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小説~Center of the X~

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#日記

小説⑨~Center of the X~

小説⑨~Center of the X~

2153年 12月3日 場所 

「夏休み絵画コンテスト最優秀賞 綺終 雪。」
「はい!」

 雪は、幼い頃から絵を描くのが好きで、賞を取るのがほとんどであった。
「雪!将来は画家さんになる!おっきいキャンバスに思いっきり描くの!」
 そんな夢を抱いていた。あの子に会うまでは。

二年後

「お前の絵最高だな」
 絵がそのように褒められている矛先は雪ではなく、転校してきた男の子の絵であった。彼の絵

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小説⑧~Center of the X~

小説⑧~Center of the X~

2161年 8月2日 12:30 教室の教卓側

「いっやぁ!全然溶けねえわ!」
「そもそも鉄も溶けるか謎だったね(笑)」
「どうするこれ、まじで、、、」

 雪、勇太、壁を見渡し、次の策を思いつこうとするが、全然思いつかない。その時

どぅん

 大きな音を立てて、黒い壁が振動した。その時、雪は、黒い壁が少し自分の靴に近寄っている気がすると思ったが、人に言えるほどでは無い、微々たるモノであった。

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小説⑦~Center of the X~

2160年 7月22日 21:00 広一中学校合宿セミナー
「お前まだ、走るの?終」
「はあ?もうばてたのか?だらしねえな」
終は、中学の頃、バレーの名門「広一中学校」に入学していた。中学バレーボール最後の公式戦。この試合だけは絶対に勝ち、中学校最後のバレーボールに花を飾って名門に行きたく、意気込んでいた。
「なあ、終、お前もしもバレーが人生から無くなったらどうする?」
 走りながら話す、終の友人

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小説⑥~Center of the X~

2161年 8月2日 12:30 場所 教室の後ろ側

 黒い壁の前、終と花恋はこの壁を壊す方法を話し合っている。周りには誰もいない。
「ねえ取り合えず、いすぶつけてみる」
「なんでそういう考えになるんだよ。どう考えたって、そんなんじゃ壊れねえ堅い素材だろ」
「でも、理科室も技術室も美術室も、何か工具がある教室はあの壁の向こう側に吸収されたんだよ!今あるモノで何かできることはこれしかない。」

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小説⑤~Center of the A~

2161年 8月2日 12:00 場所 教室 教卓側

真っ暗なこの世界、大人も子供もどうすることもできず、みんなその場に立ち止まっていた。

「この素材って、鉄なのかな?」
 雪が勇太に訪ねる。
「わかんない。冷たいけど、鉄らしい冷たさじゃねえよな。なんだろう、ここから冷気が出ているかのようなそんな感じ。鉄だったら熱で溶けるか?」
「えっでも、火の温度でも溶けないでしょ。」
「鉄ってそうか、、、

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小説③~Center of the X~

2161年 8月2日 AM8:41 1年B組 教室の前

「出席をとるぞ~、、、、」

雪は、先生の声に無視しながら窓の外を見る。いつもより日差しがまぶしい気がした。

「綺終 雪」

先生の方を向いてから返事をしようとしたその時、一瞬無音の時間が流れ、あのやけそうな光が一瞬で消えた。何が起きているか分からなかった。付いていた電気も何故か使えなくなり、暗闇よりも暗い、暗黒の中で雪は立ち上がり、後ろ

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小説②~Center of the X~

2161年8月2日AM8:41 場所 1年B組 教室の後ろのほう

(、、、あれ、俺の名前呼ばれた?っつか、騒がしくね?)
 そう思って顔を上げた終は驚きを隠せなかった。雪との会話の後、すぐに顔を突っ伏したが、そうしている時間は5分も経っていないはず。しかし、自分の三つ前の席が確認できなかった。そもそも、自分列の人だけがいなくなったのでは無く、教室の半分が黒い壁に覆われていた。正しく言えば、終が見

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小説~Center of the X~

小説~Center of the X~

あの日は天気も自分も憂鬱で
とうてい外になんて行きたい日じゃ無かった。
学校なんて無かったら絶対に外に出ないと
そんなことを思っていた。
______ゆうた

あの日は天気と反して飛び跳ねたいくらい幸せで
はやく外に出たくて仕方が無かった。
学校に行けば彼に会える、
そんなことを思っていた
______ゆき

あの日の天気は雨で自分はいつも通りの体調で、
急いで外に出ないと間に合わななかった。

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