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フローリング 素材選びの時に

家づくりの時にほぼ必ず向き合うことになる材料がある。

フローリング。

家の作り方やデザインによって、壁紙を使わない家、和室がないので畳のない家、石は高級素材だし、サイザルなんて知らない人もいるかもしれない。でも家づくりではフローリングはかなりの頻度で出会う。実際多くの人が目にしているし、親しみがあるんじゃないだろうか。でも意外とみんな詳しく知らない。だからいざ家をつくる時に迷い、悩む。今回はそんなフローリングについてお話ししようと思う。

さてフローリングを選ぶときに、どんなことが選ぶ基準になるだろうか。色、値段、樹種あたりがわかりやすいだろうか。
他にも、質感、木目、床暖房に対応しているか、等々。。。知っているつもりでも毎回どうしようと思うほど実に沢山の基準がある。 

雰囲気

1、色で選ぶ
まずはこれだろう。部屋や空間のイメージ、壁や天井、家具との組み合わせや好みで明るい色がいいか、濃い色がいいかを選ぶ。樹種本来の色もあるし、塗装することで色を調整することもできる。なので毎回参考写真を集めたり、CGで検討したりすることになる。

2、値段(樹種)で選ぶ
家づくりには必ず予算がある。(あたりまえだけど)理想だけを追い求めたら、見積をとってみて予算の倍になった!なんてことになりかねない。だから総予算とにらめっこして材料のグレードを決める必要がある。チークやウォルナットは高級感があって人気で高い。逆に節があったりするパイン材なんかは比較的安価。

3、フローリングの種類で選ぶ
これ、意外と知られていないのですが、フローリングと一口に言っても実は種類がある。すごく大雑把に言うと、本物と、一応本物と偽物だ。  こうやって書くと、そりゃ本物がいいに決まってんでしょと思うが、そうじゃない。それぞれいいところと悪いとこがあるから悩ましいのだ。 正確に書くと4種類くらいに分類される。
無垢 / 挽板 / 突板 / シート
の4つくらい。 

断面比較

無垢材は100%本物の木。何といっても質感や経年変化の味わいを楽しめます。そして一番高価。でも実は床暖房に弱い。木は生き物なので温度変化で伸びたり縮んだり沿ったりするからだ。
じゃあ、本物の質感を楽しみつつ、床暖に強いフローリングは?それが挽板だ。

挽板はフローリングの材料の厚みの表面3ミリくらいに本物の木を使い、その下に反りにくい合板と呼ばれる木の板を重ねたもの。本物の質感を楽しみつつ、床暖房も安心してつかえるものが多い。この挽板をさらに安価に作ったのが突板だ。

突板
は表面のホンの0.3ミリだけが本物で、そこから下は合板。意外とこれにお世話になることが多い。ただ無垢材や挽板と違って本物の厚みが薄いので、すこしチープに見えるかもしれない。薄い分本物の質感の再現が難しいことがあるからだ。

最後がシート。最近のものは非常によくできているので、フローリングに限らずシートか突板であることが非常に多い。皆さん騙されているかもしれません。シートの良いところはとにかく安価。だけど、木の特徴である経年変化は楽しめない。偽物だからしょうがない。シートにはほかにも踏んだ時の衝撃を和らげるようなクッションが入っているものもあります。

3、幅で選ぶ
フローリングは製品によって幅が違う。
幅広のものは空間が大きく見えるし、幅が狭いものは木本来の色や木目の違いが楽しめる。一般的には幅広の方が高い。僕は可能な限り幅広のものをいつもお勧めしています。

表面比較

他にもフローリングには「乱尺」や「ユニ」なんてのもある。
「乱尺」は尺が乱れる、つまり長さがばらばらということ。長いものや短いものがランダムになっていて、設計の時にはあえて、そういう材料を使ってランダムなラフなデザインにすることもある。
「ユニ」は一枚のフローリングの表面材を継ぎはぎしている。1枚単体で見るとなんだか安っぽいと思われるかもしれないけれど、安価でいい樹種のものが使えることがあるし、床に貼って仕上がってしまえば意外と気にならない。

最後に、ひとつ気を付けていただきたいことがある。上述した通り、フローリングは木、生き物である。生きているから延びたり縮んだり沿ったりする。傷もつくし、色も変わる。それは経年変化で人が年を取るのと同じように素材の味になる。人も車もメンテがいる。整体やエステに通うし車検だって受ける。なのになぜ建物や家はメンテナンスフリーになると思うのだろうか。毎日雨風にさらされたり、踏みつけられたりしているのだ。当然メンテは必要だ。だけど、今の日本はたくさんの偽物であふれていて、そんな当たり前のことをみんな忘れてしまっている。

正しい知識をもって、楽しく材料を選んでいただきたいのである。そういえば昔クライアントに言われたことがある。要望で大きな木の板で扉を作ることになったが、木は大きい材料であればあるほど反りやすい。僕は反るかもしれないから材料を変えますかと提案した。クライアントは笑って言った。「「板」は木が反ると書くんですよ。反るのは当たり前じゃないですか、そったらその時考えますよ」と。

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