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住宅をコンペで建てるときに

コンペで建物の設計者を選ぶことは珍しくありません。
個人の住宅でも、何人かの建築家から提案してもらって、案を決めることがよくあります。お気に入りの建築家がいるなら迷うことはないのですが、建物は洋服のように、実物を見たり試着して決めるわけにはいきません。その上、土地の条件や予算、要望によって建物の形やプランは千差万別。コンペを行うメリットは要望を伝えて、何人かの建築家からデザインや空間の提案をもらって、その中からベストものを選ぶことができる、優れたシステムなのです。

こうやって書くといいことばかりのようですが、実際そうでもない。
コンペのデメリットは、個人でやるにはとても難しいということです。
要望の整理や予算管理、敷地情報の整理など設計者に提示しないといけない情報は多く、これが少ないと、精度の低い提案しか出てきません。
建築家にいきなり、この土地に4人で住むからベストな設計図を書いて!と依頼しても、ベストな住宅のプランが提案されることは、ありないのです

僕たち建築家は、実際どう住まわれていて、何を大事にしているのか、不満は何なのか、どういう暮らしを求めているのか。何気ない会話や実際の住まいを見て、細かく観察し、それを想像しています。
そうしたやり取りをすっ飛ばして、クライアントの望む家を提案するのはとても難しいのです。

実際に提案が出てきても、それをどうやって決めるかも難しい。
確固たる評価基準があればよいですが、建築家には木造が得意な人、鉄骨造やRC造の経験がない人、伝統的な日本家屋のデザインが得意な人やモダンな家が得意な人など、スキルにも差がありますし、のんびりじっくり進める人やてきぱき進めていく人など、個性もさまざまです。

そうコンペで自分に合う建築家を決めるのは、実は簡単ではないのです。

コンペをやる時には、
なるべく詳細な土地の情報、家に対する要望、必要な部屋の数・広さ、予算をまとめ、好きなデザインや建物の写真を提示することが効果的です。
そして、提案の前後に実際提案してもらう建築家と面談して話を聞いたり、提案の説明をしてもらうことが良いと思います。

要望に対する答えをどう考えたか、些細なやり取りなどで、今後家や建物づくりを進めていく上で、自分の言葉にならない思いを汲んでくれるか、任せて一緒に進めていけるかを感じ取れるはずです。


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