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価値観を持つことで生きやすくなる

 こんにちは。identity academy 1期生のC.Kです。academyでは各業界のプロフェッショナルの方とのトークセッションを定期的に行っています。

 今回はidentity academyの理事であり、かつゴールドマンサックスで日本人初の現役グローバル金利トレーディング責任者に従事する居松秀浩さんにお話を伺いました。個人的な見解を織り交ぜながら、居松さんのキャリアにおけるリスクマネジメントを紹介します。

<居松秀浩さんの経歴>
・1996年ゴールドマンサックス入社以来一貫してトレーディング業務に従事
・2008年日本における金利トレーディング部長
・2015年アジアパシフィックマクロトレーディング統括
・2017年より日本人初のグローバル金利トレーディング責任者

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(画像出典先:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB08ECV0Y1A700C2000000/

1. キャリアはランダムウォークそのもの

 identity academyはリスクマネジメント思考を体得することを目的とした学校ですが、なぜリスクマネジメント思考がキャリアにおいて重要なのでしょうか。
 大きな山を1つ1つ着実に登りながら、日本人初となるグローバル金利トレーディング責任者という偉業を成し遂げ、今でもなお世界で活躍し続ける居松さんの見解を基に考えてみたいと思います。

 そもそもキャリアとは何でしょうか。様々な定義があると思いますが、居松さんの言葉を借りると、「キャリアはランダムウォークそのもの」。

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(補足:ランダムウォークとは次に現れる位置が確率的に無作為に決定される運動のこと。画像出典先:https://tradelab.info/archives/3079

 キャリアは常に不確実性を伴っているので、物事が順調に進むときもあれば、そうではないときもあります。上図のように、キャリアは上振れしたり、下振れしたりします。私達はそのキャリアにおける起伏を最小限に抑え、できる限り下振れする幅を小さくしたいはずです。この振れ幅をコントロールすることがリスクマネジメントです。
 意思決定の精度やリスクを最小限に抑えるといった短期的な視点よりもキャリアという長期的な視点で見ることによってリスクマネジメントの違った一面が見えてくるように感じました。キャリアにおけるリスクマジメントとして、今の私達にできることは何かを考えてみたいと思います。

2.リスクマネジメントにおけるdiversityの役割

 リスクマネジメントをする上で、最初に求められることは起こりうるすべてのリスクを把握することです。リスクを把握できなければ、そのリスクに遭遇した時に迅速に対応できません。対応できないということは、上述したキャリアにおける振れ幅が大きく下振れする可能性が高いということです。まずはリスクを網羅的に把握した上で、リスクテイクする必要があります。
 居松さんはトークセッションの中で「リスクテイクをする上で最悪の状態は予期していない結果が出てくること」とおっしゃっていました。事前に複数のシナリオを描き、そして各シナリオに対してどのように対処するのかをイメージすることこそが、リスクマネジメントの一歩であり、キャリアにおけるダウンサイドを抑えることに繋がります。

 この考え方が根底にあるため、居松さんは「diversity」を尊重しています。自分とは異なる考え方や価値観を持っている人が組織にいれば、自分一人では描けないシナリオを描くことができます。ただし、この「diversity」において、1つ重要な前提条件があります。それは組織に属する個々人の目標や目的、すなわち向かう先が同じであることです。
 多様性によって、様々な価値観を得られて視野が広がるという考えしか持っていいなかった私にとって、diversityがリスクマネジメントに役立つというのは新しい発見でした。

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(画像出典先:https://www.furstgroup.com/diversity-and-inclusion-a-guide-for-action

3.相対的なものに本質的な価値はない

 diversityはただ同じ目的をもっている人が集まれば成立するのでしょうか。
 個人的には同じ目的をもち、かつ自分の価値観を持っている人が集まることによって初めて形成されるのではないかと考えています。
 自分の価値観がなければ、他人の評価に振り回され、周囲によって自分を定義されてしまい、自分自身がぶれてしまいます。ぶれるということは、よく言えば適応力があると言えるのかもしれません。しかし。それでは画一化した個人になってしまいます。画一化した個人の集団にdiversityは生まれないと思うのです。
 同調圧力が比較的強い日本は、「個人の価値観」を発揮しにくい環境です。そこで育った私達は自己表現の1つである意思表示に対して苦手意識を持っているために、自分の価値観を見つけにくいのかもしれません。だからこそ、相対的なものだけに焦点をあてるのではなく、自分の「価値観」や「自分らしさ」といった絶対的なものにも目を向けていきたいと強く感じました。

4.自分の価値観に秘めた力

 トークセッション中、ある学生が「居松さんはなぜかっこいいのかずっと考えていた」と言いました。これは、丁度約半年前、私が初めて居松さんに会った時に感じた感覚と似たものでした。「かっこいい」という軽い言葉ではなく、もっと居松さんを適切に表現する言葉がないかを模索しても中々出てきません。誰もが感じる居松さんの「かっこよさ」の正体は何なのでしょうか。
 この「かっこよさ」は「居松さんらしさ」そのものであると考えています。自分の価値を持つことによって自己が確率しているからこそ、多くの人の目に「その人らしさ」が映り、人を引き寄せるのではないでしょうか。
 決まったものさしで人を測る日本の教育を受けて育った私達には、相対化する癖がついており、つい誰かと比較して自分にないものを持っている人を羨ましく思ったり、敵対心を抱いたりします。その人が自分を脅かすかもしれないと思った時は、その人の行動を規制して自分自身を守ろうとします。程度の大小はありますが、人間の本能で自分を守ろうとしてしまうのでしょう。
 トークセッション中に、居松さんは「妬みは人をつぶす。もったいない」とおっしゃっていました。居松さんのように自分の価値観を持っていれば、自分と他人を割り切ることができるようになり、妬むことがなくなるのでしょう。自己を確立することによって得られる人間力は計り知れないと実感したと同時に、「自分の価値観を持つこと」によって変化の激しい社会で生きやすくなると感じました。

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