのだけれど、特に最近はその傾向が強い。だから早い段階で構造家との検討が必要だし、施工者さんとのすり合わせも必要になってくる。なのでいつもプロジェクトのアイディアが生まれる瞬間には「チームIGA」と勝手に呼んでいる人たちに見てもらって、その実現性について議論をするようにしている。構造化や設備のエンジニア、照明デザイナー、グラフィックデザイナーや厨房屋、そして全国で施工をお願いする施工会社さんだ。早い段階からチームを動かしていろんな人を巻き込むことでイメージはスパイラルアップしながら、実現に向けて動いていくことになる。

もちろんその原動力は自分自身であり、楽しみにしてくださるクライアントさんなのだが、たくさんの人たちに助けてもらいながら、またひとつプロジェクトが産声を上げるのです。


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