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【友に灯る】カプレーゼと天然な友人

 どうも。いかたこです。

 今週から「友に灯る」というシリーズを、月1回のペースで投稿します。個性豊かな友人たちと過ごした日々に光りを当てながら、エッセイを書いていきます。

※この記事はもともと「ものに思い出」というシリーズ名で投稿しましたが、「友に灯る」という名前に変更しました。(2月24日追記)


 トマトとモッツァレラチーズとバジルで作るカプレーゼ。自分にとってはなじみ深い料理というわけでもないし、レストランやオシャレな居酒屋のメニューで見る程度。美味しいとは思うけれど、好きな食べ物ランキングに入ってくることはないかな。でも、カプレーゼを見かけたときはいつも、ある友人のことを思い出す。私がひそかに「天然な友人」と呼ぶ友人のことを。

 天然な友人とは大学1回生のときにサークルで知り合った。大学という規模で考えると家が近く帰り道も一緒だったため、話す機会も多かった。

 大学生になると、周りに一人暮らしをしている人が増えてくる。一人暮らしをしている友人たちはよく、どんな料理に挑戦したなどの自炊の話で盛り上がっていた。でも、私と天然な友人は実家から大学に通っていた。実家暮らしをしているとなかなか自炊とかしないよねという話をしていると、「そういえばこの前自炊したよ」と天然な友人が言った。
「何作ったの?」
「カプレーゼ」
「カプレーゼ?」
 頭にはてなが浮かぶ。カプレーゼってどんなだっけ? すぐにスマホの検索画面に「カプレーゼ」と入力。すると、赤・白・緑で彩られた「THE・オシャレ」な料理の画像が出てきた。なるほど、これか。なんかテレビとかで見たことあるやつだ。ふーん・・・えっ、これ作ったの? カプレーゼの正体が分かると、次のはてなが浮かぶ。なんでカプレーゼ?
「なんでカプレーゼ?」
「家にトマトがあったから」
 自信満々な答えにちょっと驚く。トマトがあったらカプレーゼって作るっけ? まぁ材料があれば作るのか。
「家にモッツァレラチーズなんてあったの?」
「いや、チーズとバジルはスーパーに買いに行った」
 トマトあったらチーズとバジルは買いに行くっけ? トマトという食材が身近すぎるせいか、「トマトがある=カプレーゼ作ろう」という方程式が私の中では成り立たない。でも反対に、「モッツァレラチーズがある=カプレーゼ作ろう」なら分かる気がする。
「トマトがあるからカプレーゼ作ろうってなったの?」
「うん」
「逆じゃない?」
「逆?」
「ふつう、モッツァレラチーズがあるからカプレーゼ作ろうってなるんじゃない?」
「トマトでも全然なったよ」
「たぶん珍しいタイプだ」
「そっか、珍しいのか」
 なんだかおもしろくなってきて、くすくす笑い合った。

 もしかしたら、トマトがあるからカプレーゼを作ろうというのは、料理をする人からすれば当たり前なのかもしれない。それでも、近くのスーパーでモッツァレラチーズとバジルを選んでいる友人の姿を想像すると、愛らしさすら感じてしまう。
 そもそも、カプレーゼは朝食・昼食・夕食のどのタイミングで作ったのだろうか。カプレーゼだけではお腹いっぱいにならないと思うし、他の料理も作ったのかな。でもそれなら、自炊した話のトップバッターにカプレーゼは出さないか。いや、天然な友人ならあり得るな。そうか、3時のおやつという可能性もあるのか。いろいろと想像が広がる。
 もし私がトマトで料理を作れと言われても、カプレーゼは思い浮かばない。天然な友人の愛すべき感覚はいつも私を楽しませてくれる。

 それからというもの、カプレーゼを見ると天然な友人のことを思い出す。
「あっ、カプレーゼあるよ!」
 一緒にお店でご飯を食べるとき、メニューにカプレーゼがあれば必ず反応してしまう。
「なんでカプレーゼ作ったんだっけ?」
「トマトがあったからに決まってるやん」
「珍しいな」
 という会話が今も私たちの鉄板のネタになっている。


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